第71話
「おう、じゃあ手続き諸々は受付の奥でやって貰ってくれや」
「王子ー書類とか色々書いて貰うから来てくれー」
涼さん達三人で談笑してる。立花は目をキラキラさせながら涼さんと話してるがそんなに良いかな?涼さん。
「コウはあっちで美咲達と話しててよ。美咲が舞い上がり過ぎないように様子見ててね」
ここでもお兄ちゃんやってんなぁ王子。
「おう、じゃあ向こう行ってるな」
「ほうほう、それで学校でコウはやっぱり変な奴扱い?」
「そんな事は…ちょっとあるかも?コウって変わってる所あるじゃないですか?」
「あいつが変わった奴じゃなかったら世の中変わった奴なんて居ないよな」
何だか二人が俺を出しに仲良くなってる。立花俺を変わった奴だって思ってたのか…。
思い当たる節がありすぎる。
「コウ、王子は?」
「入会の書類やら書いてる。てか人の事変な奴呼ばわりはどうなんだ?因みに二人も十分変わってるからな?」
二人は顔を見合わせて、まさかぁみたいな顔をしてる。どう見ても変わり者です。
「あたしは普通でしょ?変わったところ何てあんまり無いよ?涼様は変わってるって言うか凄い!って感じじゃない?」
「そうだよねー?美咲ちゃんはわかってるなぁ。やっぱり俺のファンは良い子ばっかりだよ!」
「ありがとうございます!一生ついていきます!」
ぐぬぬ…口では勝てない。
「もう良いや、気が付いて無いなら」
呆れながら二人を見る。俺から見たら涼さんも、立花も十分変わってるけどなぁ。
その後は適当に雑談しながら王子を待つ。立花が涼さんのファンになった時の試合の話や、その時の試合の事なんかを話してたら、王子も書類書き終わった様で、戻ってきた。
「そうなんだよねーあの試合はさあ、気合い入ってたから練習に熱が入りすぎて誰も練習相手になってくれなくて、ずっとコウとスパーしてたなぁ」
「まじであの時大変でしたよ。みんな涼さんと目を合わそうとしないし!目があったらバトルだ!みたいなポケモンのトレーナーみたいでしたからね」
「お待たせー!これで僕も仮とは言えこのジムの一員だよ!よろしくお願いします!先輩方!」
「涼さん!先輩だって!俺ジムに入って初めて言われましたよ!今まで年下どころか同い年の人だって居なかったんですから!」
俺が王子から先輩と呼ばれて感動してると
「何だよ?ジムではお前の方が先輩な奴の方が多いだろ?」
「だって!長く続く人なんて一握りじゃないですか!それに、皆年上だし一年ちょっと前まで中学生ですよ俺!中学生に先輩!って皆言わないでしょ!」
「まーそうかも。だってコウは先輩って感じじゃないだろ。大体中学生でうちの練習についてくる奴がおかしいんだよ」
いやいや、ちゃんと会長も俺には手加減してくれてますよ!……多分。
「そう言えばさーコウは試合とかしないの?高校生でもアマチュアとかなら結構試合やってるよね?」
立花がそんな事を聞いてくるが
「俺にはなぁ、まだ早いんじゃ無いかな。まだまだ試合出来るレベルじゃ無いと思うよ」
「ふーんそうなんだ?コウ強そうなのにね?体つきとか!」
二人で話してると涼さんがジト目でこちらを見てくる。
「はぁー…わっかんねぇかぁ。別にもう慣れたから良いけどよぉ。……てか体つきってお前達まさか!不純な関係を!!」
「な、なに言ってるんですか!!海ですよ!海に行った時に水着を!!」
「あははー!コウ焦りすぎ!涼様だってからかってるに決まってるじゃーん!」
涼さんを見るところニヤニヤ笑ってやがる。この人絶対今日からかう為だけに来ただろ。
「でも、コウが試合してる所は、いつか見てみたいなぁ」
「僕も見てみたいかな。コウって試合の時どうなるかも見てみたい」
「逢坂くんはとりあえず練習で動くコウは見れるんじゃない?試合はまあ、最初はあんまり面白く無さそうだなぁ」
すみませんね。涼さんみたいに華がなくて!
「いつかな、俺もやってみたいと思うし。それにはもっと練習頑張らないと!」
「おう、鎌田!お前ちょっと来い」
「俺っすか?…じゃあ今日はこの辺で。美咲ちゃんまた試合来てよ?逢坂くんはこれからよろしくね。コウは……」
そう言いながら近付いてくる涼さん。何だ何だ?
「これを使う日が来るのを楽しみに待ってるぜ」
耳元で囁きながら何か握らせてくる。何だ?小さくてビニール?何か入ってるみたいだけと……。
「っ!!ちょ!涼さん!」
「それじゃーねー!」
軽やかに去っていく。手の中を見ると………どう見てもコンドームです。ありがとうございました。高校生相手に何渡してんだ!
……大事にポケットに仕舞っておこう。
「なーに貰ってたの!コウ!」
「い、いや別に何も」
「えー!絶対貰ってたってー!何だろう?手に収まる位でコウが欲しいもの…」
やめて!考えないで!
「うーん……あっ!わかった!」
「えっ!?いや違うから!全然そんなんじゃ無いから!」
バレたの?くそ!涼さんのせいだ!
「から揚げでしょー!コウ好きだもんね?」
「……あの、手のひらに直接から揚げってそれはもう嫌がらせです」
「あははー!そうかな?コウなら喜ぶんじゃないのー?」
やっぱり立花も変な奴だよな?
「コウ、他はどんな感じで練習してるの?」
いかんいかん、今は王子の見学案内だった。
「おーあっちにサンドバッグあるからちょっと行くかぁ」
入会はしたが、案内はまだやろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます