第41話・2 準備の色々(2)

 ウルの汁を使った強化木材の作成は、1年間ウルの汁に木材を漬けてウルの汁を浸透させる事で強化されるのです。

 これを、大姉は浸透を助ける添加剤を用いて、木材をウルの汁に漬け木材の細胞を壊さない程度に圧を掛け続ける事で7日で1年間漬けた木材より強化された強化木材を作ることに成功したのです。

 更に、この板を最初から薄くした板材で行うと1日で強度が同じ位の強化木材を造れるようにまで成ったのです。

 この薄板を用いた合板はどの方向へも強化された木材が作れました。


 オウレの町の方は5日は放置しましょう、それまでに教室は出来るでしょうが、私の教える為の準備が出来ません。

 最低でも実習で使う偵察バードが作れるように準備しておかなければなりません。


 偵察バードはアルベルトが作った旋風推進機をドワーフの匠方が作れれば、作成は全て彼らに任せます。

 その時は映像や音声の送信は魔術付加された魔道具でアナログ波に乗せて送信されると思います。

 制御用の魔波も同じになるでしょう。

 結局アルベルトが作った偵察機の様に水晶のような球に立体的な映像を映すかモニター画面をまねて平面に投影させて画像を見ることに成るでしょう。

 ブラウン管テレビのイメージですね。

 操縦も同じような飛行機型操縦に成ると思います。


 旋風推進機は魔石を7級のままでも効率の良い魔術陣に変えれば時速100ワーク(150㎞/h)まで速度を出せます。


 魔波を中継する旧型の中継バードは見本に今ある分を残しますが、以後新型のみ作ります。

 教室で見せるのはこの見本用に残す中継バードです。


 その為に中核となる部分をブラックボックス化します、通信を中継する部分です。


 これまでの通信は魔波を受信したら分波器から音声部分を取り出して音声板を振動させて音を伝えていました。

 その受信した音声を人間が中継して又通信していたのです。

 この部分を私はデジタル化しました、アナログからデジタルへの変換(AD変換)とデジタルからアナログへの変換(DA変換)です。

 中継はデジタルでの通信が出来ますので、暗号化や圧縮してパケット化すれば同時に多数の通信機からの送受信が出来るようになります。

 10級クラスの魔石でも高速通信の制御に使えるCPUの代わりをする事ができます。

 でもこの魔石をCPU並みに加工するには細密空間把握のスキルが必須なので私達以外では作れないのです。

 これらの部分がブラックボックス化(黒い箱型の密閉された塊です)することになります。

 機密保護の為、下手に動かすと中が溶けてしまう事に成ります。


 ブラックボックス化したコア部分を作って置かなければ、理論だけ話して実践が無いとドワーフの方々から又迫られてしまいます。

 それに見本として見せた相手に中継バードを盗まれて、アルベルトらに見られると不味いです。

 中継と言うアイデアその物が知られると不味いのです。

 何時かは知られるか自分で考え着くでしょうけど、それまでの間優位に立てます。


 此のこともあって、新型の圧縮型推進機(ジェット推進)を使った中継バードと偵察バードは情報部のみが保有する積りです。

 中継バードは情報部が全て保有します。

 妖怪砂掛け婆達からちょっかいを掛けられましたが、私が居る限り邪魔はさせません。


 情報部で運用する全ての機体は空間を超えた頑固な繋がりで情報をやり取りします。

 最初は神力の再充填用に神域の部屋の神力が使えないかと考えたのが発端です。

 一度神域の部屋にあった部屋(カスミ姉妹専用の覗部屋)で再充填する為、空間を超えた頑固な繋がりを集めて再充填させるとうまくいったのです。

 これで神力が切れる事も無くなり、運用がしやすくなりました。


 飛行時間も常に神力を魔力に変換しているので切れる事はありません何時まででも飛んでいられます。

 捕獲された時用に、既に魔石はダミーに変えています、たとえ調べられてもブラックボックス以外は普通の魔道具に見えると思います。


 全ての通信は、神域の部屋の作戦指揮並びに情報統括室(カスミ姉妹専用の覗部屋)改めアーカイブ室へ一端集められ再分配されます。

 当然、村の上空に配置された中継バードとも送受信しますから、外から見れば中継バードが魔波を中継している様に見えるでしょう。

 中継バードと新型の偵察バードは全て私が作成し、情報部でのみ使用します。


 中継バードですが、運用していて頻繁にヴァン国以外で使われていると思われる魔波を受信する事が在ります。

 誘拐同盟や他国の船などの通信だと思うので、話す符丁(通信のやり取りは聞かれても分からない様に符丁で行っている)を情報室で解析しているところです。


 偵察バグはゴーレム化します。

 ただしここまで小さい虫型魔物は居ないので、此方でサイズの小さい10級の魔石に擬態を付与させてサイズが同じぐらいの船虫や甲虫などの姿にした魔石をゴーレム化してもらいます。

 ゴーレムには真上のみに魔波を送受信するラッパ型の超小型魔波通信機を組み込みます。

 制御は魔波に乗せた魔力で行います。

 擬態の付与魔術陣やラッパ型の超小型魔波通信機の作成が難しいかもしれませんが、ここまで作り込めばドワーフの匠方なら作れると良いなぁと思います。


 後は火球砲改ですね。

 火球砲改の供給は空間に魔術陣を構築する事は理論的には理解出来るでしょうが、神力持ち以外には何らかの装置を使うか魔力増大などのスキルを使えるように成るしか作れる様に成ら無いと思います。

 作れる人は神格をお持ちのミエッダ師匠はもちろんの事、妖精族の何人かと養母様から神力を感じる時があるので作れるかもしれません。

 他の人では魔力的に足りなくて無理があります、そうあの妖怪砂掛け婆達でもです。

 ドワーフの匠方様も長様を含めてまだ魔力もスキルも足りません、でもまだ1千歳なので今後精進すれば出来るように成るでしょう。


 ですから全て私達が作って供給する事に成ります。

 最終的な作成数は偵察バグを除けば、火球砲改が一番多くなるでしょう。

 6級の魔石が足りなくなると困るので、1発撃って交換する7級や下級の魔石から魔力を吸い上げて魔石を再充填する魔道具を作る事に成るかもしれません。


 火球砲の充填効率を上げる研究は時間が無くて放置している状況です、これも何時かしなければいけない仕事ですが、魔銅金属(ヒヒイロカネ)を使った合金がよさそうだ位でしばらくは放置するしかないですね。


 纏めると仕事の振り分けは次のように成ります。


 中継バードは全て私が作成し、情報部でのみ使用します。


 偵察バードの飛行機型は時速100ワーク(150㎞/h)が最高速度で内部処理と操作に通信もアナログで処理する機体です、飛行できる時間は7級魔石で8時間です。

 魔具省のオウレ工房での作成が予定されています。

 海軍と自警船隊に供給されるのはこのタイプに成ります。


 ジェット推進型偵察バードは時速300ワーク(450㎞/h)の速さで全てデジタル処理されます。

 私が作成し、情報部のみで使用します。


 偵察バグはゴーレム化できれば舟虫型と甲虫型を魔具省のオウレ工房で作ります。

 海軍と自警船隊に供給されます。


 新型(神力仕様)と従来型の偵察バグは私が作成し情報部のみで使用します。


 モニターとコントロール端末(コントロラー)はアナログ型を魔具省のオウレ工房で作ります。

 海軍と自警船隊に供給されます。


 従来のモニターとコントロール端末(コントロラー)は私が作成し情報部のみで使用します。

 執務宮にも2台養母様用に使われています、モニターだけです。


 カモメ型新造船は自行船が自警船隊に、帆走型の設計図を海軍に提供する話があるそうなので、海軍へ。


 自警船隊の新型カモメに搭載する水流推進機と操船魔道具一式は私が作って提供します。

 22隻分に成ります。


 海軍と自警船隊の通信機の改造は新しい通信システムに対応する為の使用魔波の範囲を広げます。

 従来の通信機作成工房で作ります。


 拡声器の改造は船内放送システムの構築ですから最初はカモメ用に私が設計しますが。

 作るのは従来拡声器を作っている工房がする事になります、他の船に取り付けるのかは私に関わりの在る事ではありません。


 その他これまで使用している魔道具で変更はありませんでした。

 錨を引き上げる魔道具、明かりの魔道具、水の供給をする魔道具、調理具を加熱する魔道具、トイレの処理をする魔道具、など従来の魔道具はそのまま使う事になります。


 中継バードの通信は私が全てコントロールできるので、全ての通信を監視できますね。

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