第74話

 夏休みも、終わりに近付く今日この頃。今日はなんと……!


 ピンポーン


「はーい」


 ドアの向こうから立花の声が聞こえる。

 そう、今日は立花の家で、から揚げをご馳走になる日だ!緊張してます。


 両親は居ないらしいけど、弟と妹が居るそうだ。べ、別に変なことする訳じゃないからか、関係ないけど!


 ガチャッ


「おーコウ、おはよー!暑かったでしょ?入って入ってー」


「お、お邪魔します…」


 は、初めて同年代の女の子の家に、お呼ばれされた。くぅー!青春!


 しっかし、でけーな。金持ちだとは聞いてたけど、まじで豪邸じゃね?


 立花の家は、外観からしてザ・豪邸って感じの白を基調とした、それはもうでっけー家だった。


 一体何LLLDDDKKKあるんだ?いや、キッチンはそんなにねーか。


「こっちの部屋で待っててー」


 立花が案内してくれた部屋も、でっけーテレビに観葉植物、何人で食事するんだ?って位のテーブルと普通に高そうな椅子が何脚もある。


 そしてふっかふかのソファーに案内される俺。うわぁ!身体が沈みこむよ!

 …たっかいんだろうなぁ。


 さっきから値段の事しか考えてないけど、普通にセンス良いから、あんまりゴテゴテしてなくて過ごしやすそう。


「ちょっと待っててね?」


 そう言って部屋を出ていく立花。周囲をキョロキョロ見渡してると見覚えのある姿を発見する。


 その子は鼻をスンスン鳴らしながら、あまり嗅いだことの無い匂いを感じている様で先程の俺のように、周囲をキョロキョロ見渡している。


 そして、目が合う二人。最初は警戒してるのか、じっとこちらを見てくるだけだ、しかしあの時の記憶が蘇ってきたのか


(あれ?何かこの人見たことあるような…?ん!?散歩の時の人じゃない!?え?何で何で!何でいるの!!えーっ!これって運命!?)


 アフレコ(俺)こんな感じで突撃してくる。


 そう、トルネードの様に。


「おーしおし!トルネード!久しぶりだなぁ!」


「あふぅ!ばふぅ!」


 犬とは思えない声を出しながら全力で、じゃれ付いてくる。うーん可愛いやつめ!


「よしよし!こうか?わしゃわしゃわしゃ!」


「くぅーんくぅーん!」


「おりゃおりゃおりゃぁ!」


 全身で戯れる二人。相性は抜群だ!


 ガチャッ



「おーい、おまたせー」


 そんな二人の情事を見られてしまった。俺達は今、高そうな毛足の長いカーペットの上で寝転がりながら戯れていたのに。


「まじで?トルネードが家族以外に、こんなに気を許す人なんていないんだけど!?」


 立花は俺とトルネードの親密ぶりを見て驚いてるらしい。


「ま、まあ昔から動物には好かれる傾向にはあるな」


 若干恥ずかしい格好だか、答えておく。

 すると、立花の後ろから、ちょこんと顔を出す二人。…あれ?あの子達って。


「あー!とるねーど!ずるい!ぼくもあそぶ!」


「うみちゃんもー!」


 そう言いながら俺とトルネードに突撃してくる天使が二人。この子達、体育祭ですれ違った天使だわ。


「うみー!そらー!あんまり暴れない!」


 きゃっきゃ楽しそうだった二人が立ち上がって立花の方へ向かう。


「ほら、お姉ちゃんのお友達に自己紹介して?」


 二人は立花を見ながらコクリと頷く。


「はい!たちばなりくです!よんさいです!」


 そう言いながら指は3本立ててるこれはなんだ!?何かの暗号か?


「りくくんそれはさんさい!よんさいはこうだよ!」


 もう一人の天使が修正してくれた。その天使が指を4本立てながら、こちらを向く。


「たちばなうみちゃんです!よんさいです!うさぎぐみです!」


 うん、素晴らしい自己紹介でした。


「ぼくもうさぎぐみです!」


 そっか、そらくんもうさぎぐみなのかぁ。


「こんにちわ、お姉ちゃんの友達の田中浩一です。よろしくね」


「「よろしくおねがいします!」」


 うーん可愛い。


「おにいちゃんはおねえちゃんのかれしなの?」


「か!?かれし!?ちちちち、ちがうよ?お友達だよ?」


「へーそうなんだぁ?でも、おねえちゃんがしゅうちゃんいがいの、おとこのひとつれてきたの、はじめてだから、かれしかとおもった」


「もう!うみ!変なこと言わないでよ!」


 顔を真っ赤にしながら怒ってる立花。最近の女の子は、ませてんなぁ。


「えっと、見ての通り双子であたしの弟と妹ね、わかると思うけど」


「あぁ、体育祭の時チラッと見たわ。立花の兄弟だったんだな」


 二人は、さっさとトルネードと遊んでる。トルネードも、しょうがないわねぇと、お姉さんの様に遊んでるみたいだ。


「えっと、ちょっと二人見ててもらっても良い?から揚げ作ってる時にキッチンに来ると危ないからさ?」


「あー油だもんな、全然構わんよ。子供好きだし」


「そっか!ありがと。じゃあ、パパッと作ってくるから!」


「楽しみにしてるわー」


 そうして、部屋を出ていった。さて、双子ちゃんは何してるのかな?そう思って二人の方を見ると、こちらをジーっと見てた。


「な、なにかな?」


 二人は俺の座ってるソファーに近寄ってきて


「「あそんで?」」

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