第11話

「ふわぁぁ~」


「おはようコウちゃん大きな欠伸ね。ちゃんと眠れたの?」


「おはよう母さん。ちょっと昨日は考え事してて寝付きが悪かっただけだよ。ちゃんと眠れた」


 母さんは「そう、ならよかった」と言いながら台所に戻っていた。


 昨日も考えたが、もちろん答えは出ない

 と言うか答えなんてないだろ。

 立花が春川をいじめてる様に俺や森中、川島なんかも見えてるだろう。


 それなら結局その行動を止めないと

 意味が無いしな。

 よし!俺の青春のためにやってやる。

 まずは努力ポイント作戦だ。




「おはよう立花」


「おはよー田中、昨日はバタバタしててごめんね天気予報雨だったから、早く帰って散歩行きたかったんだ。結局雨降らなかったけど」


 そう言って笑いながら俺に挨拶する立花。

 うーん本当にいじめっ子か?こいつ


「あ、立花さんおはよう…」


「おはよー春川あんたまじで近寄んないで」


「そ、そんな事言わないでよ立花さん」


 うん、こいつはいじめっ子の立花だ。

 間違いねえ。


「あんたさー本当にどうやったらあんな事になんのよ最低だよマジで」


「それは昨日もごめんって…」


 このままだと酷くなりそうだ。

 助け船だそう。


「昨日立花と春川さんに何かあったの?」


 立花こちらを睨みながら答える。


「田中には関係無い。喋んな」


 こ、こえー女王こえー。

 昨日の笑ってた立花と本当に同一人物かよ

 絶対人格何個かあるだろ。


「ごめんごめん、そうだよな。それより春川さん実は昨日から立花さんと俺は友達になったんだ」


 ヘイトを受けて話を逸らす。

 これで話題も変わるだろ。


「え?立花さんに男友達?本当に!?」


 春川が目を見開きながら立花に詰め寄る。

 今にも掴み掛からん勢いだ。と言うか掴み掛かってる。


「ちょ、やめて春川近すぎるし痛いからやめて」


 その行動に驚いたのか立花も素?に戻ってる

 それにしても尋常じゃない迫り方だった。

 春川は手を離すと恥ずかしかったのか

 顔を赤らめながら口を開く。


「ご、ごめんちょっとびっくりしちゃって…

 大丈夫?立花さん。本当にごめんね」


 素直に謝る春川、本当に驚いた様子だな。


「ほんっとやめてよね。田中もいきなり余計な事言わないでよ」


「ごめんごめん、こんなに驚かれるとは思ってなくて」


 さっきよりは幾分かましな目付きでこちらを

 睨みながら話す立花。


「それで友達になったって言うのは本当なの?」


 春川が不安げに立花に問いかける。


「まー本当かな?一応友達にはなったよ」


「そ、そうなんだ…立花さんに男友達が…」


 なぜか肩を落とす春川


「なによ、あたしに男友達がいちゃだめなわけ?」


 肩を落とす春川を見て少し強めの語気で話す立花。


「そんなことないよ!私も嬉しいよ、新しいお友達だし。よろしくね田中君」


 何故か立花の友達は、自分の友達って事になっているらしい。


「あ、あぁよろしく春川」


 曖昧に笑いながら返事を返す。


「田中さ、嫌なら別に春川と友達じゃないって言っても良いんだよ?」


「いやいや嬉しいよ。俺友達少ないし」


 ここでお前なんて友達じゃないって言えるのはお前ぐらいだ立花。


「ふーん、まあいいけどあたしは」


「そうだよね。急に友達に!なんてキモいよね私…ごめんね…」


 その発言は昨日の俺に刺さるから止めてください春川さん。


「じゃあこれからは友達って事だね。改めてよろしく、春川さん」


「うん、こちらこそよろしくね田中君」


 にっこり笑ってこちらに返事をする春川。

 笑うとこんな感じなんだな。

 やっぱり人間笑った顔が一番だ。


 なんとかしていつも笑顔が絶えないクラスにしたいな。

 そう決意を新たに固めながら席に戻る。

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