冒険録33 この門番……凄く強そうだぞ!
「ふいぃ~、エリート魔法のせいでヒドイ目にあったぜぇ……」
ヤスが地面から起き上がると、服の土を
「まぁ無事のようだし、さっさと行こうか。ほい、【
「あざっす!」
エリート魔法(笑)はすでに効果が切れていたので、ヤスの足に魔法をかけてやる。
「それと……【
まだ力が少し余っていたはずなので、もし転んでも
「え……ありがと。――ふぁ~、こういう優しいとこ、ほんとカッコよくてキュンってきちゃうよぉ……うふふ、パパ大好き♪」
「っ!」
するとすぐに夕とルナも続いたのだが、ヤスは先ほどの大転倒が割と
「うわわ~、すっごぉい! 勝手にスイスイ進んじゃうよぉ~!」
「不思議な感覚だよなぁ」
歩く程度の力しか込めていないのだが、身体が
次第に慣れて徐々に速度を上げていけば、応じて周囲の景色が高速で流れ、見る見るうちに正面の
また、街に近付くにつれて周りの草原は畑へと変わってきている。
「うふふっ。いまの人、目が真ん丸になってたね?」
「びっくりしてたのー!」
「ああ。
「……いやぁ、大地らの
「「たしかに!」」
俺はTシャツにジャケットにチノパン、夕はブラウスに制服のスカートにタイツという装いであり、ヤスの中世風の服装が標準だとすれば異様も異様だ。そんなヤツらが
「――よぉし、到着だよっ!」
そうして軽く雑談しているうちに、塔の目の前までたどり着いていた。体感二、三分ほどで走破しており、お
「どうだい王都ギャラックは? 日本みたいに高層ビルはないけど、これはこれで立派なもんだろ?」
「んむ……大したもんだなぁ」
目の前にそびえ立つ二十m高さはあろうかという石塔に加え、
「ほえぇ~、ほあぁ~! 想像してたより何倍も凄いわ。まさにお城ねっ! ――あっ、ねぇねぇパパ! 橋の下見てよ! すっごい
「ほお~」
その橋の二mほど下にはゆったりと水が流れているが、ちょうど沈む夕日が
それで二人でぽかんと口を開けて
「――さ、行こうぜ」
ヤスがそう言って橋を渡り始めたので、俺達も後ろに続くと……橋の先に
そこで夕が立ち止まってクイクイと
「(ねぇパパ、ルナちゃん
「(あ、だよな。ルナ、悪いけどポケットに入っててくれるか?)」
「(えー!)」
「(ルナちゃん、こわーい門番さんに
「(そんなのやだー! るなかくれるのー!)」
夕の説得が成功し、ルナは俺の胸ポケットに飛び込んで大人しくなった。
そうしている間にもヤスは先へ歩いており、
「うぃっす、ホリン。お
「ん、ヤッスか。お疲れお疲れ。仕事終わりに
「りょ~」
その門番をホリンと呼んで親しげに話すと、ひとり門を
続いて俺が軽く会釈しながら前を通ろうとしたところで、
「
門番ホリンが俺の前に槍を倒して引き止めてきた。
「……ええと、札?」
「ん?
「住民、札?」
「……まさか住民札を知らんのか? 一体どこの田舎者だ? ――ってよく見ればお前、
門番は険しい顔つきで素早く数歩引き、槍を構えて
「あ、えっと、俺は決して怪しい者では……」
「どこから来たか言えっ!!!」
ちょちょ、非常にマズイ流れでは? 適当に言って
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