冒険録41 団長様は仕事熱心すぎるぞ!
ただの門番だと思っていたホリンさんは、まさかの騎士団長だった。この国の騎士団という組織がどのようなものか正確には分からないが、他の門番の
「ちょ、ホリン――サマ。本当に騎士団長なのか――でございますデスか?」
ヤスの辞書にも敬意という文字があるようで、突然
「プハハハ! ヤッス、無理すんなっての。まったくお前らしくもない」
ヤスの
「いや、そうは言って――おっしゃららられてもでございまして?」
「ククッ……そもそもオレらは友達同士――さっきお前が言った通りで、それは騎士団長だから友達になった訳ではないだろう? だから、今のオレはお前にとってただの門番ホリンだし、これまで通り
「ん……そりゃまぁ、ホリンがそう言うなら……別にいいぞ? 僕もその方が楽だし?」
ホリン様は
「で、あんたら名前は? 発行手続きにも要るから教えてくれ」
「だっ、大地と申します」
「
二人で
「ん、ダイチにユウヅな。あんたらもヤッスの友人ならオレとも友人みたいなもんだ、ホリンと呼んで気軽に話してくれ」
「えーと……分かった。そうさせてもらう」
「……すみません、あたしはホリンさんでお願いします」
ホリンは二十代前半ほどに見えるので、
「ハハハ、ユウヅは真面目な子だなぁ。そんな歳で――と言ってもヤッスよりよほど
「あはは……」
夕は視線を泳がせて
「――そんでそのお偉い騎士団長様が、何で門番なんかしてるんだ?
気遣い無用と言われたヤスは、早速と何の
「ああ、この水の
「え、そうなん?」
「おう。オレだけじゃなく騎士団長の五人は、結界の起点になる『水・木・火・土・金』の五塔にそれぞれ住んでるんだ。最も危険な夜間に、最も重要な
「たし、かに……?」
実に合理的な防衛手段ではあるのだが……それでは団長達の気が休まる時がない――ってああ、「最近夜に出張る事が多い」と言っていたのは、そういう事だったのか。
「もちろん昼は王宮勤めで団員の訓練や会議に出席したりしてるが、夕方に帰った後はこうして水の大門の門番をやってる。ほら、城門のついでに自分の家も護れるんだ、お得だろ?」
「え……」
つまりこの人……日中は王宮で騎士団長を勤め、帰ってからは自宅警備がてら城門を護り、深夜は寝ながら王都への
「いやいや働き過ぎだから! おめーは
「そうですよ! せめて門番のお仕事は正規の方にお任せして、団長という重責を
ヤスと夕のツッコミはもっともであり、日本なら
「あー、心配してくれるのは嬉しいが、これも訳アリでな? 普通は城門に三人は必要だが、オレなら一人で充分だ。そんでオレが門番やってる間に、日々の面倒な机仕事を代わりに消化してもらってる――ってのも、オレは机に
「そういうことでしたら……」
どれもお得ずくめ――合理的な判断ということで、
それでこの
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