第6話 腐女子ドリーム

本橋先輩と言うのは、

この高校で1番の爽やかイケメンと言われている3年生。


背が高く、陸上の短距離走をやっていて、

県大会にも毎年出ている実力派の体育会系モテ男子だ。


練習中の本橋先輩を見るのが目的の女子も多く、

放課後はトラックの横で沢山の女子が黄色い声援を送っているのが常で、

その様子は校舎3階の美術部の部室からも見えた。


高木君と言うのは、

この学校で1番可愛い男子と言われている1年生で、

P'デコと同じクラスの子だった。


「私、後ろの席だから毎日観察かんさつしてるけど、

高木君、そこらのアイドル男子より可愛い。

レオの女の子の可愛さとは違くて、

あくまで男の子の可愛さで、

色素薄くていかにもBLの受けって感じがイイ。

私と体交換してほしい。」


「わかる~!

体交換して本橋先輩に告りたいよねぇ~。」


リカちゃんがウットリしていた。


「高木君は解んないけど、本橋先輩は彼女いるじゃん?

本橋先輩と同じクラスの安藤安奈あんどうあんなって人!」


ミルキーの言葉に、

本橋先輩のそばにいつもいる、

小柄でボブの髪を明るい茶髪に染めた安藤先輩の姿が浮かび、

腐の者たちの腐女子ドリームが一瞬で壊れた。


「だよねぇ。

高木君も普通に女の子にモテモテだし。」


レオがつまらなそうに頬杖ほおづえいた。


「せめて2人が仲良くなって欲しい。

一緒に歩いてるのをコッソリ見たい。」


リカちゃんが窓の外のトラックで走っている本橋先輩を見ながら言った。


「あ~それな!

解る解る!

かべとか木になって2人同時に見ていたい。

もうそれだけで妄想もうそう止まらなくなるから、

実際じっさいカップルにならなくても充分じゅうぶんだよねぇ。」


3人はそう言うミルキーをしげしげと見詰みつめた。


ミルキーの美貌びぼうなら、

それくらいの機会きかいを作るくらいならチョロそうだったからだ。

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