第55話
「そぉぉぉれぇぇい!」
バシンッ!
「アウト」
今は皆でビーチバレー中、ちなみに俺はスパイクが強すぎて女子が取れない為審判だ。
「嘘だろコウ!今のは完全に入ってただろ!俺のスパイクが強すぎてボールが燃えて破裂したけどそれはノーカウントだよな!?」
「ほれ、これがお前が破裂させたらしいボールだ。サーブは王子達な、お前次はずしたら負けだぞ?」
「くっ!次こそは!」
チームはタクと委員長VS立花と王子だ。しかし、もう王子達がマッチポイントだけどな。
「もう!川島君ちゃんとやってよ!負けるじゃない!」
「任せろ委員長……ここから俺のチャンピオンロードが…」
バサッ
「ポイント、立花王子ペア」
「やったー!あたし達の勝ちー!」
「やったね美咲これで昼御飯買うために並ばなくて良くなった」
そう、負けた方は海の家の微妙な焼きそばわ買うために並ぶと言う罰ゲームつきだ。
「もう!川島君がちゃんと前見てないから!!」
「俺は燃え尽きたぜ……真っ白にな……」
「取り敢えずタクと委員長焼きそばよろしく。俺は飲み物買ってくるわ春川はこっちの着いてきてくれよ?」
春川は運動得意じゃないから最初からビーチバレーには参加してない。てか春川が参加した方が負けそうだしな…
「うん、一緒に買いに行く」
「じゃあ、あたし達は優雅に待ってようか?王子!」
「そうだね、勝者の余裕かな?」
二人はレジャーシートに寝転がりながろ皆を待つみたいだ。くそ、絵になるな。
「それじゃー行こうかー」
それぞれ買い出しに行く。
「春川楽しいか?海」
春川と一緒に近くのコンビニに来てる。春川はいつも大人しいから本当に楽しめてるのか不安になる。
「うん!とっても!皆と仲良くなれて良かったなーって思ってる。あんまり楽しくなさそうに見えたかな?」
もう、友達として接する様になってから数ヶ月が経ってる。正直春川は自己主張があまり無いから感情が分かりにくいと思ってたけど多分こいつは、本当に嫌なら来ないと思う。
立花が来るならワンチャンあるかもしれないけど、本当に嫌なら来ないし何なら途中で帰りそう。気弱に見えるが俺達の中で一番我が強いのかもしれない。
「いや、楽しんでるんなら良いんだ。やっぱ遊びに来たら皆で楽しみたいだろ?」
立花が春川を放っておけないのが何となくわかる気がする。本人はマイペースだしあんまり人の事気にしてない様に見えて実際は空気を読んでる時もあるしな。庇護欲を誘うのもわかる。
「ふーん、でもみーちゃんはあげないよ?」
「は?い、い、いや!何言ってんだ!」
「んふふ、まあ良いけど?みーちゃんは私の物だから!」
「いやいや…立花は立花だし物じゃないだろ…」
「物の例えだよ!さあー皆のところに戻ろう!」
そんなドキリとする会話をした後に王子達が待つであろう場所まで戻る。
「ちょっと!触んないでよ!」
あの声は立花!?走って近くまで行く。立花は三人の男に囲まれていた。そして一人の男に腕を掴まれている。
目の前がカッと赤くなる。ダメなのはわかってる。これでも俺はプロを目指してる格闘家だ、自分の脚や拳が武器になることも十分わかってる。
けれども足は止まらない。わかってる、止めるだけだ。あいつらぶっ飛ばしてやる。
立花の腕を掴んでる奴の腕を掴む。
「おい止めろ」
自分でもビックリする位低い声が出た。腕の血管がこれでもかと浮き出てる。
「あ゛?なんだてめっ……」
そう言いながら振り返る男達。俺を見た瞬間言葉を失っていた。自分でもヤバい顔をしてるのがわかる。人通りが無かったら何してるか、わからん。
「い、痛い…あの、すいません…腕を…」
急に弱気になる男達。女の子一人だからって強気に出て男が来たらこれか?マジでこいつらどっかに連れていって……。
「ごめんコウ!トイレに行ってて!!」
王子か戻って来た。王子にしては珍しいミスだ。ただ生理現象だ仕方無いだろ?
「取り敢えず立花の方へ俺はこいつらと向こうの人が居ないところで話をしてくる」
「す、すみません!許してください!」
「おーいみんなー!焼きそば買ってきたぞー!あれ?何だこれ?どういう状況?」
タクが帰って来た。そりゃそうか、焼きそば買って帰ってきたら半泣きの男とその男の腕を掴んでる親友だもんな?
「いや、まあ色々な」
「はぁー…それ!」
ベシッ!
タクにチョップされた。
「いてえよ何すんだ」
「お前が何してんだよ冷静になれ?そのままどっかに連れていったら誰に迷惑が掛かるか考えてるか?ちなみに俺も迷惑だ」
呆れたようにそう言ってくるタク。
……会長や涼さん、ジムの人達の顔が浮かぶ。
「コウ僕のミスでもあるからその辺にしてあげてくれない?」
「ふぅ…すまん皆冷静じゃなかった。おいお前ら、もうこんなことすんなよ?」
「「「すいませんでしたー!」」」
走って去っていく三人組。はぁやり過ぎた。気まずい…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます