第24話

「「ん…?」」


ウ…ウィル様が二人…

ウィル様が二人いらっしゃるわ…!!!

私は魔術師様を見ます。

魔術師様もポカンとしてらしてこんな現象は初めてなご様子…


ジェフリー様だけがウィル様の周りをぐるぐる周り

「兄様すご!」と興奮しています。


「メイ…」

一人のウィル様がこちらにいらっしゃいます。

「ウ…ウィル様…」

私は何だかよくわからない涙がたくさん出てしまいました…

ウィル様は優しく私の頬の涙を拭ってくださいます。

「泣くな…メイ…」

あら…何かしら…お胸が誰かに掴まれてる心地がするわ…

ふと見るともう一人のウィル様が私の胸を後から揉んでいるではありませんか…!!

「豊かな胸だ…揉みたくてたまらん…」

「おい!やめろお前は!!」

もう一人のウィル様が怒っています。

「お前もこうしたいくせに…」

「したいが我慢しているのだ!!メイに触るな!」

もう一人のウィル様がもう一人のウィル様に…

あわわ…

もう…私パニックです…!!

なんでこんな事になってしまったの…!?


魔術師様も困っているご様子で

「ちょちょちょっと文献を確認してまいります。」

と御老体にムチを打ち走って研究室までかけていきました。

「「食事をしてからで良いぞ!」」と二人のウィル様がその背中に声を掛けてらっしゃいます。



「君はメイというのか…名前もかわいい…性行為がしたい…」

「やめろと言っているではないか!性行為は許さんぞ」


ウィル様は二人向き合って言い合いをしてらっしゃる…

一人のウィル様は随分といやらしい事を平気で言うわ…

さっきのウィル様みたい…


「兄様!面白いなー!」

ジェフリー様は腕を頭の後ろに組んでヘラヘラしています。

「で…殿下…」

乳母様は泣きながら

「私たちも魔術師様をお手伝いしてまいります…大変申し訳ございませんでした!」とご息女を連れて出て行かれました。

「ジェフリー殿下…さっきの粉は一体…」ユウジ様が聞きます。

「あれ?ただのコショウだよ…兄様の紅茶に入れようと思って」

「何!?お前はそんな事を…!やめろ!」



ウイリアム様が私のところにそっと近付いてきます。

「…?」

「メイ…」ウイリアム様は私に情熱的なキスをしてこられます…!!

同じウィル様なのに…!なんだか不貞をしてる気分です…!!

「ハァ…かわいい…性行為をさせてくれ…」

いけません…いけません!!

後卒業までに三ヶ月…なのになんでこんな事に…!!


「おい!何をしておる!」

ウィル様がウイリアム様の服を引っ張り私から引き離します。

「お前もやりたいだろうに…」

「したいが我慢しているのだ!その苦労をお前は無駄にするのか!俺のくせに!」


まあ…

ウィル様…本当は性行為がしたいのですね…

私は…少し怖いです…

でも…なんだか嬉しい…

私はお顔を赤くしてしまいました。


「それになんだか視覚的にいやだ…俺だが俺じゃない者がメイに触っている…許せん…!メイに触るな!」

「何を言っておる…俺はお前だ。」

「言ってる端からむむむむむ胸を触るでない!」



ウィル様はウイリアム様を私から引き離してギュウっと抱きしめてくださいました。


「本当は頬を舐めたいんだろう…」

「舐めたいが…舐めないんだ。」

「俺なら舐める」

ウイリアム様がぐいっと顔を近付けて

舌をベロリと出しましたがウィル様が私を庇ってくれたので、代わりにウィル様がウイリアム様にベロリと舐められていらっしゃいました。


ウイリアム様は嫌なものを舐めたような顔をして「意地を張るなよ…」そうおっしゃいました…

「意地じゃない…メイが怖がるだろう…急にそんな事をしては…」

「ウィル様…」

「本当はお前が言うとおり…処女を失っても結婚はできる…だが…彼女はどんな目に晒されるのだ…?」


ウィル様はじっとウィリアム様を見てらっしゃいます。


「俺が欲望のままに彼女と性交してしまったら…次の王妃は淫乱だ…と陰でコソコソと言われるだろう…例え俺が耐えきれず無理矢理処女を奪ったとしても…」


ウィル様は私を抱きしめる手に力を込めて

「彼女は俺の宝物だ…メイにそんな思いはさせられん…だから俺は我慢するのだ…」

そうおっしゃいました…!


私…すごく幸せ…

私はつま先で立ち上がりウィル様の唇に口を寄せました。ウィル様は腰を屈めると私の口を吸い

優しいけれど情熱的なキスをしてくださいました。


…ウィル様…大好き…

ん…?

また私のお胸になんだか違和感…


「おい!やめろ!」

「胸くらい…豊かな胸を揉みたいと思って実行する…それのどこが悪いのだ!」

「違う!そんな事をしては止まらなくなってしまうだろう!胸を揉みその欲望が満たされたら次はもっと別の事を、すると次はまた別の事…といつの間にか本番までしてしまうぞ!人間とはそういうものなんだ!欲深いのだぞ!」


「お前もメイを騙して性器を触っているではないか!」

「違う!あれはいやらしい気持ちだけではないのだ…

初夜にメイが痛くないように…慣らしたくて…」


ウィル様はこちらにクルリと向くと

「…メイ…

婚約者の挨拶というのは嘘なんだ…」

ガーン!!

嘘だったのですか…

危うくお兄様か妹に婚約者ができたらアドバイスをしてしまうところでした…!!

「しかし…

なんの練習もなく初夜を迎えてはメイが痛いのではないかと…心配で…

それと…いやらしい気持ちも半分位ある…」

ウィル様…

私はウィル様の胸にピトリとくっつきます…

「お慕いしております…私は幸せでございます。」

ウィル様は私をギュウっと強く抱きしめると

「俺もだ…世界一の幸せ者だ…」そう耳元で囁かれました。

ジェフリー様はそれを見て

「なんだよ…つまんねー!解決か!」と言いました!

なんて…!

ひどいわ…!!

「ジェフリー殿下…ウィル様は長年の思いが叶ったばかりなのです…温かい気持ちになるではないですか…」

ユウジ様はほっこりしてらっしゃる。


「ああ…抱きしめるだけでは足りない…性行為をしたい…」と私の後ろでウイリアム様が腰をぐりぐりと押し付けてらっしゃいます…

いや…やめてくださいませ…!!

今は…感動のシーンなのですよ…!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る