第13話
「あーもーうるさい。昨日推薦するって言ったでしょ。」
「でもあんなにするとは思わないじゃん!」
春川にしては珍しく声を荒げてる。
余程嫌だったのかいじめっ子に反抗してまで
抗議してる。
「あんたが悪いんでしょ。約束破るから」
「でもあんなに一杯…」
「あーとりあえずこっちで話すよ。あんた声大きすぎ。みんな見てんじゃん」
こちらを振り向きみるみる顔を赤くする春川は、立花に腕を引かれながら何処かに連れていかれてる。
「流石にあんだけやられりゃ春川も怒るか」
川島が話し掛けてきた。
「そりゃまぁそうかもな。春川さん運動とか得意そうじゃないし。他の人に迷惑掛かるとか思ってんじゃない?」
「自分の事じゃなくて他人の事かぁ。わからんこともないけど、まずは自分の事をってのは春川には酷か」
そんな話をしていると、意外な人物が話し掛けてきた。
「お疲れ様、田中君川島君」
「お疲れ様委員長」
話し掛けてきたのは我がクラスの委員長
委員長と言っても漫画のような、おさげに眼鏡みたいなテンプレでは無い。
どちらかと言うと活発で美人系だ。
運動も得意だし、人当たりも良い。
みんなのまとめ役として委員長になったタイプだ。
ちなみにうちのクラスは女子のレベルが
かなり高いらしい。
川島情報だが他のクラスからやっかみを受けてるそうだ。
他のクラスに友達がいない俺は
もちろん知らなかったが。
「ちょっと小耳に挟んだんだけど、立花さんと友達になったんだって?田中君」
「誰から聞いたかは知らないけど、その通りだね」
何で委員長が知ってるんだよ。
川島の方を見ると首を横に振っている。
「そりゃあ、あれだけ大きな声で喋ってたら嫌でも聞こえちゃうよ」
俺のせいでした。
「本当に立花さんと友達になったんだー。
どんな心境の変化かな?」
委員長が尋ねてくる。
大体委員長は正義感強そうだし、いじめなんて真っ先に止めそうなんだが、立花とは意外に仲は悪くないみたいだ。
そりゃ委員長だって女王様には逆らえないか…
誰も責める事は出来ない。
「色々思う所があってね。こうなるのが一番良いかなと」
曖昧に濁して返事をする。
これで委員長なら分かってくれるだろう。
「あーやっぱり色々気にしてたんだね。
難しい問題だしあんまり人に言う事じゃ無いもんね」
やはり委員長もどうにかしたいと思ってたんだろう。
「そうだな、だから見守ってくれると助かる」
あまり突っ込まれて話が拗れたら最悪だ。
委員長にも春川にも悪い。
「うん、分かった。もしどうしても二人で解決出来そうに無かったら相談してね。」
俺達二人を見ながらそんな事を言う委員長。
これは多分俺と川島が二人でやってると思ってるんだな。
これだけ二人で話してたらそう思われても仕方ないか。
別に否定する程でもない。
実際この先、川島の力を借りないとも限らないし、学校での話相手なんてこいつ位だ。
悲しいが。
「ありがと委員長。もしそうなったら相談するかも。その時はよろしくな」
「デリケートな問題だし、焦らないでゆっくり頑張ってね」
委員長は良い奴だ本当に。
「そろそろリレーの練習に校庭行くわ。また明日な川島、委員長」
急がないと女王様に潰される。
「おう、練習頑張れ」
「頑張ってね!」
二人に見送られながら校庭に向かう。
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