冒険録15 妖精さんは不死身らしいぞ!
『さて、計器の見方の解説に
お
『その
「えーと……願いに力を使うと、現在量を示す秒針は減少するけど、最大量を示す時針と分針は変化しないってことか?」
『そういうこと。ま、王道RPGゲームで例えると……最大
「なるほど」「うん……?」
俺はRPGゲームをほとんどしたことがないが、未経験ではない。夕の方は全くないようで、例えにはピンときていないようだが、元の説明は当然理解しているだろうから問題ない。
『現在量は時間が経てば回復するので、必要な時は
「了解」「はい」「わかったのー!」
まだその力がどうすれば溜まるのかは分からないが、ひとまず計器の見方は理解できた。
『それでは次に、
「そりゃそうだ」
夕に
「うん……辛いけど、パパの
うちの娘、
「いや、そこは夕だけでも逃げて欲しいんだが……そう言ってもお前は聞かないよなぁ」
「当然よ!」
「デスヨネ」
つまり夕を守るためには、俺はピンチにすらなれない訳だ。とにかく危険に巻き込まれないように、常に石橋を
『――水を差すようで悪いのだが、相手がよほど弱いか
「む、確かに……でもそうなると、戦う人が居ないぞ?」
まさか魔王様が代わりに戦って……くれる訳ないよな。
『何を言っているのだい。ルナ嬢が居るではないか』
「「え?」」
「わはー! るながんばるのー!」
ルナは空中で可愛らしいパンチを
「いやいやいや……ねぇよ!」
「そ、そんな……ルナちゃんに戦わせるくらいなら、あたしが戦うわよ!」
無茶苦茶なことを言うカレンに、二人で
『まぁまぁ落ち着きたまえ。戦術面はさておき、彼女の身を案じてのことであれば、それは無用の心配だ』
「え、そうなのか?」
『ああ。この世界の
「ふじみなのー!」
「すげぇな……」
とりあえず俺たちよりは丈夫らしいので、ルナに戦ってもらうのも……ありなのか? 幼女に守ってもらうというのは、どうにも心情的に
『ただし……ある場合を除いてだが』
「え……それは?」
『絶望した時』
「「!」」
身体は傷つかなくても、心は傷ついて死んでしまうということか。そのように精神と生死が直結していることは、幻想上の生き物である妖精らしい性質かもしれない。妖精は本来不死身であるが、人間から忘れられるにつれて存在の強度が
『例えば、万が一キミ達のどちらかが死んでしまうようなことがあれば、間違いなく心が悲しみと絶望に染まって彼女も死ぬ。そして同時に、核を失ったこの世界も
「おうふ……」
つまり俺達三人は
「たしか、終わりが
『そうだね』
そうなると、そもそも危険にさらすつもりは毛頭ないが、もし万一のことがあっても現実世界で夕を失うことにはならない訳だ。少しだけ安心した。
『だが、そのような戻り方をしたら……キミ達は
「そうか……」
恐らく、これが先ほど言っていた「持ち帰れるもの」のことなのだろう。それが何かは分からないが、死んでしまうとそれがゼロになり、戻った時に後悔すると。
『だから絶対に避けて欲しいし、キミ達が幸せな終わりを迎えられることを切に願う』
「……ありがとう。
そのカレンの真剣な声からは、心から俺達を案じてくれていることが伝わってきたので、俺達も相応の誠意を持って応えておく。
『ふふ、期待しているよ』
するとカレンは、魔王らしからぬ優しい声で
その幸せな終わりを探すために、これから三人で頑張っていこう。俺はそう固く心に決めるのであった。
【44/44(+2)】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます