第37話
「おっす、コウ」
「おう、おはようタク」
朝のいつもの光景だ。
「昨日の勉強会どうだったよ?」
「あぁ、すげえ身になった。頭良い奴は教え方もうまいな」
タクが羨ましそうに
「へーやっぱりそうか。俺も教えて貰えたらなぁ」
タクか、タクなら混ざっても大丈夫か?
「あー保証は出来ないけど、一応今日もやるから立花達に聞いてみるか?」
「マジで!?俺も結構期末ヤバそうだったから頼む!」
取り敢えず話してみるか。
「おはよう立花」
「おはよーコウ」
「おはよう田中君」
今日も相変わらず二人一緒だな。
「昨日の勉強会、かなり為になったわありがとな」
「うんうん!感謝しなさい!」
ニッコニコで頷く立花。
「王子も楽しかったから、またやりたいって言ってたよ」
「そっか、俺からしたら願ったり叶ったりだな。それとさ、今日勉強会やる時タクも呼んで良いか?」
「川島を?ふーん」
微妙な顔をしながら春川の方を見る立花。
そりゃ気になるだろうな。
「立花も言ってただろ?慣れた方が良いって他の人に」
ここで交遊関係を閉じてしまったらあんまり意味無いだろ?
「まーそうだけど、麻衣はどう?」
「わ、私は…み、美咲ちゃんが良いなら…」
春川を少し呆れたような目線で見ている立花。
「はぁぁぁーあんたの為に聞いたんだけどね、コウ!あたしは全然良いよ。後は王子に確認してからかなぁ。多分良いって言うだろうけどね」
心配してても本人には中々伝わらないってやつだな。
そこへ珍しく委員長が話し掛けてきた。
「何だか面白そうな話してない?」
「ん?委員長も来る?」
委員長は別に良いんだな立花。
「えーっと田中君と川島君と立花さん迄は聞こえたんだけど、後は誰が来るのかな?」
「後は、春川と王子だな」
「そっかーお邪魔しても大丈夫?」
委員長も乗り気みたいだな。
また頭良い組が強化されそうだ。
「うん、一応王子に聞くけどOKだと思う」
まあ、立花が良ければ王子は良いって言うからな。
「はーい、席に着けー」
「立花さん田中君また後でね」
委員長が自分の席に帰っていった。
「タク、多分大丈夫そうだぞ?勉強会」
「おぉ!マジか!やったぜ!」
「そこ、うるさいぞー」
タクがうるせえから怒られただろ…
そして昼休み。
「あ、あの、田中先輩いらっしゃいますか?」
お?誰だ?名前は地味だか、このクラスに田中は俺しかいない。ちなみに山田も一人だ。
声のする方を振り向くと…
「あぁ、あの時」
タクと帰ってる時に絡まれてた子か。
「あのお礼が遅くなってすいません…昨日も教室まではお伺いしたんですけど」
「いやいや、お礼なんて要らないのに。わざわざ二年の教室まで来てもらって申し訳ないね」
「いえ!本当に助かりました。あの、私一年の
「えっと、俺は田中浩一です。」
しっかし美人だな…後大人っぽい。
これで一年かぁ将来はもっと美人になるんだろうな。
「知ってます!二年の田中先輩!リレーのアンカーかっこ良かったです!」
こんな美人に格好いいなんて言われる日が来るとは!アンカーやって良かった!
「あー見ててくれたんだ。ありがとう」
内心は隠して出来るだけ普通に喋る。
表情に出てないよな?
「あの…それでですね…この前のお礼に…」
「おーいコウくん。来たよー」
後ろから王子がやってきた。
「お疲れー王子」
静原さんは王子の方を見るなり
「す、す、すいません!それじゃあまた今度!」
ダッシュで帰っていった。
そりゃそうか、王子だもんな。カッコいいもん…
「さっきの子は、どうしたの?」
「うるせえうるせえ!中に入るぞ!」
お前のかっこよさにビビって帰ったんだよ!
「お疲れ美咲、麻衣。何だかコウくんが怒ってるんだよね。何でだろう?」
「その話はもう良いよ。それより立花、タクの事話してくれてんの?」
立花がこちらを振り向き
「もちろん!王子もOKだってー」
タクの方を見るとこっちを凝視してる。
そんなに見んなよ怖えだろ。
「タクーこっち来いよ」
ダッシュで来るな。勢いがありすぎるだろ。
「王子、こっちが俺の友達の川島卓也。
タクこっちは…知ってるよな」
なんたって王子の情報を聞いたのはタクからだし。
「初めまして、逢坂修司です。川島くんで良いのかな?」
「よろしく、おう、坂」
こいつ今絶対王子って言おうとしたな。
「ははは、無理しないで王子って呼んでもらって良いよ」
「すまんな、こっちが一方的に知ってるからどうしても聞き馴染みのある、あだ名が出るみたいだ。俺の事もタクで構わないから、王子って呼ばせて貰う。改めてよろしくな王子!」
こいつもコミュ力あんな。
「あと早川さんも来るんだって?」
早川さん……誰だ?
「お前早川さんって誰だって顔してんぞ。委員長だろ」
「わかってたって。お前を試したんだタク」
答えを教えてくれてありがとうタク。
「はいはい、委員長も来るのか結構大人数になるなぁ」
タクがそう言うと
「今日は王子の家でやろっかーって話だけど皆はどう?委員長にはさっき確認取ったらOKだってー」
王子の家なのは問題無いがこの人数で押し掛けて親に迷惑じゃないか?それとも、とてつもなく広いのか!?
「俺は全然良いけどご両親に迷惑じゃないか?この人数だと…」
「確かにそうかもな。その辺大丈夫なのか?王子」
質問された王子は少し間を空けて
「あぁ僕、独り暮らしだからその辺は気にしなくて良いよ」
へー王子って独り暮らしなのか。
「王子独り暮らしなのか!憧れるなぁ独り暮らし」
タクの所は兄弟多いから憧れるんだろうな。
「そっか、それならお邪魔させて貰おうかな」
「うん、皆で来てね場所は後で送るから」
ふとタクの方を見るとスマホを見ながら考え込んでいる。
「どうした?タク」
「あのさ、王子の家の住所って女子にとってかなり重要な情報なんじゃないか?」
確かに…王子の家の情報なんて欲しい女子が沢山いそうだ。
「そ、そうかも。俺達が知ってるのバレたら……」
「タク、お前のスマホに送って貰うようにするわ、住所」
「あ!ずりいぞ!」
ふざけた話をしてたら昼休みが終わってた。
飯食ってないや
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