第55話 ゴブリンの穴5

 ネズミの従魔が開けた宝箱の中身は。


「スクロール!」


「スクロールね」

 レンの言葉にヘレナは宝箱の中からスクロールを手に取りしげしげと見て、


「クリーンのスクロールだわ」


「そうか。ノイン、でかしたぞ。そのスクロールはノインが使って良いぞ」


「あら、優しいのね。売ればそこそこなのに」

 ヘレナはボルゾイのコボルト・ノインにスクロールを使う。


 スクロールは光り、その光りがノインに入り込むとスクロールは消えた。


「これでノインも外でクリーンが使えるな」


「ウォーン!ウォンウォン」(やったワン!マスター有難うワン)


 ノインは喜び。ゴールデンレトリーバーのコボルト・ツヴァイとフラットコーテッドレトリバーのコボルト・フィアは羨ましそうだ。


「ワンワン」(スクロールが欲しいワン)

「ワォンワォン」(欲しい欲しいワン)


「ん〜、そうだな。じゃあ探しに行ってきてもいいぞ。中身によっては使ってもいいからな。でも使う前に俺に報告するんだよ」


「宝箱は罠があるかも知れないので、勝手に開けちゃ駄目よ。私が現場に行ってこの子を召喚しないと開けられないからね」


「ワンワン!」(やったーワン!)

「ワオーン!」(宝箱を見つけるワン)


 ツヴァイ、フィア、ノインは喜び勇んで駆けていった。


「気を付けてね〜!」

「無理するなよー!」

 ヘレナとレンはその後ろ姿に声を掛けた。


「やっぱりここはダンジョンね」


「うん、宝箱があったからね。村が廃墟になったゴブリンの襲撃があった原因の予想がついたよ。恐らくこのダンジョンでスタンピードが起こったんだな」


「多分そうね」


「定期的に間引かないと駄目だな」


「そうね」


「まあ、それは後から考える事にして、どんどん進むか」


 レン、ヘレナとドーベルマンのコボルト・ドライはダンジョンの奥に進んでいく。


 その後、フィア、ツヴァイとワイマラナーのコボルト・アハトも宝箱を見つけて、スクロールや武器をゲットし、階層を降りて危なげなく下へ進んで行った。


「ここがボス部屋だな」


 地下5階まで降りた所で金属製の大きな扉があった。


 ツヴァイ、アハト、フィア、ノインも来て、レン、ヘレナ、ドライと全員揃った事を確認し、ボス部屋に入る事にした。


「じゃあ、入るぞ」


 レンが扉を開けて、全員で中に入る。


 ボス部屋の中にいたのは、ゴブリンジェネラルとゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、その他に普通のゴブリン10匹。


「おお、随分多いな」


「ガウガウ」(楽勝だワン)

 マチェット片手に余裕のドライ。


「ワンワン」(アーチャーは貰った)

 ツヴァイがそう言うより速く矢を放っており、矢はゴブリンアーチャーの額を貫いていた。


「ワォンワォン」(メイジは倒す)

 フィアが雷撃を放ちゴブリンメイジは吹っ飛んだ。


「ウォン!」(雑魚は任せろワン)

「ガフガフ」(やったるワン)

 ノインとアハトはマチェット片手に走り出していた。


「ガウ!」(ジェネラルは任せろ!)

 慌ててドライも走り出す。

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