第14話(運命のメンバー決定!?)


中間テストと期末テストの間である6月ごろ、気が緩んでしまっている俺たちは、何気ない日常を過ごしていた。



「最近何もねーなぁ」



放課後の帰り道、俺は一緒に帰っている山田と前田にそう言った。



「いいじゃん別に、そう毎日いろんなことがポンポン起こってたまるかってんだ」



前田がそう俺をたしなめる。



「そういや山田は最近清水さんとはどうなんだよ?」



「いや、別になんかあるわけじゃないから休み時間に話すくらいだけど...」



「なんだよつまんねーな、男ならもっとぐいぐい行けよ!」



俺は変なテンションでそう言ってしまう。



「1学期ってほんと学校行事少ないよな〜」



「逆に2学期は多すぎってくらいあるもんな」



俺のつぶやきに山田がそう言い返す。



「そうそう、2学期だったら体育祭と文化祭というめちゃめちゃ大きな行事があるんだぜ。そこで恋は大きく発展するんだ」



「お前は恋バナ好きの女子かよ」



そんなふうに俺と前田は話していたが、次の俺の一言が場の空気は大きく変えることになる。



「その上にだ、俺ら2年生には高校生活で最大と言ってもいい学校行事である修学旅行が...旅行が...」



次の瞬間、



「あっ!!」



俺たち3人は大きく声を上げた。





次の日のとある休憩時間、俺たち男3人は俺の机を囲んで集まる。



「昨日まで俺たちは完璧に忘れていた、修学旅行の内容を大きく左右してしまう大きな分かれ道、そう、修学旅行の班を今日のホームルームで決めるということをっ!」



俺はそう言い放つ。この学校の修学旅行の班はクラス関係なく、みんな自由に班員を決定できる。そのため、理想の班になるかは俺たちにかかっている。



「で、誰と一緒の班がいいとか決まってるのか?」



前田がそう聞くが、



「何言っちゃってるの?言わなくても大体わかるだろ~」



「まぁ、そうだが...」



言わずもがな、俺らの希望は、俺ら3人に未來、清水さんの5人であることは明確である。



「前田は仲野さんと一緒じゃなくてもいいのか~?」



俺がまた変なテンションでそう聞くと、



「別にいいだろ、それにクラス違うし...」



今まで出てきた6人は仲野さんだけが違うクラスである。しかし俺は前田に詰め寄る。



「何言ってんだよ~!高校生活の一大行事なんだぜ、違うクラスとか言ってる場合じゃないだろ」



「でも班の人数は5人までだろ、どうやったって無理じゃねーか」



「まぁ、そりゃそうか」



前田の言葉に俺は身を引く。


5人って中途半端だな~。



「しかしだ、今言ったメンバーは俺ら3人の理想でしかない。未來はともかく、問題は清水さんが一緒の班に入ってくれるかどうかだろう」



「どうかな~OKくれるといいんだけど」



そこでちょうどチャイムが鳴り、それぞれの席に移動する。





ホームルームの時間、俺たちは真っ先に清水さんのところへ誘いに行く。



「ね、ねぇ清水さん、一緒の班にならない?」



山田が清水さんにそう伝える。果たして結果は...



「え、うん別にいいよ」



あら、あっさりと。ちょっと抵抗あるかなと思ってたけど、思い過ごしだったようだ。



「私、いっしょの班になってくれる女子もいないし」



あぁ、なるほど...


ちょっと悲しい理由も入ってはいたものの、俺たちの理想がかなったようでよかった。


しかし、俺たちは別のところで問題が発生する。清水さんを誘った後、今度は未來を誘おうとした、その時だった。



俺が未來のほうを向くと未來は女子に囲まれ、いかにもその人たちと班を作るといった状況であった。


あれ...


未來の顔を見ると、未來は俺と目が合った後、気まずそうにしてすぐに囲んでいる女子の方へ顔を向ける。


未來は基本気が弱いため、あまり断るとか苦手な性格なのだ。


俺はなぜか変に動揺する。前田が俺の様子を感じ取ったのか、



「いいのか?佐々木さん誘わなくて...」



そう言ってきた。しかし俺がまわりを見回していると、ほとんどが男子と女子に分かれて班を作っている。ある意味、未來のように女子で固まって班を作るのは当たり前といえる。



「別にいいんじゃないか、班もう決まってるぽいし...」



「お前はほんと、自分のこととなるとチキンになるよな...」



前田がそうつぶやく。すると、



「皆さん、もう班って決まっちゃいましたか~?」



突然、隣のクラスから仲野さんがやってくる。



「なんだよ突然、今はそれどころじゃないんだよ」



前田が仲野さんをたしなめると、



「え~、別にいいじゃないですか。私のクラス、部活仲間で班作っちゃってて、入れる班がないんですよ~」



仲野さんがそう言うと、俺はこう言った。



「別にいいぜ、ちょうど一人足りなかったし」



「お、おいっ!」



「いいんですか、ありがとうございます」



仲野さんは喜んで返事をする。



「佐藤、それでいいのかよ」



前田が何かを言いたげにそう聞くと、



「あれ、なんか私やっちゃいました?」



仲野さんが場の空気を察してかそう言った。



「別に何でもないよ、さぁ紙に名前を書こうぜ」



俺は先生から決まった班の名前を書く紙をもらい、それに記入する。



ここで今日のホームルームは終了した。



ホームルームが終わると、そのまま放課となり、今日部活のない俺は山田らを待つことなく、急いで家に帰る。


というか、今日はなぜか一人で帰りたかった。


今日の班決定は大成功なはずだ。男子と女子で3対2の班なんて周りにはどこにもない、夢のメンバーなはずなのだ。


はずなのに、




なんだよ、このもやもやはっ!



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