第21話
「田中!ちょー凄かったじゃん!おもろかったー!あたしも出たかった!!」
ニコニコの立花に迎えられながら席に戻ってきた俺達。
「案外、立花さんが出てたら誰も倒せないかもね」
山田がそう言いながら笑ってる。
確かに女王様には誰も手を出さないかもな。
「でっしょー山田!ほんと出れば良かった!」
「今回は出れるのが男だけだったからな、次回は女子の部があっても良いんじゃないか?」
軽い気持ちで立花に言葉を返す。
「そっか…混合は難しいけど女子だけなら…」
何やらぶつぶつ言いながら考え込んでる立花。
あいつ来年本気でやりそうで怖いな。
「やあやあ!みんな!勝者が帰ったよ!」
うざい奴が帰って来た。
「うざい奴が帰って来た」
あれ?言葉に出てた!?
「なんだって?立花」
立花だった。同じ意見の様だな。
「お疲れ森中、疲れただろうからあっちで水分補給してこいよ」
「あぁそうさせて貰うよ!」
山田はいつもスマートだなぁ。
「山田ナイス!」
立花が親指を立てながら山田に称賛を送ってる。
「じゃあ、あたし行ってくるわ」
「あれ?次の競技立花出てたっけ?」
確かあんまり競技に出てなかった気がしたんだか…
「あー春川が前半の競技でダウンしてさー。担任から頼まれてしょうがないからあたしが代わりって訳」
「そうなのか、頑張れよ。てか春川さん大丈夫なん?」
「多分大丈夫じゃない?良く知らないけど!
んじゃあ行ってくるねー」
春川の代わりに出るって大変だろうが自業自得の部分もありそうだ。
あんだけ推薦してたからなぁ。
春川の様子がちょっと気になるなぁ。
保健室まで見に行ってみるか。
「山田ー俺ちょっと春川さんの様子見てくるわ。担任来たら言っといて」
「うん、分かった。言っとくよ」
さて保健室はこっちか。
うお!向こうからめちゃくちゃ可愛い子供二人と超優しそうなお父さんが歩いてくるぞ。
「ねーパパーだいじょうぶかなぁ」
「ちょっと疲れただけみたいだから大丈夫だよ、きっと」
「そっかーよかったー」
微笑ましいなぁ。マジで天使見たいに可愛い
「こんにちわ」
「「こんにちわぁ~」」
お父さんと二人のお子ちゃまが挨拶してくれた。
「こんにちわ!」
ちゃんと会釈して通りすぎる。
「やったねそらくん!あいさつできた!」
「うみちゃんもじょーずだったよ!」
「二人ともちゃんと挨拶出来て偉かったよ」
あぁ微笑ましいなぁ。
はっ!固まって余韻に浸ってる場合じゃない。
春川の様子を見に行かねば。時間もあんまし無いしな。
「失礼しまーす」
「はい、こんにちわ。何かあったかい?」
「2年の春川が来てませんか?」
「あぁ、春川さんね。奥のベッドで休んで貰ってるよ。春川さーんカーテン開けても大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ、ごゆっくりどうぞ」
ニヤニヤしながら保険医の先生が見てくる。
絶対勘違いしてるだろ、この人。
「春川さん、開けるね」
「あれ?田中くん?どうしたの?」
案外顔色は良さそうだ。
「春川さんがダウンしたって聞いてさ、ちょっと様子を。と思ってね」
「そっか、心配かけてごめんね。今は全然大丈夫だから。私運動不足だから急に動いて疲れちゃったみたい…」
「大丈夫なら良かった。これでも一応友達だしね」
「うん、ありがとう。田中くんこの後リレーでしょ?わざわざ時間無いのにありがとね。私も少ししたら戻るから」
「いやいや、良い休憩になったよ。それじゃあ俺戻るわ」
保健室を後にしようとすると。
「あれ?もういいのかい?それにしても春川さんは人気者だね。たくさんお見舞いが来てくれてるし」
俺以外にも何人か来たのか。
「もう大丈夫です。失礼しました」
「はーい、体育祭頑張ってね」
多分勘違いした先生に見送られながら保健室を後にする。
さて後はリレーだ。行きますか!
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