第127話 ミノス王国のその後
「はっはっはっは、サンディ、上手くやったな」
トラヴィス辺境伯の笑い声が国王の執務室に響く。
「犠牲者は国王に味方する十数人で済んだのは僥倖ですわ」
「想定通りの結果です。無駄な犠牲は少ない方が良いのです」
トラヴィスの部下に迎えられて、王城に入ったリリス王女が満足気に頷き、サンディはリリスの言葉に否を唱える。
国王ヴィクター成敗後、トラヴィス辺境伯が素早く動き、予定通り王女内の騒動は一瞬で鎮静化した。
トラヴィス辺境伯はリリス王女を迎えて国王の執務室に案内した。なし崩し的にリリス王女の護衛をする事になったフェルダー、エリー、ダリア、ゲイルとロジーナ、セントバーナードのコボルト・ツヴェルフも一緒だ。
「出番が全く無かったぜ」
「でも、その方が良いのよ」
「そうそう、殆ど犠牲無しで国を取り戻せるなんて流石だわ」
フェルダーの言葉にエリーとダリアが答えて、ゲイルは無言で頷いている。
「ガウガウ」(良いのか?ワン)
「ワンワン」(良いのよワン)
「ワォンワォン」(平和が1番ワン)
ドーベルマンのコボルト・ドライが不思議そうな顔をして、ゴールデンレトリーバーのコボルト・ツヴァイとフラットコーテッドレトリバーのコボルト・フィアが答える。
「次はオミラン王国だが、ミノス王国が落ちついてからにするのか?」
フェルダーがレンに問いかける。
「そうだなぁ。サンディ、どうする? 何か手があるか?」
「任せてください。オミランは今、北と南に分かれて争っているわ。北と同盟を結んで南を攻める方向で進めるわ。南にも調略をかけて、最小限で攻略するつもりよ。ミノス王国はリリス王女とトラヴィス閣下にお任せして、調略を進めれば良いのよ」
「なるほどねぇ」
「それで、陛下。ヘレナ王妃と早めに謁見させてください。アレス王国の諜報はヘレナ王妃が握っていると言う話を聞きました。あの諜報能力で得る情報を使わせて貰えば、更に成功の確率は上がります」
「分かった。ミノス王国はリリスとトラヴィスさんに任せて、一度アレス王国に帰るぞ」
「えええ! ちょっとぉ! 私を置いて行くのですかぁ?」
リリスがレンの両手を握る。
「ミノス王国が落ち着くまでは、女王不在に出来ないだろう。まあ、アレス王国を誰かに任せて主力はミノス王国に移動させるから、それまでの我慢だよ」
「ツヴェルフは護衛で残りますわよね?」
「勿論、ツヴェルフは護衛で残すし、数匹他にも護衛を置いて行くよ」
「仕方ないですね。それで手を打ちましょう。早めにミノス王国に引越ししてください。それまで頑張りましょうね、ツヴェルフ」
リリスはツヴェルフに抱き着く。
「わんわん」(これで良いの?)
「ウォンウォン」(良いのかな?)
ツヴェルフの言葉に返事する丿インには、サンディが抱き着いていた。
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