第45話 氷雪の森ダンジョン(4)

 家(神域の部屋)から外へ出ると、テントの中へ出ます。

 一端テントの中で装備の確認や、周りの状況を確認します。


 夜の間に魔物が近寄った気配はありませんが、魔物が逃げているような感覚がします。

 空間把握で把握できる範囲は更に増えて3㎞の半径の球状の中が把握できる様になりましたが、増えた先まで把握した感じでは魔物が居なくなっています。


 違和感が在ります、レタはどう感じているのでしょうか?

 「レタ、魔物が居なくなってますが私達から逃げたのでしょうか?」


 「お嬢さま、私にも魔物が居ないことが把握できていますです、これは異常だと思うであります」

 「一つ考えられることがあります、お嬢さま昨日テントに聖域の結界をおかけに成りましたが強さはどのくらいを目安にされたのですでしょうか」

 レタは聖域の結界が強すぎたのではと感じているのかもしれません。


 「いつも掛けてる少し弱めにしようとして、此処が氷雪の森ダンジョンだから、少し強めに掛けたよ」


 「「「それです」と言いますです」でござるよ」

 と3人が口をそろえて言います。


 「お嬢さま、空間把握のスキルが上がった事はご存じですよね、聖域の結界のレベルも上がったようですと思いますです」

 そうか、レベルが上がったのですね、それがこの聖域の結界の効果で魔物を追い払ってしまったのね。

 「前がレベル3だったから、今はレベル4に成ったのね」

 「聖域の結界は神の権能の力だから神格が上がったのかしら、力が強くなった気はしないから分からないわね」

 後で聖域の結界の付与を全て掛けなおして置きましょう。


 「そうと分かればテントを畳みましょう、聖域の結界も解除しますね」


 と言う事で自覚がありませんでしたが、全体的にレベルアップしていました。

 恐らくレタ、アイ、ナミもレベルが上がっている事と思います。

 私達姉妹は私の中の別人格なので、私がレベルアップすれば一緒にレベルアップしています。


 テントを畳んで、跡地を平らに均すと出発です。

 更に奥地(北の背骨山脈)へと向かいます。


 増えた空間把握で探すと、魔木は直ぐに見つかりました。

 聖域の結界強で逃げだした魔物ですが、さすがにトレントは逃げ出すのが遅かったようです。

 足を地面から抜き出して逃げようとしているようですが、まだ足の1本が抜けて無い様で枝を振り回してもがいています。

 100mほどに近づいて土砲で魔石を撃ちぬきます。


 ウルの汁を回収しようとして、インベントリのカバンが無い事に気が付きました。

 まだ昨日のままトレントの胴部分と一緒に倉庫へ入れたままだったことを思い出しました。

 どうしましょう、と思っていると、妹がインベントリのカバンを2個持って家から出てきました。

 「小姉、カバン忘れてたでしょう、タンクは姉ねが、トレントは私が出して持ってきたよ」

 とカバンを差し出してくれました。

 「後、姉ねが昨日タンクを作った木はヒノキっぽいって」

 と、木の情報を知らせてくれる。


 「わぁ、ありがとう、良くカバンから出せたわね」

 と聞くと。


 「製材の魔道具は重量物の運搬もする必要が在るからね、作ったのよささっとね」

 などと笑いながら言っていますが、其れってやっぱりレベルが上がって魔道具の作成が前より容易に作れるようになったと言う事よね。


 「そうなんだ、ありがとう持ってきてくれて」

 レベルアップを確かめる事が出来たようです。


 今回の魔木からは、110グッシュ(800㎏)以上のウルの汁をタンクへ回収できました。

 インベントリのカバンに魔木とタンクを入れて家の倉庫へ持って行くと、妹が巨大な魔道具を組み立てていました。


 妹によれば樹皮を剥いだ木を乗せると後は全自動で製材倉庫まで製材して格納してくれるそうです。

 蒸気で湯がき、ねじれやゆがみを取って乾燥機で乾燥する時に真っ直ぐに整形するそうです。

 一端乾燥させた物は倉庫へ貯めて、必要な物から製材機に掛けて行くのも自動で行うそうです。

 製材に加工するのも必要とする製材の量からカットする位置を決めて部材に切出して製材倉庫へ格納するまでを自動で行ってくれるのだそうです。


 妹の魔道具は半端ないなぁと思いました。

 もう魔道具の神様と言って良いよね。


 アイが端材が出たら下さいと言っています、端材で何か工作するのでしょうね、何が出来るか楽しみです。


 姉ねの所へ行くと、タンクにウルの汁を精製した物を充填している所でした。

 「おおい、近寄るなよ、霧に成ったウルの汁を吸っただけでも肺が爛れるぞ」

 見ると、姉ねは体を全て覆った潜水士みたいな恰好をしています。


 「はい、新しいウルの汁を持ってきました、此処に置いておきますね」

 とウルの汁が入ったタンクをカバンからクレーンの魔術で出して、近くに置くと早々に立ち去りました。

 ”近寄るな危険”ですね、はい分かりました。

 今度看板でも作りましょう。


 お昼の食事は、忙しそうにしている2人の為にナミがサンドイッチとミルクとコーヒーの手で摘まめる物にしました。

 2人とも仕事がはかどっているのか張り切っていて逆に心配に成ってきました。

 「二人とも張り切り過ぎじゃ無いの、怪我とか体調が心配だわ」

 と二人に言うと。


 「なんだか体の奥から力がみなぎって、これくらいではまだまだ大丈夫さ」

 と言います。

 それってレベルアップして普段より動きが良くなったからじゃあないかしら。


 「注意してね、今の状態はレベルアップによって今までの限界が上昇したからなのよ、何時か限界が来るわよ」

 と言うと、レベルアップした事に吃驚していたけど、納得したようで昼からはベースダウンすると約束してくれました。

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