第54話
ガシッ!
「どどどー言う事!さいアリでやるって!」
立花が俺の腕をガッシリ掴みながら問い詰めてくる。結構な力だし、何より近い……。
「あ、あの立花さん…近いです……」
「はっ!ご、ごめん……いや!まずどういう事なの!?さいアリでやるってあたしがパパと行きたかったやつじゃん!?そこでセコンドやるって……えぇ!?」
一瞬自分の行動に驚いて離れたが、試合の事が気になりすぎてるのか、また早口で捲し立ててくる。
「いや、セコンドの手伝いだって…ちゃんとしたセコンドの人は居るし、他にもジムの人達が来るから俺なんて本当に手伝いだけだよ。雑用みたいなもんだよ」
そう、あくまでも加納さんの手伝いだからそんなに重要な事やらされる訳じゃ無いだろうし。
「それでも!関係者って事はバックにもコウは入れるの!?ええ!もしかして涼様にも会ったりするの?羨ましすぎる!!!」
へ?涼様って……。
「えっと立花、涼様って……」
立花にそう話を振ると目を爛々と輝かせながら語り始める。
「あ!そりゃコウは知ってるよね!鎌田涼様!!現在日本最強って言われる程の強さを持ってて21戦21勝17KOってすんごい成績残してるし打撃も寝技も両方高レベルでこなすし、タックルに合わせるカウンター何て速すぎて目で追えない位なんだよね!!それなのに、ファンには紳士的でメディアへの露出は少ないけどそこがまた涼様のミステリアス感を演出してて良いしさ!!」
あんれぇ?名前と戦歴は一緒だけど俺の知ってる涼さんとはイメージが全然違うぞ?
確かあの人可愛い女の子としか写真取らねーって言ってたし、メディアの取材とかは面倒だって言ってたしなぁ。
ある時なんて取材の打診があった時にその日は予定があるからって断ってたけど涼さんに予定って何ですか?って聞いたら
「あ?そりゃアイリスの美佳ちゃんと同伴すんだよ!今日こそイケル気がする!」
とか言ってましたけど?まあ、その後綾さんにバレてボコボコにされてたけど…。
ちなみに綾さんに教えたのはもちろん俺です。
「あー涼さんのファンなんだ立花って」
「そう!てか涼様ね?いくらコウでも涼様の事を……あれ涼さんって知り合いみたいな呼び方…もしかして…」
「うん、一応その涼様のセコンドの手伝い」
「あばばばばばばばば!!」
「しゅうちゃん!みーちゃんが壊れちゃった!!」
立花に駆け寄る春川。
「まあ、大丈夫じゃない?顔は幸せそうだし…」
流石の王子も立花の反応には少々驚いたのか困り顔だ。
「ぜっっっったい行くから!地球が滅んでも行くし!!」
その後正気を取り戻した立花は高らかに宣言してた、地球が滅んだら来れないだろ。
「あぁ、じゃあ立花は参加って事で、委員長と春川さんはどうする?」
「あの…私も行っても良いかな…みーちゃんも行くみたいだし、殴られる人ってどんな風に見えるか見てみたいし」
「それじゃあ、私も行こうかしら?半裸の男性が肌を重ねる……いえ、後学の為に」
二人共理由がぶれねえな。
「わかった。じゃあ全員参加って事で伝えとくわ」
「はぁー…涼様に会えるなんて…生きてて良かった!!」
そんなか?ただのふざけてる兄ちゃんなんだが俺には…。
「美咲、良かったね。それじゃあ、海を楽しもうか?」
「おう!行くぜ俺は!!」
「皆行ってきて良いよ…私荷物見てるから」
「そう?春川さん一人だと不安ね?私も残るからしばらくしたら交代してくれる?」
「おし!じゃあ先に遊んでくるわ!」
4人で海に向かう。
「てか涼様の事で忘れてたけどコウ!なんでその筋肉隠してたの!?ちょっと触らせなさい!!」
「別に隠しては無いだろう。立花の前で見せてないだけだろ?あと手を動かしながら近寄るな怖い」
手を揉むように動かしながら近付いてくる立花。そう言えばこんなこと前にもあったな。
「えー良いじゃん!触らせてよー…ダメ?」
「い、いや、まあ良いけど…」
確か前は断った気がするけどあの時とはなぁ俺の心境が違う。
「よしよし!よろしい!」
サワサワ……
何がよろしいのかわからんが立花が触り始める。何か変な気分……俺の下半身よ頑張って!!
「ふむふむ、成る程カッチカチじゃ無くて程よく柔らかさもあるしなやかな筋肉ですね…これはS級です!」
「S級?が何かわからんが多分誉めてくれてんだろありがとう」
「いえいえ、こちらこそ立派な物を触らせていただいてありがとうございました」
立花筋肉好きすぎてキャラ変わっちまってるが?
「おーい!二人共イチャついてないこっち来いよ!」
タクが途中で止まってた俺達に声をかける。イチャついて見えてたか…ふと、立花を見ると顔を赤くしてる。
「うるせー!イチャついてなんて無いわー!このー!」
顔を赤くしながらタクと王子の方へダッシュする立花。俺とのイチャつきは恥ずかしかったですか……はぁつらたん
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