第52話
「おーおはよう立花」
テストも終わり、後は夏休みを待つばかりの今日この頃。
「おはよーそう言えばテストどうだったー?大丈夫だって言ってたし、心配はしてないけど」
「おー立花達のおかげで、かなり良かったわ!いやーテストで親に褒められたのなんて、小学校以来じゃないか?」
別に成績が悪いわけじゃ無かったが、特別良かったわけでもない。
そんな俺が高校で中々の成績を収めたことで両親は感心していた。
「ほうほう!良かった良かった!教えたかいがあったってもんだよ!これで後は海に行くだけだね!海の家で焼きそば食べたりしたいんだよねぇ」
「立花は友達と海とか結構行ってそうなのに食べた事ないんだな?」
「あー海の家ってさ結構ナンパしてくる奴が多くて女子だけで行く時は近寄らなかったんだよねー。でも今回はコウ達がいるから行ってみたいなーって」
立花の容姿なら、そりゃナンパしてくる男の一人や二人はいるよな。
「なるほどなぁ、顔が良いってのも考えものだな」
王子も大変だろうな、顔の整い方なら立花より上かもしれん。
「へ?なになに!褒めたって購買のパンぐらいしか出ないよ!!」
「しっかり出てるじゃねーか。じゃあ俺が飲み物買うからパン奢ってくれよ」
「おっけー!じゃあ今日はみんなで昼休みご飯食べながら海で何やるか作戦会議だね!王子にも連絡いれとこー…連絡しなくても、どーせくるか!コウ達このごろずーっと一緒にいるしねえ、麻衣なんて二人にちょっと嫉妬してたよ?王子を取られた!って言ってたし」
確かにこの頃王子は昼になれば俺たちの教室に入り浸ってる。おかげでファンクラブ?の人達からも顔を覚えられて、たまに廊下ですれ違うと挨拶してくれたりする。王子のファンクラブは色々掟があるらしいから、王子の関係者への接し方にも何かマニュアル的なものがあるのかも?
「そうだなーもうすっかりクラスの連中も王子に慣れたみたいで普通に話しかけたりしてるし、用事が無くても来るだろ今日も」
「ほんっとーにコウ達と王子が仲良くなって良かったぁ。最初はね?王子もコウの事すっごい警戒してたみたいなんだけどねー今ではあたし達と変わらない位仲良いしやっぱり男同士だと仲良くなるの早いのかなぁ」
「んーどうだろな?友達が少ない事で有名な俺からすると、ちょっとその質問の答えは出せそうにないわ」
「あはは、友達少なくても良いじゃん!別に友達の数なんて本当に仲良い人が居れば関係無くない?あたしは麻衣とか王子、それにコウ達もだね。これだけ仲良い友達がいるなら別にもっと友達ほしー!とか思わないけどー」
「そうだな、友達は数じゃねーよな!それに、仲の良さも時間の長さじゃねーって事だろ。王子と俺たちの事で言うと」
「あーそうかも。コウとは、もうすっごく仲良いけどそんなに仲良くなって時間経ってないもんね?やっぱり相性が良かったんでしょ!へへへ」
にへらと笑いながらそんな事を言う立花にまたドキリと胸が高鳴る。
ここまで仲の良い友達アピールされると全然踏み込めません!立花は間合いの達人かよ。ハンターハン○ーのノブ○ガか!?…いや、あいつの円は狭いわ。
「おーし!後ちょっとで夏休みだし今日も一日頑張ろー!先教室行ってるーまた後でねー」
そう言いながら早足で駆けていく立花。
そう言えば涼さんの試合の事今日も聞けなかった。追いかけてもっと話したいが流石にキモいか?うーんわからん…。
「おっすコウ、なんだ?難しい顔して?」
後ろからタクが来てたのにも気がつかない程悩んでたみたいだ。
背後を取られるなんて不覚!
「何故だろうな、モブ顔だからじゃないか?あらためて問われると答え難いものだな。動機の言語化か…あまり好きじゃないしな。しかし案外…いややはりというべきか。自分を掴むカギはそこにあるか……」
「俺以外ハンタ○のクロロのセリフだってわかんねーから、他の奴には言わない方が良いぞ?まじで変な奴だと思われる…思われてたわ」
「うっるせー!こっちは青春の悩みを爆発させてんだよ!ク○ロの真似ぐらいやらせろよ!タクはモタリ○みたいな顔してんな!」
「だから誰もわかんねーってそれ!俺はわかるけど!」
「タクがわかるなら良いじゃねーか。さて、もうそろそろ夏休み始まるし色々と勝負の夏休みだな!タク君のちょっとイイとこ見てみたい!」
「はーもう良いわ。最初はグー!」
笑いながらタクと追いかけっこしていた。もちろん二人共不審者を見るような目で周りからは見られてた。
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