冒険録20 ヒロインがママになった!
「んんー! むーむー!」
俺達三人がルナの勇姿について盛り上がっていたところで、その弾丸幼女妖精さんのくぐもった声が聞こえてきた。
それでルナの
「ぷはぁっ! やははー、たのしかったのー!」
無事に脱出したところで、
「ねーねーねー、みてたみてたー? るなすごいー?」
そこでルナは大興奮で大はしゃぎするあまり……なんと俺の方へと青い光を
「――ちょ、ストップ!」「ルナちゃんダメッ!」
目の前の
「みてみてー?」
素早いところを見せたくて仕方ないルナは止まらない。
俺は
ぽふん
胸を打ち
「…………そうか、効果が切れたんだな」
短い効果をイメージしたためか、ルナを
「――はあぁ~、マジで死ぬかと思ったわ! ありがとな、夕?」
「うん。もうほんと心臓が止まるかと思ったよぉ……」
もしルナへの効果が完全に残っていたなら、夕が魔法をかける間も無く
「ねぇねぇみてた――」
「ルナちゃん!!! ちょっと来なさい!!!」
「……なぁに?」
どれほど危険な状況だったかを理解できていないルナを、夕が強い声で呼び付ける。胸元のルナは、
「あのね、ルナちゃん。すっごぉく大切なことだから、良く聞いてね?」
「うん……」
「さっきみたいに魔法がかかってピカピカしてるときは、ルナちゃんはとぉっても強くなってるの。
「っ!?」
夕の特大の雷が落ちるかと思いきや……頭ごなしに
「うんっ……かなしいの……」
「それじゃぁ、気をつけないとだよね?」
「あうう……ごめんなさいなの……きをつけるの……」
夕の気持ちがしっかりと伝わり、ルナはしょんぼりと
「……うん。分かってくれたらいいのよ。ごめんねルナちゃん、急におっきな声出しちゃって」
夕は表情を微笑みに変えると、ルナを両手で優しく包み込み、その
「……ままぁ、おこってない?」
「ふふっ、もう怒ってないよ――って待って待って! 今ルナちゃんママって言ったぁ!?」
「うんっ!」
「なんでぇ!?」
ルナの突然のママ発言に、夕は
『ふむ、それも
「ああ、同感だな」
幼少期に母を亡くした俺には自身でそうと認識する機会もなかったが、まさにこれが母性というものなのだと思った。それも今回に限らず、例えばルナが偵察に飛ぶ際には、まるで娘を心配する母のようだったし、他にも二人で逃げて俺を待つ間には、ルナを守ろうと頼れる母の姿を見せていたに違いない。おまけにルナは感受性豊かな幼い子供で、かつ妖精という精神的な存在ともなれば、夕の想いも人一倍伝わっているはずだ。なので、つい数時間前に会ったばかりの
「……でもそんな、あたしがママだなんて……あううぅ……パパぁ、どぉしよぉ?」
夕は照れやら何やらで複雑な心境のようで、黒目を
「……ままってよんじゃだめなのー?」
「っ!?」
そこでルナは小首を
「はうぅ、ずるいよぉ……こんなの断れないってばぁ……うぐぅ、でもさすがにママは困るぅぅ……」
夕は幼女の必殺おねだりビームを一身に受けて
「るな、ままがいいなー?」
「むぅ…………あーんもうっ! しょうがないわねぇ! ……ママでいいよ」
「わーい! ままー! だいすきなのー!」
追撃おねだりの前にあえ無く陥落した夕は、
【85/85(+10)】
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