第5章 月と金星と文無一行
冒険録31 みんなで夕日に向かってダッシュだっ!
無事に森を
進行方向を見れば、ルナを追って少し先を歩いていた夕が立ち止まっていたので、俺はヤスと小走りで近付く。
「う~ん、素敵ねぇ~」
「やははー! かぜがきもちいーのー!」
すると夕は、茶の制服スカートを
「ああ。地平線に沈みゆく太陽なんて、日本じゃそうそう見る機会ないもんな?」
「んだねぇ。さっきまではそんな特別感なかったけど、記憶が戻った今はちょっと感動もんだなぁ~」
そうして四人で
「へえぇ~、結構しっかりインフラ整備されてるのね?」
夕が
「そだね。今向かってるのは王都なんだけど、その周りは特別気合入れて整備されてるって聞いてる。結構馬車とかも通るからね?」
「なるほど」
そうなると、田舎に向かうにつれて土の道などに変わっていくのだろうな。
そこで正面の道の
「……あれがその王都か?」
「そう、王都ギャラック。ざっくり言うと五角形の形をしてて、高い壁にぐるっと囲まれてる。んで、今見えてるのは北側の頂点に建ってる塔で、その下に入り口の門がある」
左右方向に延々と続く壁の先を目で追うと、何㎞先になるかは分からないが、
「えーと、超巨大な
「そう言うんだっけ? そういや城みたいに壁の前には
「ほえぇ~……ねぇねぇパパ、巨大城郭都市だよ! すっごくワクワクしちゃうねっ!?」
「だな!」「わくわくなのー!」
城郭都市なんて漫画くらいでしか見たことがなく、とてもロマンを感じさせる。ただ、言い
「……ところでさ。見えてる塔までまだ結構あるけど、着く頃には日が暮れてないか?」
周りに対象物が無さすぎて
「そうよね……んじゃ、みんなで走ろっか?」
「ああ。夕日に向かってダッシュってとこだな?」
「うふふ。青春っぽくていいわね♪」
「かけっこするのー!」
「僕はぶっちゃけしんどいけどねっ!」
そこそこ装備が重そうなヤスは、文句を言いつつもどこか楽しげだ。あと、ルナは飛んでいるので
そうして夕日を横目に一同小走りになったところで、
「――あ、そうだ。魔法使って加速したらいいんじゃ?」
「だねっ!」
便利な魔法のことを思い出した。
「ヤス、ここって危険な魔物とか出ないよな?」
「ああ。深夜とかは危ないって聞くけど、今はせいぜい野犬とか? さっきの骸骨みたいなヤベーのは絶対居ない――ってか王都周りにあんなのがうろついてたら、死人が出まくる!」
「だよな――となると出し
「うん。今は二時間四十分の満タンね」
夕は走りつつも時計を開いて確認してくれた。
「……何の話?」
少し考え込んでいたところで、事情を知らないヤスから疑問の声がかかる。
「ああ。この夕の時計に表示される力を使うと、魔法みたいに願いが
「あっそれそれ! さっき大地が魔法使えたのが不思議だったんだ。この世界じゃ普通は長年修行したエリートしか使えんからさ?」
「へぇ、そうなんか」
どうやら、この願いの力とは別に魔法が存在しているらしい。
「で、そっちの力ってのは何なん?」
「すみません、それはまだ良く分かってないんですよぉ」
「……いや、ひとつ予想がついたかも?」
「え、ほんと!? さっすがパパだわ!」
夕が
「いや、全部に当てはまるかは分からないが……ルナの願いが叶うと増えるのではと?」
「よんだー?」
小走りに進む俺達の前でルナが
「ほら、さっきの骸骨との戦闘で、ルナがやる気満々になった瞬間に増えたろ?」
「あっ、たしかに」
「つまり、ルナがワクワクしたり喜んだりすると増える……最初にルナがしたい事と言ってた、大冒険とか……ア、アレとかな?」
「っ!? ええと、アレ、ね。そっかぁ、そういうことかぁ……」
夕は照れて
「……あのー、僕イマイチわかんなかったんだけど……アレって?」
「お前は知らんでいい!」「そうです!」「なのー!」
「僕の
俺と夕が仲良くするほど力が
だがこれで、世界の
【願いの力:162/162(+7)】
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