第2話
「ふぁ~、よく寝た・・」
翌朝、ルシルは目覚め一番に体を伸ばす
『おはようございます。ルシル様』
大きな欠伸をするルシルに話しかけた者がいた。それはメイド服を着用した美しい少女だった。肌は白磁器のように白く、瞳と髪は美しい空色の100人が100人、美しいと答えるであろう美貌を持つ少女は美しい所作でルシルに近づき朝の言葉を贈る。
「おはようルル、今日の朝食は?」
『はい、本日は食パンにベーコンと目玉焼き、飲み物にコーヒーブラックを用意しています。』
「ん、いつも完璧だね」
『ありがとうございます』
「じゃ着替えるか、『パチッ』」
ルシルが指を鳴らすとルシルの衣類が寝着から学生服に変わる。
「さて頂くかな、ルル今日の予定は?」
『はい、本日は一限目が歴史ニ限目算式、となっております。』
「あれ?二限で終わり?」
『はい、本日は午後から王城にて海竜討伐を祝したパーティーが開催される予定です。このパーティーに王都にいる貴族は全員参加する模様です。その為、学園のおよそ9割いる貴族子女達はパーティーに備える為に早退、教師人も大半が貴族席を持っているため学園運営ができないと言うことから短縮授業にするそうです。ちなみに街もお祭りが開催される予定です。』
「なるほどね、俺はどうしようかな・・おすすめはある?」
『はい、ルシル様は人混みが得意でないので、王立図書館か、郊外にある湖、あるいは学園にある魔法訓練場などいかがでしょうか?王立図書館は本日祭りが開催されるので必要最低限の職員しかいないと思われます。』
「なるほど、たしかに静かに読書ができそうだね」
『郊外にある湖、ミスト湖はこの時期水鳥を主とした様々な鳥達が集まります。本日は天気もいいので絶好のバードウォッチング日和です』
「ふむふむ、で?最後のは?」
『最後の魔法訓練場ですね、私としては一番おすすめしたい場所になります。』
「訓練場が?」
『はい、私共もたまには力を行使したいのであります。ルシル様は魔物討伐もダンジョン攻略もされないので私共も退屈しているのです。本日なら警備員以外は誰もいないと思われるのである程度なら大丈夫かと・・・駄目ですか?』
そういうやルルは手を胸元で組みルシルを見つめた。その瞳には懇願の色な強く見られルシルは渋々了承したのはだった。
☆☆☆
「さてと、今日は誰にするかな・・」
二限の授業を終えたルシルは一人訓練場に来ていた。
訓練場はルルの予想通り誰もいなかった、朝一で訓練場の使用許可を取りに来たルシルを怪訝な瞳で見つめた教師の気持ちがなんとなく分かる。
ルシルは手を前に出すと
「我が前に現れよ、シャカ」
突如ルシルの前に炎の渦が巻き上がり中から真っ赤な髪をした男性が現れた
『よー、大将!!久しぶりに出番かい?』
「ああ、今日は暇潰しだから軽く流す感じで頼むよ」
『なんだ暇潰しかよ、大将よー、たまには魔物討伐でも行こーぜ?俺なら悪魔だろうがドラゴンだろうが消し炭にしてやるからよ!!』
「考えておくよ」
『頼むぜ、大将!!』
「わかったわかった、それより頼むよ」
『あいよ!!』
シャカは了承すると手を空に翳す
『我が為に姿を表せ炎の使徒』
シャカが呪文を唱えるとルシルとシャカから少し離れた位置に体中を炎で包んだ石の怪物が現れた。
「あれは?」
『おう!!ファイヤーゴーレムだ、ちなみに炎の下のボディはミスリルで出来てるから斬撃や殴打によるダメージは期待するなよ!!お気に召したかな?』
「ああ、これなら納得するだろ。じゃ行きますか」
『「!!」』
ルシルがファイヤーゴーレムに向かおうと瞬間ルシルとシャカは数人の人の気配を感じた。シャカはすぐにファイヤーゴーレムを消し、自身もまたルシル以外には視覚できないように姿を眩ませる。
「誰だ?」
『さぁな、とりあえず様子を見に行くか?』
「いや、その必要はない、クロウ」
『はっ、ここに!!』
ルシルが名を呼ぶと突然黒装束の男が現れた。
男、といったが人間ではない。体は人間の子供(6歳)位の背丈をしているが顔は人間ではなく猫、金の瞳が輝く綺麗な毛を流した美猫だ。
「なにがあった?」
ルシルはクロウと呼ぶ美猫になにがあったのか尋ねる。
『はっ、どつやら魔法練習場の裏、倉庫がある辺りで複数の生徒が一人の女学生を責め立てているようです。』
「なるほど、わかった。シャカ、というわけで遊ぶのは少しあとにしよう」
『おうよ。任せな大将!!今から助けに行くんだな!!』
意気揚々と自身の手に炎を灯すシャカ
だがルシルはそんなシャカを見て首を傾げる。
「いや、暫くすればいなくなるだろ?このまま待つさ。万が一誰かに見られると面倒くさいからね」
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