第87話 食料危機に備えて
レンが建国した国は短期間で戦争から立ち直った。そして、人海戦術?(犬海戦術か)により農場と牧場が瞬く間に作られていた。
しかし、農地を作っても一瞬で作物が成長する訳はなく、牧場を作っても家畜がいきなり増える事もない。
食料の量産体制が整うまでの間、当面の食料をどうするかは大問題だ。
その問題解決の為に当面の食料として穀物や野菜の替わりに、野菜の原種や食べられる野草を採取する。
「と思っているんだけど。アンナさん、食べられる野草を知ってるよね?」
「知ってると言えば知ってるわよ。だけど食べられるって言っても人間がよ。コボルトは食べられるのかは知らないわ。ね、アイちゃん」
元薬師ギルドのギルマスであるアンナが、秋田犬のコボルト・アインスの子供を膝の上に乗せて撫でている。
「ワフワフ」(知らないワン)
「ワフー♪」(撫でてワン)
「ワフー♪」(ぼくもーワン)
「ワフワフ」(アンナさ〜んワン)
「ワフワフ」(腹減ったワン)
クンクン(何の匂いだワン)
アインスの子供達は通常運転。
「まあ良いか。コボルトはあまり野菜食わんしな。そうだろ、アハト、ノイン」
「ガフガフ」(やっぱ肉だワン)
「ウォン」(葉っぱはいやだワン)
ワイマラナーのコボルト・アハトとボルゾイのコボルト・ノインが答える。
「じゃあ肉をどうするかって言う話だ。ツヴァイ、周辺の国からも飯が食えるって、コボルトが沢山入国してるそうじゃないか」
「ワンワン」(コボルトはフリーだワン)
ゴールデンレトリーバーのコボルトツヴァイは周辺を巡回するコボルト達を仕切っている。
「コボルトの子供も増えてるしな。アハト、肉が不足するんじゃないのか?」
レンは食いしん坊のアハトに聞いてみた。
「ガフガフ」(特に困ってないワン)
「ん? だって狩りだけじゃ食料は賄えないだろ?」
「ガフ?」(そうかな?ワン)
「なにを食ってんだよ」
「ガウガウ」(ゴブリンワン)
とドーベルマンのコボルト・ドライが言うと。
「ワォン」(兎ワン)
とフラットコーテッドレトリバーのフィアが。
「バウ」(鹿ワン)
続いてシベリアンハスキーのコボルト・フンフが、
「アフアフ」(猪ワン)
更にアイリッシュウルフハウンドのコボルト・ゼクスが。
「ウワン」(虫ワン)
最後にグレートデンのコボルト・ズィベンが答えた。
「虫?」
「バフバフ」(虫も上手いワン)
チベタンマスティフのコボルト・ツェンが答える。
「虫かぁ」
(確かに食料危機の地球では昆虫食が食料危機の切り札みたいに言われてたからなぁ)
「食べても大丈夫なのか? 毒とかないの?」
「わんわん」(クリーンしてワン)
「わんわん」(焼けば大丈夫ワン)
土佐犬のコボルト・エルとイングリッシュブルドッグのコボルト・ブル(愛称)が答える。
「そっかぁ、食えるなら良いけど。この辺に虫は多いのかね」
「あ〜、そう言えば虫の魔物が多いかも」
プリシラがポメラニアンのコボルト・ポメ(愛称)をモフりながら言う。
「虫の魔物は多いわよ。まさかコボルト達が食べてるとは思わなかったね」
弓術隊兼斥候の第四騎士団団長のエリーが答えた。
「虫は美味いわよ。特にワーム系なんて焼くとクリームの様なのよ。食べて見る?」
ロジーナがマジックバックから焼いた芋虫を出した。
「あ〜、俺は食べなくていいな」
「わんわん」(貰うワン)
ジャーマンシェパードドッグのコボルト・ドライツェンが焼いた芋虫を手に取って口に入れた。
「わんわん」(俺も欲しいワン)
セントバーナードのコボルト・ツヴェルフが口を開けてロジーナにせがむ。
ロジーナはマジックバックからもう一匹出して、ツヴェルフの口に焼いた芋虫を入れた。
「食料問題………、特に考えなくても大丈夫だった……」
ホッとするレンだった。
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