第12話


「それじゃあ最後男女混合リレーのアンカー決めてくぞー」


 担任が黒板に種目と名前を書いていってる。

 体育祭の選抜だ。

 しかし黒板の種目の横の名前が被っている人物が二人。

 春川と森中だ。


 出場種目別に、自薦推薦で募っていた所


「じゃあ次は借り物競争ー出たい奴はいるかー」


 当然そんな人物はいない。

 大体みんなそんなにやる気無いしな。


「じゃあ推薦あるか?」


 と、ここで担任が推薦に切り替える


「春川さんが良いと思いまーす」


 立花が春川を推薦する。

 これだけなら、何ら普通の事だがもう4種目ともなると様子は違ってくる。


「クスクス」


 立花の取り巻き達が笑ってる。


「先生!僕が出ます!」


 そして森中が春川を庇い何種目か出ることになっている。

 森中、お前良い奴だな。

 俺には真似出来ないよ。

 こっちはこっちで頑張るか。





「出たいって奴はいないなー。じゃあ誰か推薦はあるか?」


 さて誰が推薦されるか。


「美咲出なよ。足早いじゃん!」


 取り巻きが立花を囃し立てる。

 まあ混合リレーのアンカーなんて花形だしな。


「はーい先生。立花さんが良いと思いまーす」


 取り巻きが推薦したみたいだ。


「立花どうだ?やってくれるか?」


「まぁ別に良いですよ」


 若干不服そうだがやるようだ。


「じゃあ男子は誰かいないかー?」


 ここだ!!


「はい!やります!」


 勢いよく手を上げる俺。


「おー田中、珍しいな、お前が自分からなんて。やってくれるか」


「お願いします!」


 よしこれで一緒に練習出来るはずだ!

 周りがコソコソ話してるが知ったことか。

 俺の青春のためだ。


「それじゃ、メンバーはこれでいくぞー」


 結構な種目が春川と森中で埋まってる。

 担任よこれでいいのか…

 春川は下を向いたままだ。

 森中は顔を赤くして憤慨してるようだ。


 さて、俺は俺に出来るアプローチでこのクラスを平和に導こう。

 担任が教室から出ていったので立花達の所へ行く。


「お疲れ立花、リレーよろしくな」


「おつー田中、あんたなんで立候補してんのウケる」


 お前と練習するためだよ!

 とは言えずに


「一回位は花形のリレーとか出てみたいだろ

 丁度アンカーは立花だし友達がやるなら良いと思ってさ」


 決して嘘は言ってない。

 確かにリレーのアンカーに憧れはあったが

 真の目的は一緒に練習することだ。


「ふーんまあ良いけど、足引っ張ったら潰すから覚悟しといて。あたしやるからには絶対勝ちたいから」


 潰すってなんだよ。怖いよ本当。


「つ、潰されたくは無いから頑張るよ。それじゃあさ休み時間とか放課後に一緒に練習しねえ?」


 どうだ、勝ちたいなら無下には出来まい。


「お!マジでやる気じゃん。良いよ良いよ

 時間出来るだけ作るからやろう」


 女王様ノリノリだ。本当に負けず嫌いなんだろうな。

 俺も負けるのは嫌いだから良いけど。


「よし、そうと決まれば今日の放課後は?」


「あー少しなら良いよ。とりあえず陸上部の子に何したら良いか聞きに行ってから校庭に行くから先行っててー」


 こりゃガチだ。俺も気合い入れないと!


「立花さんなんであんなに一杯推薦するの!」


 春川が我慢できなかったのか大きな声で立花に話し掛けてる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る