冒険録28 ヒロインの時計がレンジになった!
ショック
そうして早速歩き出そうとしたのだが……
「――んべへっ!」
「おいおい何やってんだ?」
「気を付けてくださいね――って
大慌てで夕が指す方を見れば、ヤスの両足にべっとりと黒い
「ちょ、いだだっだぁぁ!? あとネバネバぎもじわるぅっ! 早くなんとかしてくれぇ!」
ヤスは必死にのたうち回りながら叫んでいるが、魔素は全く離れる様子はない。
「【
すかさず俺がヤスの足に両手をかざして光を照射すれば、
「……お、おお? 取れた! あざっす!」
魔素はヤスの足からずり落ちて、再び大人しくなった。
「ふいぃ~えらいめにあったよ……こんだけ魔素が集まると、ヤベーんだなぁ」
ヤスは少し離れて、黒い水たまりのようになった魔素を
「せっかくだし回収したいけど……僕のちっさいヤツじゃ吸い切れないし、ぶっちゃけ怖すぎて近寄りたくないっ!」
ヤスは首にかけた
「……回収? ――あっ、夕!」
「うん、時計だね!」
ヤスの
それで夕は、いそいそとポケットから懐中時計を取り出して
「うう、でもこんな気持ち悪いのに近づけたくないんだけどぉ……――いえ、カレンさんを信じましょ! えぃっ!」
夕は少し
ややあって地面に広がる魔素が全て無くなったところで、裏蓋が自動でパチンと閉じられた。そして時計全体が
――チンッ!
まるで電子レンジのような音を発した。……いや、これは予想外過ぎだろ。
「……ははは。夕の時計、レンジ機能も付いたようだな?」
「もうやだぁ……あたしのとけいぃぃ……」
度重なる魔改造に、夕は遠い目をして嘆いている。
これだから
「んまぁ、中見てみようぜ?」
「うん……」
次いで夕がげんなりした顔で蓋を開けると、中からもわっと蒸気が吹き出し……そこには、直径五㎝強ほどの
「す、すっげぇ!」
それを見て俺と夕が首を
「あ! ひょっとして、靖之さんのそれと同じ物ですか?」
「うん、さっすが夕ちゃん! んでこれは
「へぇ、そんなに高いのか?」
俺は特段お金に
「んー、こんなデカイやつは
「まじかっ!」「やったねパパ!」「おかねもちなのー!」
異世界の経済事情は全く分からないが、ここで過ごすにあたって少なからずお金が必要になるはずで、文無しファミリーではなくなったのは大きい。
「――って、そもそもこの世界に車なんてあるんだな?」
ファンタジー世界と聞いていたが、科学技術も合わせて発達しているのだろうか。まあ、カレンが時計を魔改造する技術基盤がある訳だしな。
「んや、日本で言うとそんくらい?」
「紛らわしいわ! 車で例えるとかテメェは関西人か!?」
「――ぷふっ」
ヤスに軽くチョップを入れると、ルナも真似っ子でピシピシ叩いており、
何はともあれ、にっくき骸骨妖怪の
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