第23話

私はショックで動けなくなってしまいました…!

ウィル様…

私を忘れてしまったの…!?


ウィル様は辺りを見渡すと

「君たちも誰だ?」とお二人にもおっしゃっています…!!

「そんな…ウィル!私だよ…!本当は私の事を好きでしょう?」乳母様のご息女はそんな事を言います!

あわわ…

もしそうだったらどうしましょ…


ウィル様は鼻をフンと鳴らすと

「馬鹿なことを…俺は君の事など好いてはおらん。」

そう言いながらこちらを向きました。


「そんな事より…」

ウィル様は私の手をとり

「なんだ…君はものすごくかわいいな…」そう言いました。

私は顔がすごく熱くなって

「ウ…ウィル様…」と呟きます。



「ほら見ろ!ウィルは記憶を失っても婚約者様に夢中だぞ!な!もう諦めろ!」

ユウジ様は嬉しそうにご妹様の肩を叩いています。


「ああ…君をグチャグチャのドロドロにして性行為を……一日中したい…

ちょっと試しにやらせてくれ。」

へ?

そう言うとウィル様は上着を脱ぎました。

「ウィル様?」

ウィル様は私をソファに押し倒し強く抱きしめてこられました!

ウィル様…!!

いけません…!!

「ウィル様!駄目でございます…!」

「なあに…少しだけだ。」

「そうではなくて…!処女でなければ王族と結婚できなくなってしまいます…」

私はポロポロと涙を流す。


ユウジ様が慌ててウィル様を私から引き離そうとしてくれています。

「ウィル!やめろ!」

ウィル様が力強すぎてビクともしていません…

駄目よ…

ウィル様…!


「ううう…」

ウィル様…?

「ユユユウジ…魔術師を…呼んでくれ…」

ウィル様はすごくたくさんの汗をかきながらそう呟きました。

ユウジ様は慌てて魔術師様を呼びに出ていかれて、妹様はポカンと口を開けてらっしゃいます…


「メイ…いかんんん…」

「ウィル様…!!」

「俺の腹を抓ってくれ…」

え!なんで!?

「正気に戻るかもしれんんん…」

ウィル様はなんだかすごく身体に力を入れてらっしゃるご様子…

「欲望が止まらん…早く…たのむ…」


私は慌てて教えていただいた通りお腹辺りをギュウっと抓ります。

ウィル様は唸り声を上げていらっしゃる…

ううう…ごめんなさい…ウィル様…



「か…かわいい…抱き壊したい…」

ウィル様は私の頬をベロベロ舐めてこられます。


ああ…!駄目だわ!

ウィル様が強靭すぎて私の指先で抓った位では…!!

「ウィル様…目をお覚ましください…!処女でなければ…婚約はなしになってしまうのでは…??」


「なあに…権力を使えばどうとでもなる…

君が処女膜を失っても結婚することなど容易い…」

ウィル様…

ウィル様はそんな事しないのです…!

「ウィル様…ウィル様はそんな事に権力を使いません…あなたは誰ですか?」

ウィル様は私の首筋をベロベロ舐めて言います。

「俺はウイリアムだ。こいつの欲望のままの姿だ。」


ウ…ウィル様…!!

嘘よ…

私の好きなウィル様は…

そんな事を考えてなんかいらっしゃらないわ…!







「うぐぬぬぅぅ…う」

「ウィル様!」

「メイ…ううぅ…」



「意識がすぐ取り代わってしまう……ユウジ…早くしてくれ…」

「ウ…ウィル様…」

私は涙を溢してしまいました。

「メイを泣かせて…俺は…何をしてるんだ…」

ウィル様からポタポタと汗が滴ります。


その時バタンとドアが開き

フードを被る時間も急かされたであろう魔術師様が口の端にミートソースをつけていらっしゃいました!


魔術師も口からご飯を召し上がるのね!!


「殿下…!」

魔術師の方は顔を青ざめていらっしゃいます…

「お前は悪くない…俺の確認不足だ…」

ウィル様は息を荒くして

「ああ…この女…かわいい…性行したい…ずっと我慢してた…早く夫婦になりたい…」そう言った。


ウィル様に魔術師様が何事が呪文を唱えると

彼は急に力が抜けてぐたりとした。


ああ…!

とても重たいです…!

私…潰れてしまいそう…!!


私がハァハァしていると魔術師様とユウジ様が慌ててウィル様を持ち上げて浮かせてくださいました…


ふぅ…

男の人ってとても重たいのですね…!

苦しかった…


私の上に倒れたウィル様は男性3人がかりでもう一つのソファへと移動されました。

「兄様なんか楽しい事になってるじゃん!」

弟君のジェフリー殿下はすごく楽しそう…

先ほど魔術師様の後からスルリと入って来られました…


後から乳母様であろう女性が駆け付けてきて

「ウ…ウィリアム殿下ぁ…」と涙を流しご息女のお尻を叩いてらっしゃいます。

ユウジ様と何やら話すと私の下にいらっしゃり

「娘が…大変申し訳ございませんでした。」と涙を流しながらおっしゃっていて

私はなんだか胸が苦しくなってしまいました…

「私は大丈夫でございます。殿下もきっと…大丈夫ですよ。」と乳母様の手を握りしめます。



「兄様目を覚まさんなぁ…」とジェフリー殿下は色んな角度から見ています。

なんか…殿下…

その手に持ってらっしゃる黒い粉はなに!?

やめて…

やめてくださいませ…



「気付けになるであろうか?」

やっぱり!!

ジェフリー殿下は黒い粉を撒きました!

絶対そんな予感がしておりました…!


するとウィル様が

「へくしゅん!」とクシャミをして起き上がったかと思うとそこには横たわって目を薄く開けたウィル様とそこに重なるように座るウィル様…

二人のウィル様がソファでクシャミを繰り返していました…

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