女体化
いつものように学校。あ〜退屈。誰か死なねえかなあ。爆発事件とかテロリストとかがあったら活躍できるのにな。そう思っているとなんだか胸騒ぎがして教室の外に出た。ん? 今日はウエサマとかいう上級生がオデコを見に来ていない。アイツ始業式にオデコを狙ってる宣言をしてから毎日来ていたのにおかしい。それに子分の2人だけいるなんてもっとおかしい。さらに追撃でおかしいのは、だぼだぼの男子の制服を着た女の子がいることだった。まあまあかわいくてからだがふにふに大きくて髪形はショートカットの女の子だ。
「おい、森!」
その女の子から指を刺され名前を呼ばれた。
「だれ?」
「誰って俺だよ。ウエサマだよ!」
「えっ!?」
ウエサマが女の子になってる~~~~~~~~~~~!!
「女の子になってるじゃん。どうしたの。本物? 大丈夫?」
ウエサマだと名乗った女の子はだぼだぼのシャツの両腕を回しまくっている。
「大丈夫なわけねーだろ! 朝起きたら女体化しちまったんだよー!」
僕はウエサマの股間を触った。たしかに無い。ついでにおっぱいもさわった。やわらかくてあたたかい。どうやらブラジャーもしていないようだった。
「や、やめろ」
体をくねらせて手を払いのける動作は女そのものである。でももっかいおっぱいを触る。
「おいおい、いい乳してんじゃねーかよ」
僕は両手でわしづかみしながら言った。子分たちはよだれをたらしながら羨ましそうに見ている。
「やめろって言ってんだろーが!」
僕の体を弾き飛ばそうとしたがなにぶん体格差があるから逆にウエサマの方が吹っ飛んでしまった。ぐふふ、かわいいじゃねーか。
「な、なんだよ。そのニヤケ面! やんのか!」
「なに? なにを? なにをやるの?」
しりもちをついたウエサマに僕は覆いかぶさった。
「お、おいやめろ。バカ!」
僕はそのまま乳を揉みしだいた。
「やめろ。どこさわってんでい。男の胸なんか触って喜んでんじゃねーよ」
「うるさいやつだな」
僕はウエサマの口をキスして塞いだ。
「んんんーーーーーーーーーー!!」
胸を揉みしだきながらキスをするとウエサマも次第に大人しくなった。もう受け入れる態勢になっていたのだ。僕は勃起した。
「はい、そこまで。男同士で何やってるの」
京子先生が現われ、僕は引きはがされてしまった。ここからいいところだったのに。
「あのねえ森君。ウエサマ君は真剣に悩んでいるの。女体化っていう奇病にかかってしまってアイデンティティを失っているのよ。悪ふざけはやめてあげなさい」
「先生もっと早く言ってくれよ。俺のファーストキスが森の野郎なんかに奪われちまった」
「処女もうばってやるよ」
僕がそう言うとウエサマは京子先生の後ろに隠れた。ひょっこりこっちを覗く動作は女の子そのものだった。
*
放課後、部室で部活動を相変わらずサボっていると、先生がこない。僕の笛で奏でるメロディーに先生の美声が乗せられて完成するのに、先生が来なきゃ始まらない。僕は先生を探しに行くことにした。先生を見つけたのは駐車場だった。
「京子こんなところにいたのか」
「水瀬先生ね。なに彼氏面してんの」
「なにしてるの?」
京子は白い車の前にいる。どうやらこの車が京子の愛車のようだ。僕はなんとなくタイヤを蹴った。
「ちょっと! なにするの!」
すごい勢いでこっちにやってきて、タイヤを撫で始めた。
「痛かった? ごめんねー。お猿さんがうっかり蹴り入れちゃって」
「誰がお猿さんだよ!」
僕は今度は窓を右手で叩いた。ボンとはじける音がした。
「おい!」
京子は怒って僕を突き飛ばした。おっとっと。かなり力強い。本気だ。
「ありえないから! 私のラパンちゃんになにするの!」
「いや、嫉妬で壊したくなっちゃって」
僕は適当な言い訳をした。
「ハァ~? まったく」
「あ、先生。僕をこの車に乗っけて下さいよ」
「やだ」
先生はこちらをちらりとも見ずに言った。
「やだやだ。乗りたい。ラパンちゃんも乗せてあげたいって言ってるよ」
僕は両腕をじたばたさせながら言った。
「じゃあ、ホラ。ハイ」
京子はそういうと僕をトランクの上に押し付けた。
「はい乗った。おしまい」
「やだやだやだ! 乗りたい乗りたい乗りたい!」
僕は駐車場で仰向けになりながら駄々をこねた。
「自分で買って乗りなさい!」
「悪いことしよ? 先生」
「別に車に乗せることが悪い事じゃないでしょ。ほら行った行った」
僕は悔し紛れにバンパーを蹴り上げた。すると、先生の目の色がナウシカの王蟲のように安全色から危険色に変わった。無表情のままこっちにダッシュしてきたから僕も同じようにダッシュで逃げた。水瀬京子先生の僕に対する愛情が1ポイントあがった。
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