第44話 氷雪の森ダンジョン(3)

 インベントリのカバンとクレーンの魔術の試験を行ってバグ出しを入念に行います。

 何度か作り直しを行い、満足できる物が出来たのでインベントリのカバンは2個、クレーンの魔術はクレーンの数を複数設定が出来る様にしました。

 あたりは既に薄暗くなっています、夏なので完全に暗くなることが無いのは助かります。


 「重き重量に耐え足場を組み立て氷雪に耐えるが好い、4本の塔の手を持つクレーンよ重き錨を持ち上げよ」

 クレーンの数は4つの「クレーン」魔術を行使します。


 持ち上げたトレントの胴部分をインベントリのカバンへゆっくりと入れて行きます。

 全部入ると、カバンの中で下ろして行き、カバンはその重量を少しも影響せずにゆがみもしません。

 次に根っこの部分と枝の部分をカバンへ入れて行きます。

 「クレーン」

 ウルの汁を入れたタンクも別のインベントリのカバンへ入れます。

 全て入れ終わると、インベントリのカバンを両手に持って神域の部屋へと入って行きます。


 インベントリのカバン毎、今回新たに作った倉庫へ入れると、ごはんを食べに食堂へと向かいます、今日の夕ご飯はなんだろうな。


 手と顔を洗って、食堂の席に着くと既に料理が並んで待っていました。

 バターで炒めた豚肉とオウレの町で仕入れたベリーのジャムを使ったソースにフリック(ビチェンパスト国のジェリモネフリッカで買った事がある)を合わせたお皿がメインのようです。

 後は今日は食パンぽい麦のパンと何時ものゴロゴロ野菜のシチューとレタスやトマトキュウリなどの生野菜、食後に私は紅茶を飲んでゆったりします。


 今日は1回で100本分のウルの汁を手に入れる事が出来ました。

 この調子なら今回の採取だけで年間必要量を得る事が出来そうです。


 何日ぶりでしょう、姉ねと妹ちゃんと入るお風呂は素敵ですね。

 姉ねにスリスリくっつきます、妹ちゃんに抱き着いて匂いを堪能します。

 「はぁー癒されるわ」

 心の奥から出て来る言葉はありきたりですがこれこそ幸せの言葉なのです。


 夜は何時ものように、3人でベッドに入って寝ます。

 姉ねの胸に癒され、妹ちゃんの柔らかい肌に気持ちが良くなります。

 足を絡めてお腹に顔をうずめて、いつか寝ていました。


 朝起きたら、妹ちゃんの顔が私のおしりに張り付いていました、いつもの事ですが久しぶりの寝相の悪い妹ちゃんを見れましたね。


 姉ねはもう起きているようです、私も妹ちゃんを起して一緒に寝室を出る事にしましょう。


 顔を洗って食堂へ2人で行きます。

 既に皆がそろっています。

 「「おはようみんな」」

 2人で皆一緒に朝のご挨拶です。


 「「おはよう」ございますです」でござる」ございます」

 とこちらも一斉に挨拶を返してくれます。


 今日の朝食は、岩石パンを薄くスライスした物(私はこの薄くスライスしたパンが好きです)とバターやベリーのジャムです。

 今日の野菜は温野菜が出ています、ニンジン、ジャガイモ、ナス、にフキのようなフルカと言う野草です。

 そしてメインはベーコンと卵の炒め物です。

 「ベーコンも作れるようになったの?」

 と姉ねに聞きます。


 「ええそうよ、ベーコンやハムにソーセージなども作れるように成って来たわ」

 「今の所成功しているのは豚だけだけど、そのうち牛やヤギでも作れる様になると思うよ」

 姉ねが苦労したんだとベーコンをフォークで刺してしみじみと言います。


 お肉は牧場から少量取れるのですが、牧場で飼える以上に増えた時だけなので季節的に春か秋になります。

 このベーコンは春に潰した豚から作ったのでしょうが、貴重なお肉なのでおいしく大切に食べます。


 美味しい、脂身に甘みがあって桜の木のような香りがします。

 「桜の木でスモークしているの?」

 と姉ねに聞きます。


 「そうよ、よくわかったわね」

 「ベーコンにする部分を切り取った後塩漬けして、塩抜きした後乾燥させるのだけど塩の加減が難しくてね」

 「塩を薄めにして塩抜きを短くして風に当てて乾かすのも短いのさ、逆にスモークの時間を長くしている」

 「まだまだ試行錯誤してるよ」


 「とっても美味しいわ、ベーコンって塩味が強くてあまり好きじゃなかったの」

 美味しいベーコンに率直に感想を言うと、姉ねが嬉しそうに言ってくる。


 「よかった、保存性が弱いのが弱点だと思っていたけど、確かに町で買って来たベーコンって塩味が強いよね」

 姉ねが満足そうにベーコンを食べた。


 食後は姉ねはコーヒー、私と妹ちゃんは紅茶にミルクのミルクティー、レタとアイは何も入れない紅茶でナミは紅茶にジャムをスプーンで食べながら飲んでいた。


 我が家は圧倒的に紅茶党でした。

 紅茶を買って来てくれたレタと紅茶の木を培養して再生してくれた姉ねに感謝です。


 食後のお茶を飲みながら、今日の予定を話し合います。


 「今日も魔木を採取する積りよ、出来れば昼7時までに1本、お昼ご飯の後に1本の計2本が目標ね」

 と私から今日の予定と目標を伝えます。


 「それじゃあ私は昨日採取したウルの汁の精製を行って置くよ」

 と姉ねがウルの汁の精製を請け負ってくれました、ウルの汁も皮膚に着くと被れるので大変なのです。


 「私はウルの木質部分を加工する魔道具を作るわ、今後大量に必要になるのは間違い無いから」

 とこちらは妹ちゃんが得意の魔道具作成を請け負ってくれました。


 「助かります」と2人に頭を下げた。


 「そこまで改まった礼をされる事じゃあ無いさ」と姉ね。

 「うん、小姉も大変なんだから、私もできる事はするからね」と妹。


 「うん、ありがとう」

 「さて、それでは用意をして出ましょう」

 うれしい応援にぐっとくる物が有りますが、笑って出発の号令を掛けます。


 「「「はい」であります」かしこまりました」

 とモース姉妹も元気いっぱいです。

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