第9話 ガチ勢の妄想力

P'デコの読み通り、

その後も安藤先輩は、

何も頼んでいないのに、本橋先輩を使って高木君の事を探り、

定期的にミルキーに報告を伝えてくれていた。


「それって本橋先輩と高木君が順調に交流してるって事だよね。

最近、高木君、嬉しそうにしてるよ。」


ガチぜいのP'デコは、

友達の友達も…的なサイドストーリーがいくつもある、

登場人物全員ゲイ設定のタイBLドラマの見過ぎなせいで、

いた頭でニヤニヤしていた。


「ないない、2ショット見れるだけでいいじゃん。」


P'デコはおもむろに携帯を取り出し、腐の者たちの前に突き出した。


そこにはいつ撮ったのか解らない、

本橋先輩と高木君の見慣れない2ショット写真や動画が、

ズラッと並んでいた。


「尊い!尊すぎる!」


「アローイ!」


「もうこれヤバい!」


腐の者たちは理想のBLな2ショットにメロメロになっていた。


「あの2人、普通に仲良くなったみたいだよ。」


「おおおー!」


P'デコのニヤついた言葉に、腐の者たちは大いにいていた。


「ここからいつの間にかお互いの気持ちに気付くんだよ。」


「お互い意識しあっちゃってドキドキしちゃうんだよねぇ。」


「高木君がどこかにつまずいて本橋先輩がギリギリで抱きささえてほしい。」


「高木君、みんなに隠れてこっそり本橋先輩にスポドリ渡したりするはず!」


例えそれが普通の先輩と後輩、友達関係であっても、

腐の者たちの妄想力は、

登場人物が必ずゲイのBL世界に直行し、

リアルな出来事かのように脳内再生されるのだった。

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