第47話 氷雪の森ダンジョン(6)
氷雪の森ダンジョン3日目です。
朝は気持ちよく起きれました。
まだ姉ねも妹も寝ています。
夜12時(午前5時)ぐらいでしょうか。
妹は今日は姉ねのおへそあたりに張り付いているようです。
妹は猫みたいに居心地の良い場所を探して寝ている間始終動き回っているのかな。
今度は仰向けになると姉ねから離れて更にうつ伏せにまで回転していく。
四つん這いで起き上がると誰かを探す様に「ミャー」とか声を出しながら私へ寄って来た。
私へピタッと引っ付くと「すゃー」と寝てしまう。
見ていて飽きない。
妹の動きを見ていて又眠くなってきた。
私も妹を抱き寄せると二度寝をします。
次に起きた時は、すでに姉ねは起きていて居ません。
妹を起して顔を洗いに行きます。
今日は氷雪の森ダンジョン3日目、採取にも慣れて来たので本格的に魔木を刈る予定です。
朝食に私の好きな岩石パンのスライスにスグリのジャムを塗って食べます。
暖めたミルクを飲みながら皆を見ると、オーナ姉妹は今日も元気なようです。
ゴロゴロ野菜スープを食べてるレタは、腰まである金髪を細かく三つ編みに編んで頭の左右に丸く輪になるように編み込んでいます。
細身の体に、プロテクター姿はりりしく感じます。
パンにジャムを塗っているアイは、肩の上あたりで切りそろえた黒髪に銀色の髪留めを差していて、とても似合っています。
侍女の服装の白い前掛けの布地越しに胸の存在が感じられるのは大きさが一番あるからなのかしら。
私の為に岩石パンを薄くスライスしてくれているナミは、何時もの神技の料理人の服をきています。
コックの白い帽子が黄色がかった茶色の髪に良く合います。
姉ねは今日は上下の繋ぎの服を着ています。農作業でもするのでしょうか?
「ん、ああ服ね、食事の後で農場に行こうと思ってね、今の季節は繁殖の時期だから争いが多くてね、怪我をする子が多くて今何頭か治療しているんだよ」
「昨日のブラッドソーセージは怪我が酷くて助からなかったのを潰して作ったんだよ」
それで、繋ぎの服を着ているのですね。
「ねえねえ、小姉、今日は魔木は何本ぐらい採取する積りなの?」
と妹が聞いてきます。
妹は既に朝食は食べ終わって、食後のホットミルクを飲んでいます。
「本格的に採取したいから5本ぐらいを狙ってるよ」
と先ほど思っていたことを伝えます。
「うん、わかった、製材の魔道具は完成したから5本ぐらいなら問題無く処理できるよ」
「姉ねに協力して、ウルの汁を精製する魔道具も作ったから、今日から処理が早くなるよ」
「後ね、樹液を絞った後の根っこや枝だけど、繊維がゴムみたいに伸び縮みを良くするんだよ」
「うまく加工出来ればゴムみたいに使える物が出来ると思う」
ミルクを手に持って、私とそっくりなので同じ金色がかった茶色の髪を揺らして力説しています。
「それは、良い情報ですね、それにゴムが手に入れば使いたい所が沢山あります」
と妹に期待している事を告げます。
ナミが切ってくれた岩石パンの一つを取って今度はバターを塗ります。
美味しくて、幸せです。
今日の野菜はジュレにしたレタスやトマト、キュウリに柑橘類の酸味を入れていて、スプーンですくって食べます。
これもさっぱりしていて新鮮な野菜の味が酸味と合わさってフルーティに感じます。
食後は紅茶をアイが入れてくれます、今日はお砂糖を少し入れたミルクティーにしましょう。
朝食の後は今日の採取の準備です。
私はインベントリ(魔法カバン)のバッグを4つ用意して、今日の採取に万全を期す事にします。
何時ものようにテントの中に家(神域の部屋)から出て、レタ、アイ、ナミとで装備の相互点検と周囲の状況の把握を行います。
テントを出た私達は、テントを畳んだ後更地に戻し氷雪の森ダンジョンを北東へと進みます。
今日は私とアイ、レタとナミの2組に分かれて進みます。
お互いは1㎞以上離れて魔木を探す事にしていて、こうして探索してく方が魔木を探し安いです。
お互いに技量が分かっているので2組に分かれても安心して任せられます。
白大鷲(ビッグホワイト・イーグル)が襲ってきましたが、7級の魔物にしては簡単に撃ち落されて魔石に成ってしまいました。
中級の魔物なのに手応えが無く弱く感じたのは、レベルアップのせいでしょうか。
でも白大鷲が居るのは崖が側にある証拠です。
崖地なら魔木が居ると思いますので、そろそろ見つけても良い頃合いですね。
レタから連絡です、『魔木を倒したでありますです』どうやら先にレタ達が見つけて既に倒したようです。
倒したのなら採取の為、急いでレタ達の側へ行きます。
レタとナミの前に魔木が横たわっています、魔石をナミの忍刀で切ったのか突いたのか一太刀でしとめたようですね。
「早かったわね、ナミが切ったの?」
と、枝が分かれる幹の上部分を深く抉ったような穴を開けて倒れている魔木を指さす。
「魔石まで切りつけ申した、魔石に切り込めた手ごたえがあったのでござるが、爆ぜてこのようになったのでござる」
忍刀に拭いを掛けながら、ナミは忍刀に傷が無いか確かめている。
魔石が爆ぜる事はこれまで土砲で何度か打ち抜いたけど、一度も無かったわ。
「ナミ、もしかしたらあなたもレベルアップで新しいスキルが無意識の内に出たのかもしれないわ」
「素振りで良いから、先ほど魔木に切りつけた時の事を思い出して同じように切りつけて見て」
人の居ない方へ指さしながら、ナミにもう一度やってみる様に促す。
ナミが、静かに忍刀を鞘に納めると前方3ヒロ(4か5m)ぐらい離れた場所に立っている木へ向かって、走りよると一気に飛び上がって忍刀を抜きざまに一閃切りつけた。
ナミは木を切る積りは無く木の樹皮を薄く切り裂くつもりだったようだ、しかし木は最初の枝がある丁度その下から上の部分を忍刀から出た何かが切り飛ばしてしまった。
残身で切り飛ばした木の上の部分が倒れて落ちるのを見ながら、ナミは何か手ごたえを感じているようだ。
「今のは、アルベルトが使った魔剣から出たのを見た事あるわ」
「魔力の刃が刀身から飛び出て狙った相手を切る事が出来るの」
「ナミが今回のレベルアップで得たスキルだと思うけど、何か名前を考えて付けると良いわ」
ナミに今起きた事を空間把握で把握できた内容から説明した。
いえ、空間把握だけでは無いわね魔力感知や危機察知なども一緒に感じているから私の把握するスキルが変化しているのかもしれない、今は、考えるのは後にしましょう。
「このスキルか能力の事を刃波(とうは)と名付けるでござる」
ナミは名付けたスキルが気に入ったようで、忍刀を片手に右手を握り締めて気合をいれている。
感動か感激かしている所を悪かったけど、ナミに切残した今は幹だけに成った高さ3ヒロ(4.5m)程の木を根本から先ほどの刃波で切り飛ばしてもらう。
意外ともう一度振るえるのが嬉しかったのか、いそいそと忍刀を鞘に納めると、立木に向き合い一歩を踏み出し様に鞘から抜いた忍刀に魔力を乗せた刃波で地面すれすれを切り飛ばした。
切倒されたこの木は何の木か知らないけど、木目が詰まった良い木材に成りそうな木ですね。
早速インベントリのカバンを持って来て、クレーンの魔術でカバンへ収納します。
魔木からもウルの汁を採取します、錬金で分離させタンクへ入れて行きます。
根っこと枝からは500グッシュ(700㎏)取れました。
4つインベントリのカバンを持って来てて良かった。
カバンに収納した魔木とナミに切り倒してもらった木を持って家(神域の部屋)へ持って帰ります。
ナミのレベルアップでスキルが発生したのなら、レタやアイも何か新しい能力が発生しているかもしれないですね。
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