第42話 薬草パニック4
「レンくんって王子なの! なら側室でもいいかな?」
「カ・ミ・ラ!」
「うへ、冗談でも言っちゃいけなかったです。すいません。不敬でした」
「いやいや、王子の自覚はないし。不敬にはしませんよ。今まで通りでお願いします」
「そう言って貰うと気が楽になるわ。私は敬語苦手だしね。ところでイアンさん、今の話の続きがあるんでしょ」
「私はこの領地に人を集めたいと思っています。しかし人を集めるのは通常は難しいのだが、錚々たるメンバーが力を貸してくれればそれも可能になるのだよ。後はコボルト好きの女性も堪らないだろ? バークさんの建築技術とコボルト達を絡められれば、観光で栄える事も出来る」
「なるほど〜」
「それから、レン様、薬草を沢山所持しているのですよね。先日、錬金術ギルドで大量の薬草を売りに来たけど、泣く泣く断ったと言っていました」
「はい。何故か知らないけど、沢山ありますよ」
「え! 薬草が沢山あるの? 売ってえ!」
「カミラ、待ちなさい」
イアンはカミラを止めてレンに向き直る。
「当面はその薬草を回復薬に加工して、周りの領地に売り、この村に必要なモノを購入します」
「周りの領地?」
「ええ、ここいら一帯は今災害級の薬草不足に陥ってます。その薬草を隣りの領地に大量に売ったから、この村に行商に来たいと言われたのですよ」
「へぇ、そうなんだ」
コボルトに辺境の街の冒険者ギルドの管轄と言っても分かる訳がない。その結果、コボルト達は街とその周辺の領地まで、根刮ぎ薬草を採取していた。
「そして、先ずはこの村への移住者を募ります。村人の皆様にも伝を使って村人を集めてもらいましょう。レン様も国に税を納めるのに納税する村人が必要でしょう」
「そうだね。税の事はあまり考えてなかったよ。コボルトに田畑を作らせるから、農業が出来てコボルトに教えられる人も来て欲しいなぁ」
「分かりました。農業を始め様々な職業の人を募りましょう。それから、孤児院や難民を村人にすると言う手もありますよ」
「ふむ、それもいいかもね」
「と言う事だ。カミラ。一人でやれそうか? 私なら商会から何人かは引っ張って来れるし、すぐに村人に紹介出来る人の当てもある」
「ああああ、分かりました。分かりましたとも、今しばらくはイアンさんの下で、この村に住んで商売を学びます。あは」
「レン様、と言うわけで私もこの村に住みたいと思います。宜しくお願いします」
(カミラさんよりイアンさんの方がしっかりしてるからなぁ)
「承知しました。宜しくお願いします」
イアンとレンは握手をする。
その後、イアンとカミラは移住の準備をするため、一度街に戻る事にした。
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