第50話・2 ヒュージスライム狩(3)

 私が見つけた核の位置はヒュージスライムの真ん中で地面から30キュビテ(10m)ぐらいの位置にありますから表面を多少削っても影響はありません、最も厚い中央が900キュビテ(300m)もあるのですから。

 しばらくヒュージスライムの表面を削って行くと、やがてヒュージスライムの尾根の中腹から下側が切り離されて谷間へと落ちて行きました。

 これで1割ぐらい小さくなりました。


 ヒュージスライムはやっと自分が攻撃されているのに気が付いたのか、移動をしようと尾根伝いに上(北)へと移動を始めます。

 体が大きいので見た目より早い速度で移動しています、秒速3か4キュビテ(1m/s)ぐらいです。

 レタの居る山頂までこのままだと9コル(75分)で到着します、それまでに削り切れなければレタに移動してもらう必要がでてきます。


 私もレタ寄りの上空から、ヒュージスライムの進む側面を主に狙って切り離そうと攻撃しています。

 私の権能(イオン粒子線)で1回側面を狙って撃ってみましたが、ヒュージスライムを突き抜けて下の地面で爆発して危うく核を壊す所でした。

 (小姉、権能はダメ、絶対!! by妹)

 抉れた山体と飛び散った破片で空いた穴が既に塞がって居るヒュージスライムを見て。

 『御免なさい、攻撃は火球だけにします!』

 (それがいいと思うよ by大姉)


 ヒュージスライムの中央の高さが600キュビテ(約200m)ぐらいまで下がってきました。

 移動する為に進行方向へと体重を移動させているのでしょう。


 火球砲改2は1分に1発撃てますが5回打つと魔石がからに成ります。

 5分に1個、1コルで3個の魔石を消費します。

 レタ達には一人当たり50個の6級魔石を渡していますが、16コル(約4時間)は持つ計算に成ります。

 ヒュージスライムが移動を始めて既に1コル、まだヒュージスライムの体積は最初の8割ぐらい残っています。


 レタに近寄り始めて2コル(30分)ヒュージスライムの表面もだいぶ削れてぼこぼこになってきました、それでも中心部分の厚さは300キュビテ(100m)も残っています、まだまだ厚く先は長そうです。

 地道に側面から削って行くしか方法はありません。


 ヒュージスライムがレタに近寄り始めて4コル(1時間)が立ちました、後少ししたらレタの位置までついてしまいます、ヒュージスライムの体積はまだ5割位残っています。

 ヒュージスライムは体重のほとんどを前側に移動させてレタへと全速力で移動しています。

 レタから見えるヒュージスライムは既にレタより高くなっています。

 これ以上近づくと、レタに上から雪崩の如く襲い掛かって飲み込んでしまいそうです。


 『レタ位置を移動します、谷を隔てた更に北へと移動します』

 レタに移動の指示を出して、レタの側まで近寄ると、家(神域の部屋)の扉を出します。

 姉ねが出て来てレタと一緒に火球砲改2と魔石などを家へ運び入れました。


 急いで谷を越えて北にある更に高い山へと移動し、家(神域の部屋)を出します。

 レタと姉ねが射撃場所を土魔術で整えると、火球砲改2を設置します、此処はヒュージスライムの北北東約3ワーク(4.5㎞)の位置に成ります。

 レタは直ぐに火球砲改2を撃ち始めます。

 姉ねが家に入ると、私はアイが居る場所へと移動します。


 アイも位置を移動してヒュージスライムの西南西約2ワーク(3㎞)の位置に成ります。

 最後にナミの居る場所へ移動して、ナミを移動させます。

 ナミはヒュージスライムの東南東約1ワーク(1.5㎞)の位置です、此処はヒュージスライムが北へ移動すると考えて近い場所にします。


 新しい攻撃場所に移動して2コルほどすると、ヒュージスライムが動かなくなり、その場で盛り上がり始めました。

 体積は既に最初の2割までになっています。

 やがて最初の厚さの900キュビテ(300m)まで戻ると、一気に弾けて消えてしまいました。

 『攻撃中止、ヒュージスライムの弾けた場所を見て来るから、そのまま待機』

 『お待ちくださいお嬢さま、私が見てきますです』とレタから反対の声が上がったが、今回は私が空から見た方が安全でしょう。

 『レタ、地上には降りませんから安心して』とレタを宥めます。


 何も無くなった地表はヒュージスライムに吸収されて草木1本も残っていません。

 ヒュージスライムの核が在った中心部まで飛空で移動します、そこにはヒュージスライムの魔石と思われる大きさ10キュビテ(3m)の柔らかい塊と金属の板が多数積み重なっています。

 魔石が残って、ドロップ品と思われる金属の板が多数あると言う事は。

 『みんなヒュージスライムの討伐成功よ!』


 『やれやれやっと終わり申した、良かったでござる』とナミが疲れた声で言います。

 『お嬢さま、お怪我はありませんでございますか』何時ものレタです。

 『皆さん、おめでとうございます、この人数でヒュージスライムを討伐したのはすごい事です』とアイははしゃいでいるようです。


 『おめでとう、疲れただろうから、お昼ご飯は朝の暖めなおしだけど用意したよ』と姉ね。

 『うん、金属の板がドロップしたけど、其れって魔金(オリハルコン)だよ!』と妹は既にドロップ品に興味が言っているようです。


 それから、皆をドロップ品の場所まで集めて、色々話会いました。

 ドロップ品は魔金(オリハルコン)、魔銀(ミスリル)、魔銅(ヒヒイロカネ)、魔鉄(アダマンタイト)がそれぞれ100グッシュ(約700㎏)でした。

 全て錬金倉庫へありがたく仕舞います。


 皆なんで魔鉱が出るのか不思議に思っているようです。

 私もなんでなのか分かりません。

 ダンジョンですからドロップ品を決めているのはダンジョンコアだと思います。

 何らかのドロップ品リストでも在ってそこから確率で決まって出るのかも知れません。


 ヒュージスライムの魔石も姉ねが調べてみたいと回収していきました。


 後はシリアルビェッカ村へ帰るだけですね。

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