第41話
話も終わり三人で喋ってると
「ねえコウ、あの子さこの頃ずっとこっち見てない?」
王子が何か言ってる。
お前を見てんだよ!
心のざわつきを押さえながら出来るだけ冷静に喋る。
「王子のファンじゃねーの?」
そう言うと王子は少し考えながら
「うーん、多分コウを見てると思うんだよね」
「いやいや、俺なんて見て何になるんだよ?あの子さ、俺と話してる時王子が来たらダッシュで逃げていったんだぞ?恥ずかしがって逃げたんだろうから王子に好意があるんじゃねーの?」
なんだなんだ?鈍感系主人公か?
「……ああ、あの時教室の前で話してた子かぁ。なるほど、だからあの時コウがちょっと怒ってたんだね。話してた後輩がいきなり僕に照れて逃げたと思ったから」
くそ!いらんこと言って墓穴を掘った!
「ああ!そうだよ!ちょっと恥ずかしいわ!」
「あはは、理由がわかって良かったよ。まあそれは置いといて、あの子はコウを見てると思うよ。これでも僕は人に見られ慣れてる自信だけはあるからね」
王子がいきなり説得力のあることを言い出した。しかし、俺なんて見るか?
「あーあの時のお礼がしたいけど一回逃げたから話し掛けづらいんじゃねーの?」
たまにはタクもちゃんとした事を言うな。
「あーそうかもな、今度俺から話し掛けるか」
「それが良いかもね、うーんそっか…色々分からないと誤解を生む事になりかねない…のかな?」
何か王子がぶつぶつ言ってる、なんだ?
「あの…さ、僕は二人の事友達だと思ってるんだけど、二人はどう…かな?」
王子が不安げに聞いてくる。
「ん?何言ってんだよ!」
タクの発言に王子がビクついてる。
「付き合いは短いけど俺達はもう親友だろ!水臭い事言うなよ王子!」
うんうん、そうだよなタク。
俺が頷きながら聞いてると王子が俺の方も見てきた。
「何を心配してんだよ。俺もタクと一緒で王子の事は親友だと思ってるぞ!」
そう言うと王子は決意を固めたような表情で
「そっ…か……。あのね、タク、コウ、二人に伝えなきゃいけないことがあるんだ。放課後にさ話……聞いてくれる?」
なんだ?伝えなきゃいけないこと…?
「おう!じゃあ放課後空いてる教室に集まるか!」
「あぁ、俺はそれで良いぞ」
タクと俺の返事を聞いて少しホッとした表情の王子。
「じゃあ放課後に、僕はそろそろ教室に戻るね。二人共また後で」
「また後でなー王子!」
王子が教室を出た後タクに話し掛ける。
「なあ、何だと思う?王子の話って」
「あ?何だろうな。ツボ買えとかじゃねーの?」
タク、お前適当すぎんだろ。
「お前は買うか?タク」
とりあえず聞いてみるか。
「うーん、これでモテるようになるとか言われたら、揺らぐかもしれん…」
「お前は何買ってもモテモテにはならないから安心して買うな」
「うるせー、それはお互い様だろうが。まあ何にしても王子は王子だろ、変わんねーよ」
こいつのこう言う所は本当に尊敬できる。
ここだけな!
「そーだな何でも良いか」
「おう!一応金だけ用意しとくわ!」
「ツボ買う気満々じゃねーか!」
放課後───
「二人共お疲れ」
王子が教室まで迎えに来た。
「おーう、お疲れ王子」
「おつかれー王子!今日勉強会あったっけ?」
立花が王子に話し掛けてる。
「お疲れ美咲、そうじゃなくてね……」
教室の端に行って何やら話してる。
立花に関係あることなのか?
「ふーん……良いんじゃない?二人なら」
何やら話してるが聞き耳立てるのも、どうかと思いタクと適当に話す。
「ごめんね二人共、お待たせ。じゃあ行こっか」
立花はこちらを見ながら手を振ってる。
立花的には喜ばしい事なのか?
「おし、行くか。立花は大丈夫だったのか?」
一応王子に聞いてみる。
「うん、二人になら良いってさ」
立花の許可がいること。
あーもしかして二人は既に……。
「俺達も立花から信用されたもんだな!悪い気はしない!」
タクも言ってるが、立花には随分信用されてる気がする。
二人の関係を打ち明けてくれる位だしな。
「ははは、僕も美咲に信用出来る人が増えて嬉しいよ。さあ、着いたね。中に入ろう」
ガラガラガラッ
「おーし!どんと来い!王子!」
タクのリアクションはいちいちデカイ。
「相撲でもやんのかよ、静かに聞けバカ」
「あはは、タクは僕の緊張を解そうとしてくれてるんだよね。ありがとう」
いやいや王子、こいつはそんな事を考えてないぞ多分。
さて話って何だろうな?
俺が思うに多分立花と王子が付き合ってるとかそんな事を言われるのかな?と思ってる。
「ふっー……緊張する。先に二人に言っておくね。もしこの話を聞いて僕の事が嫌いになっても、全然気にしないから、素直な気持ちを言ってくれて良いから…」
おいおい王子よ!いくら俺が立花の事を好きになりかけてたからってそんな事で親友を嫌いになんてならねーよ!
「王子安心しとけ、俺もコウも別に何も気にしねーからよ!」
「う、うん………あのさ、僕ね……」
俺は素直に二人におめでとう!と言おう!
「ゲイなんだ」
あれ?なんか既視感が………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます