第20話
体育祭も中盤、俺は騎馬戦に出るために待機していた。
「田中!騎馬引き受けてくれてありがとな!」
この爽やかな奴は山田だ。
俺にも、たまに話し掛けてきてくれる位には良い奴だ。
「全然大丈夫だ、山田。何とか勝ちたいな」
「正直俺達以外だと、森中の所位しかまともに動けなさそうだしなぁ」
そう、騎馬戦には残念イケメンの森中も出てる。
あいつは春川の代わりに結構な競技に出てるはずなのに、元気だなぁ。
「俺達は出来ることを精一杯やろうぜ。山田」
「密かに、名前地味コンビって言われてるから派手に勝とうぜ!」
え?俺達そんな呼ばれ方してたの?
「お、おうヤってやろうぜ!」
「それでは、選手の皆さんは入場してください」
「よし!いくぞ!」
「「おう!」」
田中の掛け声で気合いを入れる俺達。
「それでは、騎馬戦始めます!」
いよいよか…ちょっと緊張するぜ。
「よーい・・・パンッ!!」
スタートの合図と同時に走る俺達。
「山田!横から来てる!」
くそ、俺とは反対から来てるのか。
「田中!回って!」
「任せろ!」
敵がいるであろう方向に走る。
「来るぞみんな!踏ん張れ!」
「おっしゃーーぶつかれ!」
相手の騎馬もろとも突っ込んで来る。
ガンッ!!
ぬおおおお!耐えろ俺!
上では山田がやりあってる。
「よし!取ったぞ!」
山田の手には敵のハチマキが握られてる。
「この調子でガンガン行くぞ!」
よっしゃー!こうなったらやってやる!!
「はぁはぁ、後は俺達と森中の所か…」
やはりと言うかなんと言うか、赤組は森中と山田の2チーム。
白組も2チームお互い同数まで残った。
「山田ー!そっちのチーム抑えててくれ!こっちを速攻片付けて直ぐに向かう!」
森中からこちらに声がかかる。
森中よ…そっちのチームの人、ナチュラルに勝つって煽られてるみたいで怒ってるぞ多分
森中もあんな言動がなければ、すごく人望厚そうなのに。
「とりあえず、俺達は全力で相手に挑もう」
うーん山田カッコいい。
流石うちのクラスで数少ない彼女持ちだ。
「うおおおおおお!!」
気合い十分で相手が突っ込んで来る。
ここまで来たんだ!負けたくねぇ!
「踏ん張れよ!みんな!上の山田を信じろ!」
柄にもなく熱い言葉が口をつく。
みんな気合いが入ったのか二割増しでイケメンに見える。
「たーなーかー!いけーー!」
応援席から子供みたいに興奮した様子の立花が見える。
こりゃ負けられないな。
ゴンッッ!!!
今日一番の当たりの強さによろめく他の男子。
ここまで残っただけあってつええ。
「一気に崩せ!」
相手が叫ぶ。
崩れてたまるかぁぁぁぁ!!
足に力が入る。何かピキピキいってる気がするが気のせいだろう。
「危ない!!」
山田が俺とは反対側の騎馬を見て叫ぶ。
ヤバい!崩れる!
「おっしゃー!取ったぞーー!」
その時森中の声が相手の騎馬の後ろから聞こえる。
森中は俺達に必死で気が付いてない相手の後ろから上手くハチマキを取ったらしい。
「勝者!赤組!」
「「「わあああああ」」」
「美味しい所、森中達に取られたな」
そう笑いながらも山田は、あんまり悔しくなさそうにしていた。
「そうだな、でも勝ちは勝ちだ嬉しいさ」
確かに美味しい所は取られたが勝ったので全てよし!
山田も多分そうだろ。
「おーい山田達!俺が速攻で相手倒したから何とか勝てたな!」
うん、こいつは森中だ。
「はいはい、戻ろうぜみんな」
山田は森中の言葉をほぼ無視で席まで戻っていった。
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