冒険録36 野生の行商人が飛び出してきた!
まさに言葉通り
「この
「あー、お使い自体は別にいいんだけど、こんな時間に買取屋開いてるかなぁ……?」
「そっかぁ、そうですよねぇ……」
現代日本と違い、遅くまで店が開いていないのだろう。
「あっ! 大地らが魔法使って気合で
そこでヤスが、良いことを思いついたとばかりにドヤ顔で提案してきた。
「いやいやいや、もし
「おおお、確かにそんな魔法もあるかも? うん、ダメだな!」
「ったくよ……」
ヤスは後先考えずに行動しすぎるところがある。それで割と上手く行くこともあるのが不思議だが、これについては
そうして三人で頭を
「――そこのお兄はん」
「銭がのうて入れてもらえへんかった……ちゃいまっか?」
「ええ、まぁ……」
どうやら、俺達の門でのやり取りを見られていたようだ。これは
「そらおツライ話でんな! ……何かお値打ちもんお持ちなら、特別に
男は
「そうですね……ちょっと待ってください」
まさに渡りに船のありがたい申し出だが、どうにもこのコッテコテの
「(ちょっと
「(んー、お金に困ってるって知られてるから買い
「(よし)」
夕と
「すみません、一つ見てもらえますか?」
「おおきに! ほなこちらへ、さささ~」
商人は営業スマイルを浮かべると、スルリとテーブルの奥側へと回る。続いて大きな
「これなんですが……」
俺はランプや
「んっ? お兄はん、なんぼ銭に困っとるちゅうても、ガラクタは買い取りでけへ――っなぁ!?」
商人は
「魔晶石と聞いてたんですが、違いましたか?」
「なに言うて――こほん。せやせや、よう見たらたしかに魔晶石でんな。……これを売ってくれるんでっか?」
「はい、まずは査定をお願いします」
商人は大きく
「あの、友人は規格外の大きさと言ってましたが、この価格表でいうと……B級以上ということですか?」
車が買えるほどとなると、銀貨十五枚のC級ということはないだろう。
「えっ? …………せやなぁ、この大きさで状態もええですし……B級でんな。お値段は……ユニバ金貨三枚でどうでっか? ほったら札を
「んー……」
夕と二人で入るには銀貨四百枚=金貨四枚必要で、これでは一人分にしかならない。そうなると、まずは夕だけ安全な街に入ってもらい、俺はお金が貯まるまで野宿するしか……でもそんなの夕が絶対にウンて言わないよなぁ。
「――こらしもたわっ! 妹はんの分も合わしたら足りまへんなぁ!」
俺が
「ええ、そうなんですよ。なので、もう少し頑張ってもらえませんか?」
「んー……むむむ。
商人は
「……
なんと値上げ
「ほんとですか! ……でも良いんです?」
「まぁ
「助かります!」
なんて話の分かる人だ。これで無事に揃って街に入れるぞ。いやぁ、これも時計を改造してくれた魔王様と骸骨妖怪様々だな。
「ほな商談成立でんな! ……ひぃふぅみぃ、四枚や」
商人が背嚢から小箱を取り出し、手早く金貨を数えてテーブルに置いたところで……
「――待ちなさい!」
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