第43話
その日は三人でワイワイ喋りながら帰った。
「でさーコウの奴フィ…フィー…何とかとケイオスがどうのこうの言っててさー」
くっ!こいつ覚えてやがったのか!
「あはは、男の子は誰でもあるかもね。多かれ少なかれ」
王子、俺は多い方でした。
「多少気持ちは分かるけどよ、あそこまで決まってると逆に感心したわ」
「あーうるせーな!忘れろよタク!」
「いやーあれは……忘れらんないだろ!」
「「「あはは」」」
三人で笑いながら帰る。
「さてじゃあ俺はこっちだから、次は日曜日に買い出しなー!タク、遅れんなよ?」
タクと王子に別れを告げる。
「おう、お疲れ王子、コウまたなー」
「二人共日曜日にね!──それと、コウ大丈夫そう?」
「んー多分大丈夫じゃねーかな?てか、王子の事つけてきたのかもだろ?」
王子が何を心配してるかと言うと、学校から一年の静原さんがついてきているみたいなんだ。
俺は王子についてきていると思ってるから心配なのは王子の方なんだがな?
「うーん、十中八九コウをつけてると思うけど…気を付けてね?コウが思ってる以上に女の子は怖いよ?あの雰囲気ならいきなりどうにかなる…って事は無さそうだけど」
まあ、王子位の顔面になると女子とも色々あるか、それにしても怖い事言うなよ。
「え?そんなヤバいの?」
あんまり重たく考えてなかったから、びっくりしてる。
「あーいや、そんなに考えなくても良いかもね、もし違ったらあの子にも悪いし一応気を付けてねってだけだから!ごめんねなんかお節介で」
王子は俺を予想以上に驚かせたと思ったのかフォローをいれてきた。本当に大丈夫なのか?だってさ、こんなこと初めてなんだよー!
「いや、忠告ありがとな、一応気を付けて帰るわ」
若干の不安を抱えながら二人と別れる。
──コツコツコツッ
ピタッ
はぁ、どうやら本当に俺をつけてるみたいだ…俺が止まると静原さんも止まる。
明らかにつけられてる。
しかし困ったそろそろ家に着くが流石に家は知られない方が良いよな?
声、掛けてみるか。
俺は振り返り静原さんに話し掛ける。
「あのー静原さん、だよね?」
ビクッ!!
静原さんは尾行がバレてないと思っていたのか、かなり動揺してる。
「た、た、た、た田中せ、せ先輩!偶然ですね!こんな所で会うなんて!」
えぇー偶然で済ませんの?これを
「ははは…」
何て返事したら良いんだ?
「あ、あ、あのですね!この前言っていたお礼の件なんですが!」
おいおい、話がいきなり過ぎるだろ。一応偶然会ったって事になってんだろ?
「あぁ、そんな話もしてたかな?でも全然気にしなくて良いからさ」
この話をしたかったのかな?
でも、その為に尾行までするか?
「いえいえ!ぜ、是非お礼をさせてください!それで、ですね、今度の日曜日に一緒に出掛けませんか!!」
圧が凄いよ静原さん。
しかし日曜日かぁその日はなぁ。
「えーっと日曜日だっけ、ちょっとその日は予定があって無理なんだよね。ごめんね」
勉強会メンバーで海の為の買い出しがあるしな!
「え?あ、いや…え?あ、あれ?あの、今断られました?」
静原さんは断られるとは微塵も思ってなかった様で凄く混乱してるみたいだ。
まあ、こんだけの美人だから断られた経験が無いのかもしれないな。
「あーっと、何と言うか、端的に言えばそうなるかな?」
別に他の日でも良いなら良いんだが、俺みたいなモブに断られたらやっぱり傷つくよな。
静原さんは赤かった顔を青くしながら
「あ、の……ありがとうございました!」
ダッシュで去っていった。
何に対してのありがとうなんだ?
日曜日───
「おう!おはよう王子、委員長!」
今日は買い出しの日だ。
静原さんはあれから姿を見せてない。
まあ、そうだよな。俺に断られるとか最悪だよなぁ。
「おはよう田中君、時間通りね」
委員長は私服もお洒落だな。
まあスタイルが良いから何でも似合いそうだが。
「ん?なによ、じろじろ見て?何か変かしら?」
おっと、見すぎたようだ。
「あぁごめん委員長似合ってるなって思ってさ」
「あら、ありがとう。田中君は……まあ普通ね」
うっ!普通なだけましか?
「おはようコウ、あのあと大丈夫だった?」
王子が話し掛けてくる、やっぱり気になってたみたいだな。
「あぁ、LINEで連絡した通り大丈夫だったよ。話し掛けて色々話したら帰った」
誘いを断ったことは静原さんの名誉の為にも黙っておこう。
「そっか、僕の考えすぎだったみたいだね。それなら良かったけど、あの子には悪いことしたかなぁ」
別に静原さんも悪気があってつけてきた訳じゃ無さそうだしな。
「まあ、大丈夫じゃない?もしかしたらもう絡んできてくれないかもしれないし」
はぁ…仲良く出来れば良かったんだけどな。
「何々?面白そうな話をしてるじゃない?」
委員長が興味深そうに話し掛けてくる。
「いやー俺の勘違いだから別に面白くも何とも無いよ委員長」
委員長には申し訳ないが静原さんの名誉の為詳細は伏せよう。
「ふーん、まあ田中くんに女の子…は無いかもね」
「おい委員長!俺に女の子は無いってどう言うことだよ。ちょっとひどくないか?」
俺だって…いつかは……!
「あらごめんなさい、そうね、私の勘違いもあったみたいだし」
勘違い?何の事だ?
「勘違いって……?」
「立花さん達の事よ」
そう言えば委員長って立花の事知ってるんだよな?
「そう言えば委員長、立花達の事知ってたんだよな?」
「ええ、知ってたわ。知らなかったら絶対に止めてるもの」
そうだよな?
「じゃあ何で俺とタクに協力するなんて言ったんだ?」
「おーい!お待たせー!」
遠くからタクが歩いてくる。あいつ遅刻してるくせに、走れよ!
まあ、まだ立花と春川が来てないから良いけども。
「あれは……」
委員長はタクの方を見ながら考えてる。
何なんだ?
「二人がお付き合いしてると思ってたのよ」
「はあ?」
こいつ何て言った?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます