第105話 ルル
「さて、次は北で戦闘中のヒダ王国軍とエマ王国軍の争いの場に乱入だ」
レンは翌日、国王の執務室にみんなを集めて話し始めようとしたが………。
「ねぇ、この子達って肉が好きなのよね」
「わんわん」(肉は好きだワン)
「そうそう、ほら食べな」
ロジーナがマジックバックから干し肉を出してチワワのコボルトに与える。
「わん」(食べるワン)
「それから、ブラッシングも大好きよ」
ロジーナがマジックバックからブラシを出して、コボルトのブラッシングを始めた。
「わんわん」(そこ気持ち良いワン)
尻尾を振るチワワのコボルト。
「気持ち良さそうね。可愛い♪ 私にもそのブラシを貸して貰えないかしら?」
「良いわよ」
ロジーナがブラシを女性に貸して、女性はブラシでコボルトにブラッシングを始めた。
「わんわん」(そこも気持ち良いワン)
「そこおおおおお!」
レンが大声を出して指差す先には、ロジーナともう一人の女性が、チワワのコボルトに肉をあげてブラッシングをしていた。
「どしたの? 先に進めて良いよ。私は陛下に従うしー」
「私もー!」
「あんた、誰?」
「私? リリスの妹ルルです」
「はあ?」
「同志ルルよ」
ロジーナが胸を張って答える。
「リリスの妹?」
「そうです。姉がお世話になりました」
リリスに勝るとも劣らない美人が、コボルトに肉を与えてブラッシングをしていた。
「ロジーナ! 重臣の会議に部外者を連れてきたら駄目だぞ」
「だって、モフモフ好きなのよ。同志だわ」
「同志なのよ。モフモフは正義なのよ」
ルルはロジーナの言葉に同意し、拳を握ってモフモフ好きを主張する。
「はぁ、取り敢えずルルはこの部屋から出て行きなさい」
「は〜い」
ルルはレンの言葉に素直に返事して、執務室を出ていく。
「ワンワン」(大丈夫だったかワン)
ゴールデンレトリーバーのコボルト・ツヴァイがヨークシャーテリアのコボルトに聞いていた。
「わんわん」(問題ないワン)
「ワォンワォン」(無理はするなよワン)
フラットコーテッドレトリバーのコボルト・フィアも心配そうだ。
「わんわん」(無理もしてないワン)
コボルト達の会話を聞いていたレンは目線をロジーナに移す。
「ロジーナ、何故、ミノス王国の王女がここにいる?」
「ん〜、ヨリツナの妻らしいよ」
「はあああああ? 敵じゃん」
「え〜、抵抗しないでアレスに忠誠を誓ってたよ〜」
「ん〜、敵ではないかもしれないけれど、重臣ではないだろう」
「そうだね~」
「はぁ………」
「ウォン」(マスター、ワン)
「ガフガフ」(大丈夫かワン)
ワイマラナーのコボルト・アハトとボルゾイのコボルト・ノインに慰められるレン。
「アハト、ノイン、有難う。………気を取り直して、今後の行動を説明するぞ」
そう言ってレンはみんなを見回す。
集まっているのは、フェルダー、エリー、ダリア、ゲイル、ロジーナの5人。
コボルトはレンの護衛アハトとノイン、ツヴァイ、フィア、ドーベルマンのコボルト・ドライ、シベリアンハスキーのコボルト・フンフの6匹と、給仕のヨークシャーテリアのコボルトとチワワのコボルトの2匹だ。
「え〜、フェルダーは第一騎士団とともに、この王都に残って残りの抵抗勢力の制圧と、都市生活が日常に戻る様に管理をしてくれ。この戦争が終わったらここを王都にするつもりだから、そのつもりで頼むよ」
「ああ、分かった」
「で、あとのメンバーで北に向かう」
「バウバウ」(分かったワン)
「ワンワン」(道中は任せてワン)
「ワォン!」(頑張るワン)
「あ〜、フンフとツヴァイとフィアは後で召喚の予定なんだけど………」
「バウバウ………」(久しぶりの登場なのに………ワン………)
「ワォン……」(マスターぁ……ワン)
「ワン……」(あんまりだワン)
尻尾が垂れてしょんぼりのフンフとフィアとツヴァイ。
「一緒に行っても良いんじゃない? 隠密行動じゃないんでしょ」
コボルト達が悄気げているのを見てエリーがそう言うと。
「ワンワン」(そうだそうだワン)
「ワォンワォン」(同行するワン)
「はぁ、仕方ないなぁ」
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