第8話 毒呪水

第8話『毒呪水』

《フェンガルド王国 闘技場》

テンマ「レストさんがんばれぇぇ!!」

ノイズ「おおっと開始してから数分が経ちますが睨み合いが続いています。」

エルザ「ほら、来ても構いませんのよ?」

レスト「なんか近づいたらダメだって本能が言ってるぜ」

エルザ「そうですか…ではこちらから参ります」

「樹魔法:ツリーフォール」

ノイズ「先に打って出たのはエルザ選手だぁ!」

レスト「うぉっ樹が逆さになって落ちてきたぁ!しかも大きさがバラバラでよけづれぇ」

エルザ「さぁ、どうします?私のこの魔法は私が倒されるまで降り続けますわよ。」

レスト「くっ、当たるぅ!ぐはっ…」

ノイズ「レスト選手にどんどん樹が当たっていくぞぉぉ」

エルザ「ふふふ、まだまだいきますわよ」

ノイズ「エルザ選手の猛攻が止まらない!」

エルザ「樹魔法:ツリープランター!」

ノイズ「おぉ!これは地面から生えてきた樹がレスト選手を殴りに殴っているぅ!」

レスト「ぐ…はぁ」

エルザ「どうしたんですの?反撃はしないのですの?」

レスト「まだ耐える…」

エルザ「ふふっ往生際が悪いですわ…早く飛びこんで来るのですわ!」

テンマ「どうしてレストさんは攻撃しないんだろう」

ヒョウカ「それはそうよ魔樹姫は沢山の遠隔魔法を持っているけど魔樹姫の真価はそこじゃない」

テンマ「どういうこと?」

ヒョウカ「魔樹姫には一定の範囲内に入られると自動的に発動する呪いがあるの」

テンマ「呪い?」

ヒョウカ「そう、それが…」

エルザ「樹呪園またの名をアスフォデロス

この呪いは範囲内に入った者を排除する」

レスト「そうだ、それが分かっているから近づけねぇ…」

エルザ「私が受けた呪いは大昔から引き継がれてきた呪い…誰も解くことは出来ないのですわ」

ヒョウカ「樹呪園は魔樹姫の家の呪いで使うたびに寿命が縮み長くても25歳までしか生きられないそうよ」

テンマ「そんな…まさかレストさん優しいから寿命を縮ませない為にあえて近づかないのか…」

レスト「ぐはっ…」

エルザ「どうしたのです?早くしないと貴方が死んでしまいますわ」

ノイズ「レスト選手防戦一方です。」

テンマ「レストさん…」

エルザ「私の呪いの事など…どうでもいいのです。早く樹呪園の範囲内に入って私を攻撃するのですわ!」

レスト「俺にはできねぇ…人の寿命を縮めるなんてそんなの人殺しと変わらねぇじゃねぇかよ…」

エルザ「……貴方は本当に良い人なんですわね、でも貴方にも負けられない信念があるんじゃなくて?」

レスト「そうだ!俺は何がなんでも勝たなければならねぇ」

エルザ「では、飛び込んで来なさい」

レスト「くっ…おおおおおお!!」

ノイズ「レスト選手が飛び込んでいく!!」

レスト「鉄魔法:スティールストック!」

ノイズ「レスト選手が鉄を腕に纏いそのまま突っ込んでいく」

エルザ「さぁ…来るのですわ」

レスト「くっ!」

スティールストックが範囲内の樹を切っていき

そしてそのままエルザを抱きしめた

エルザ「なにをするんですの!?」

レスト「無理だ。やっぱり俺には出来ない」

エルザ「貴方はやはり優しすぎるのですわ。ふふはぁ私の負けでいいですわ」

ノイズ「エルザ選手の降参によりレスト選手の勝利です!」

レスト「エルザ…すまねぇ」

エルザ「ふふ…ごほっごほっ」

レスト「どうした!?」

エルザ「そんな慌てないで私は大丈…ごほっ…

あれ、おかしいですわちゃんと薬は飲んだはずなのに…ごほっ」

レスト「死ぬなよ…死ぬんじゃねぇよ

今助けてくれる医者を呼んでくるからな!」

エルザ「私のこの呪いの終わりには丁度いいのかもしれないですわ」

レスト「そんなこと…いうなよ」

エルザの体が呪いに侵蝕され黒くなっていく

エルザ「ふふっあぁ…もしかしたら」

《エルザの回想》

テンマ「今日はどうする?」

レスト「まず飯だろ!」

ヒョウカ「ていうか金ないじゃない」

テンマ、レスト「あ…そうだった」

エルザ「ふふふ」

場面は変わり

《シロナミ平原》

テンマ「さぁ!来い!ドデカスライム!」

エルザ「私が足止めしますわ!」

「樹魔法:ツリープランター!!」

ヒョウカ「よし今のうちよ!レスト!」

レスト「よし来た!」

「鉄魔法:スティールブロウ!」

《シロナミ平原ドデカスライム討伐後》

レスト「さすがドデカスライム!強かったなぁ」

エルザ「私の力がお役に立てて良かったですの」

レスト「さすが!エルザだぜ!」

エルザ「ふふふ」

《そして現在》

エルザ「もしかしたらあなた方と旅をする未来があったのかもしれません」

レスト「うぅ…」

エルザ「幸せ…ですわ」

エルザはゆっくりと目をつぶり動かなくなった

レスト「おい…うぅあぁぁああぁぁぁ!!」

エルザはレストの腕の中で静かに眠ったその姿はとても優しく美しいものだった。

《フェンガルド王国 闘技場控え室》

テンマ「レストさ…」

ヒョウカ「テンマ今はまだ。」

テンマ「うん…」

レスト「わりぃ少し外で風に当たってくる」

テンマ「分かりました」

《フェンガルド王国 王宮 国王の間》

グレン「やはり死因は呪いによるものでした。」

ガルデン王「そうか…」

グレン「はい…あと彼女に寿命を縮める薬が盛られた可能性が出てきました。」

ガルデン王「なんだと?つまりこの由緒ある魔道大会を汚そうとする輩が居るということか…」

グレン「警戒した方が宜しいかと」

ガルデン王「うむ、若い芽を摘んだことは絶対に許しておけぬ。警戒を怠るなよグレン」

グレン「はい!」

《フェンガルド王国 闘技場廊下》

レスト「エルザ…あぁ」

ゲジョウ「ぐふふまた会いましたねぇレストぉ」

レスト「お前は…ゲジョウ!」

ゲジョウ「ぐふふ私が次の対戦相手です。前みたいに殴りすぎないでくださいねぇ?」

レスト「くっ…」

ゲジョウ「エルザさんの事はざんねぇんでしたねぇ?彼女がまさか寿命で死んでしまうなんてぇ」

レスト「お前…まさか」

ゲジョウ「ちょっと楽になる薬を渡しただけですよぉ?」

レスト「くそがぁ…!!」

レストが殴りかかった

ゲジョウ「おっとやめた方がいい。戦う前にまた犯罪者に逆戻りですよぉ?」

レスト「くそっ!」

ゲジョウ「そしてあなたの仲間の無属性の冒険者そろそろやばいかもですねぇぐふふ」

レスト「無属性…ヒョウカは氷属性だしまさか」

ゲジョウ「テンマと言いましたかねぇ彼も時期毒に侵されることでしょうぐふふ」

レスト「テンマ!やばい無事でいてくれ!」

レストは走り出した

ゲジョウ「ぐふふ…」

《フェンガルド王国 闘技場控え室》

レスト「テンマ!」

ヒョウカ「テンマ…ねぇどうしたのよ!しっかりして!」

テンマ「ぐ…あぁあああ」

ヒョウカ「レスト大変なのよ!運ばれてきた水を飲んだ途端テンマの体が紫色に変色して苦しみ出して」

レスト「試合は辞退する…早くゲジョウに解毒方法を殴ってでも聞きに行く」

ヒョウカ「ダメよ危険すぎる!それに向こうにどんな罠があるか分からない。」

レスト「罠があってもいく!!」

テンマ「レ…ストさん…おちづいでぐださい」

レスト「テンマ…」

テンマ「はぁ…はぁ試合にでてくだ…ざい」

レスト「しかし!」

ヒョウカ「レスト試合に出るのが1番ゲジョウに近づけると思うわ…」

レスト「くっ…分かった」

テンマ「はぁ…グレ…ンざんよんでぎで…」

ヒョウカ「分かったわ。レスト明日の試合までにやれることは全てやるのよ」

レスト「おう…」

報せを聞いたグレンが駆けつけた

グレン「テンマ!大丈夫か!」

テンマ「グレン…さん」

グレン「テンマ…ゲン爺を連れてきたからもう安心だぞ」

テンマ「あぁああああ」

身体を毒が蝕んでいく…

ゲン爺「これは…毒呪水…この国の医術じゃ治せんぞ」

グレン「そんな…じゃあテンマは」

ゲン爺「カジャラクタの山に生えるヒスイ草それがあれば治すこともできるがのう…」

グレン「カジャラクタは敵国…くそっ」

ゲン爺「とりあえず今日は安静にして他の方法が無いか調べてみるとするかの。」

テンマは医務室に運ばれた。

次の日

《フェンガルド王国 闘技場》

レスト「ゲジョウ!お前を絶対許さねぇ!」

ゲジョウ「ぐふふお手柔らかにぃ?」

ノイズ「それでは準決勝開始します!」

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