第24話



 電話を切って、モトキの彼女サエは思う。もう終わりかな。


この一年で、モトキがどんどん変わっていくさまをサエは見てきた。


どう変わったのか?優しさが無くなった?思いやり?どうもしっくりしない。どう変わったのか、それを表す、表現できる言葉が見つからない。


サエはスマホをソファーに軽く投げる。


サエの知っているモトキは、確かに思いやり、優しさ、そんなものを誰よりも強く持っていたように思う。


何かが足りない?


足りないのではない。


不足していないのなら何なんだろう?


サエはソファーに座り直し、スマホの待ち受け画面を見る。そこには一年前のモトキの顔がある。清々しい笑顔がある。


そして今の顔を思い出す。


もう一度スマホの画面を見る。モトキの顔、満面の笑顔。


笑顔が足りない?もう一度、今のモトキの顔を思い出す。


足りないんじゃない、無くなったんだ。


だから何が?愛が?違う。人が無い?人じゃない?サエの直感である。


人じゃなくなった。


「私達、終わりにした方が、お互いの為なのかな」


そう言うと、また、スマホを軽くソファーに投げた。

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