第56話 ゴブリンの穴6
「パワーのアハト、スピードのノインってとこかな?」
レンの言葉の通り、豪快にマチェットでゴブリン達を斬り払うワイマラナーのコボルト・アハトと、素早くマチェットで急所を狙って斬っていくボルゾイのコボルト・ノイン。
アハトとノインの間を縫うように、ゴブリンジェネラルを目指してドーベルマンのコボルト・ドライが駆けて行く。
ゴブリンジェネラルは、ドライを目に捉えると不敵な笑みを浮かべて、黒い禍々しい大剣をゆっくり抜いて構えた。
ドライはアハトとノインがゴブリン達を蹂躙している場を抜けると急加速して、ゴブリンジェネラルがいないかのように突き抜けると、ゴブリンジェネラルは呆気なく真っ二つに斬られて吹き飛んでいた。
「ガウガウ」(楽勝だワン)
「おお、一瞬で蹴りがついたな。ドライだけでもクリア出来そうだな」
「ガウガウ」(出来るワン)
「ガフガフ」(俺も出来るワン)
「ウォンウォン」(問題ないワン)
ドライとアハト、ノインはまだまだ余裕の表情だ。
「そっかぁ。それなら良い案もあるなぁ」
レンはそう呟きながらボス部屋の奥に歩いていく。
「お! 宝箱があった」
そしてボス部屋の奥に宝箱を見つけて走り寄る。
「また、危ない事をしようとしてる! 宝箱を開けてあげるから待ってなさいよ」
と言ってヘレナが追ってきて、ネズミを召喚する。
ネズミが宝箱を開けると禍々しい剣が入っていた。
「何だこれ? ゴブリンジェネラルが持っていた剣に似てるな」
「ちょっと小さ目ね」
「俺達の中に大剣を持てる様な体格のヤツがいないから、通常の剣の大きさになったのかね。良し、これはドライが使え」
「ガウガウ」(いいの?ワン)
「良いとも、一番の功労者はドライだ」
「ワンワンワンワン」(それはズルいワン)
「ワォンワォン」(ドライばっかりワン)
ツヴァイとフィアは不服そうだ。
「後で取りに来ればいいさ」
「ワン?」(後で?ワン)
「ワォン?」(取りに来るって?ワン)
「最後までゴブリンしか出ない洞窟で、魔物の素材で儲ける事は出来なさそうだからな。コボルト達の訓練に使えば良い」
「ワンワン」(なるほどワン)
「絶対無理はしない事」
「ワォンワォン」(分かったワン)
「一匹で最後までクリア出来れば合格、みたいな試練にするのはどう?」
レンはヘレナに尋ねる。
「合格したらどうするの?」
「それは考えて無いけど、何かあるだろう」
「あるかなぁ? それより宝箱はどうするのさ」
「どうしよう。何かない?」
「はぁ、他人任せなんだからあ。私のネズミを数匹ダンジョン前で貸し出すわ。それでネズミと一緒に回って、罠解除も覚えて貰いましょう。そのうち、宝箱を開けられるようになるでしょうよ。ついでに無茶しないように見張っててあげないとね」
「良いね! それで行こう。宝箱の中身で初めて出たヤツは一度見せて欲しいな」
「ワンワン」(万事任せてワン)
「ウォンウォン」(責任持ってやるワン)
ツヴァイとノインがやる気を見せてるので、任せても良いかと思うレンだが、
「ワォンワォン」(とりま私が一番ワン)
「ガフガフ」(俺が一番ワン)
フィアとアハトは違う意味でやる気を見せていた。
「ところでここが最下層なんだよね」
「うん、そうだね。もう下にいく階段もないし」
「ダンジョンって、ダンジョンマスターが居たり、ダンジョンコアがあったりしないのかな?」
「何ソレ? そんなの聞いた事ないよ」
(はぁ、この世界にはダンジョンマスターやダンジョンコアは無いらしい。ダンジョンコアでチート発動しないのかぁ。残念……)
とがっかりするレンだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます