第42話 氷雪の森ダンジョン(1)
いよいよ氷雪の森ダンジョンへ出発です。
予定は、3泊4日です。
シルアルビェッカ村の奥(北側一帯)は既に氷雪の森ダンジョンの一部です。
新型の飛空服で飛べば1コルでダンジョンのトレント系が多く居る場所へ着きます。
今回うまく収集出来ればこれを日課にしても良いかもしれませんね。
実は一つ狙っている研究課題があります、それは魔物が実は聖樹がこの地に供給している魔力の影響によって生じた変化によりできた生物だと言う事から、出来るのではないか研究して確かめたいと思っています。
聖樹が降臨する前まではこの地は地球によく似た環境を持つ世界だったと考えています。
聖樹の降臨後魔力がこの世界に満ちてきますと、生物に大きな変化が起こりました。
魔物化です。
最初の頃の魔物化は魔力を持った生物に成る事でした。
ですから普通に繁殖して死んでも魔石やドロップ品などは落とさず、亡骸も消えませんでした。
それが魔物だけ死んだら魔石を落とし、ドロップ品を残す様になったのは、ダンジョンがこの世界に出てきてからでした。
もちろん死んだ魔物が、突然出て来る事(再ポップ)もダンジョン内では起きるようになりました。
やがてゆっくりダンジョン外の魔物は駆除されて行き、魔物はダンジョンにしか生息しなくなって行きます。
時々イレギュラーが発生し、魔物がダンジョン外へ出て来る事があります。
その一つがスタンビートです、それ以外にも単独の魔物が外へ出て来る事も稀にあります、魔物のサメのメドロン君などがその典型的な例ですね。
そしてダンジョン外で繁殖している事があります、ワイバーンなどがそうです。
果たしてワイバーンがダンジョンから外へ出た生き残りなのか、そもそもダンジョンに取り込まれなかった生き残りなのか分かりませんが、ダンジョン外で繁殖する魔物が居る事は事実です。
人間を含めて、家畜などは魔石を持っていません。
その為魔石の有無が魔物との違いとされています。
これにも例外があります、めったに見る事はありませんがスライムと呼ばれる魔物がいますがこの魔物の魔石は柔らかく半透明です。
そして、学者の中には人間を含めて魔石が無いと思われている生き物にも内蔵と判別のつかない魔石が在ると言う人がいます。
そんな人たちが魔石かもしれないと言っているのが、胸腺です。
人間の大人では骨化して骨に成っている人が多い為、取り出しても死にはしませんし、魔石としての性質もありません。
では何故魔石と疑われるのか、それは柔らかい内は魔力を強く帯びているからです。
しかも樹人はこの胸腺が死ぬまで柔らかく魔力の集まる場所に成っています。
樹人が魔力を多く持っているのは胸腺に魔力が溜まっているからだと言う学者もいる程です。
私の感覚では魔力は体全体で循環していて胸腺に集中しているような事はありません。
でも魔石が無くても魔力を持っているだけで魔物と似たような者だと思います。
樹人は魔力と共に進化した生き物ですし、この世界も5万年の長さを魔力と共に過ごしてきたのですから。
それにダンジョンについて私はミエッダ師匠から一つ聞かされた話があります。
ダンジョンの最奥に在るダンジョンコアの作りが、聖樹にある物資再生システムと作りが良くにているそうなのです。
登録した物を消費されれば再度作り出すシステムです、魔石は使いませんがそれと似たCPUチップが使われているそうです。
CPUチップを基に消費を確認すると新しく同じ物を作り出すのです。
聖樹の中ですから最初から精肉や毛皮に製錬した魔鉱などとして作り出すのです。
魔道具として出す事も出来るそうです、まるで宝箱の用ですね。
ミエッダ師匠によるとダンジョンコアも魔物として進化しているのではと考えられているのです。
最近5千年前頃から発生した恩寵型ダンジョンがその例だと言われるのです。
人間だけに都合の良いダンジョンなど、背景に聖樹の物資再生システムでもなければ考えられません。
ミエッダ師匠が恩寵型ダンジョンを嫌うのはそんな所に在るのかもしれません。
森型ダンジョンはコアがどこにあるのか分からないですし、どうも一つだけでもなさそうです。
魔物の再ポップにしても秩序だった様子はありません。
それに対して恩寵型ダンジョンはほぼ決まった場所に再ポップしますし、宝箱も同じ場所に出ます。
魔物の構成も階層で決まっていて森型ダンジョンの様にランダムではありません。
ただ魔物が再生されるのは、森型ダンジョンと同じだと考えられます。
原因は聖樹の変があった為、樹人が意図的に操作したのか、自然発生的にそうなったのか資料が燃えて無くなってしまった為分からなくなりました。
私は、妖怪砂掛け婆達が何か知っていそうだと思います。
まぁそれは置いといて、最初に言った研究したい事ですが、ずばり魔物のダンジョン外での繁殖です。
繁殖できなくても、魔木などはダンジョン外に植えて置けば利用できるのではと考えています。
ウルの汁採取にかこつけて、トレントの魔木をダンジョン外に移植しようと言うわけです。
もし移植できそうな小さな魔木が在れば周りの土毎持って来て、妖精村のどこかに移植してみたいと思っています。
さて準備は終わったので、出発します。
飛空で飛び何時もの様に飛空服を展開します、方角は北で距離も60ワーク(90㎞)程、1コルの空の旅です。
氷雪の森ダンジョンの中に入りました、ここら辺はまだ浅いので初級の魔物が多いエリアです。
ある程度奥に入って地上に降ります。
降りて直ぐにレタ、アイ、ナミを呼びます。
外で会うのはひと月ぶりです、毎日夜には自室から家(神域の部屋)へ帰っているので毎日会ってはいます。
帝国以来のダンジョンです、オーナ姉妹がいますし、久しぶりに張り切っていきましょう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます