第41話 results(その実験から得られたもの)
negative and/or positive ?
事務所から帰って来たコミネは、研究員室に戻るまでに買ってきた缶珈琲を一息で飲む。
P3 room の奥の部屋には防犯カメラが無い、だと。
事務員曰く、既に前室に防犯カメラが備えられており、通行は一方向なので1台の防犯カメラで充分である、だそうだ。
一体何んの実験をしているのだ?
独り考えているときに出張先から帰って来たハナダが研究員室に入って来る。
彼も缶珈琲を片手に待っている。
ハナダは珈琲を一口飲むとコミネに話し掛ける。
「先生、私達の実験が気になるようですね」
早々に
「いえ、実験そのものには興味は持っていません。ただ、セキュリティはどうなのか心配になっただけです。先生の実験には関わってはいませんが、私もチームの1員ですので」
「以前に私は言いましたよね、関わらない方が良い、と。これはあなただけの問題では済まなくなるのですよ。国家が・・・。」
「国がどうかしたのですか?」
「なんでも有りません、この実験には私達の企業だけでなく、文部科学省や、厚生労働省などが関わっているということです」
「など? 他にも関係している機関がある? ということですか?」
「何度も言わせないでください、関わるな、ということです」
ハナダの声には
ここまで来れば、もうコミネには質問すらできない、いや会話さえも。
コミネは天井を見ながら考えてみる。
その時、また、ハナダが最後に釘を刺すように言いながら部屋を出て行った。
「よく考えてみることです、いや考えるまでもない、絶対なのですから」
もはや有無を言わせぬ勢いだ。
守秘義務を背負わされるとか、そのような問題ではなくなっている。
コミネは、何も言わずに天井を眺めている。
オオサワ、ハナダ、モトキ。
企業、研究所事務、文部科学省、厚生労働省、など。
など?他に何かが関係しているのか? 思案してもしょうがないことだ。
いや、思案してはいけない事なのだろう、そう、関わってはいけない。
コミネは、その時、ふと思う。
タケダ、お前は何かを知ったのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます