第15話
「おし!今日はこれくらいにしよ」
「そうだな、明日も練習は出来るし」
俺達は小一時間ほど練習して帰ることにした。
意外にも練習はスムーズに進み、不機嫌そうだった立花が突っ掛かって来るかもと思ったが練習は至って真面目に行っていた。
「お疲れお疲れ!田中~あんた真面目に練習すんだね。ちょっとだけあたしと二人になりたいだけかと思ってた」
「何でだよ練習しに来たんだから練習するだろ普通」
大体立花と二人っきりになって何すんだよ。
こちとら女子と二人っきり何て経験が無いから何にも出来ない自信があるぞ。
「いや~そう言って言い寄って来る奴結構
いるからさ~ほら、あたしかわいいし。
あたしと二人で喋るためなら嘘ついてくる人って結構いるしね」
いやはや自信たっぷりですね、立花さん
確かにかわいいが。
「そんなくだらん嘘を俺はつかない。覚えておいてくれ」
俺は基本的に嘘は好きじゃない。
ただ、必要な嘘があるのは解るから
別に極端に否定はしない。
今回の友達作戦も、やられてる方からしたら
嘘を付いてると言われたらそうかもしれないし。
「そりゃ分かってたけどさーあんだけストレートに友達になって下さいって言ってくる奴がそんな回りくどい事するとは思えないし」
そんな事を言いながらこちらを見る立花。
「てか、田中さーあたしと二人になるために嘘付くことは、くだらない嘘なんだーへー」
ニヤリと笑いながら俺の顔を見てくる。
「いやまぁなんだその言葉のあやと言うかなんと言うか…」
焦ってる俺を見てコロコロと笑う立花。
「別に本気で言ってないじゃん。田中慣れてなさすぎ、あーおもろ」
「いや分かってたし別に普通だし」
からかわれたのがわかり強がる俺に立花は
「田中はさ、分かりやすいから良いよね。あたしは真っ直ぐな人の方が面倒もなくて良いなぁ」
「なんだそれは、褒めてんのか?バカにしてんのか?」
「へへーさっきくだらない嘘って言われたお返し!じゃあ、あたし帰るね。また明日ー!」
ぶんぶん手を振りながら帰って行く立花。
子どもかあいつは。
でもなんだろう、悪い気はしない。
これが友情…
さて俺は…
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