第43話 VS冒険者ギルド
冒険者ギルドのギルドマスターが冒険者を集めて、冒険者ギルドの建屋前で演説していた。
「みんな、聞いてくれ! 君達の仲間である『漆黒の翼』は、冒険者ギルドの建屋内で、嘘つきで盗人のコボルトマスターのコボルト達に冒険者生命を奪われた。我々はその蛮行を許しておく訳にはいかない。冒険者の名誉と冒険者ギルドの威信を賭けて、その全勢力を持って悪徳コボルトテイマーに正義の鉄槌を下すのだ。これは、ギルドからの強制依頼だ。拒否は許さん。強制依頼を拒否した者は冒険者資格剥奪もやむ無しだ」
「えええ! 強制依頼かよ。しかも拒否権無しってどういう事?」
「そこ! 無駄話はするな。いいか、コボルトテイマーに味方する者は全て冒険者ギルドの敵だ! コボルトも全て殺すのだ」
「コボルト、コボルトってそんな魔物にやられたのか、『漆黒の翼』は弱っちいなぁ」
「しかもたった二匹のコボルトらしいぜ」
「逆にそのコボルトこえぇな」
「Cランクの冒険者パーティを倒すコボルト二匹か。それで全勢力を集めて何とかって言ってんだな」
冒険者ギルドのギルマスは、レンが辺境の開拓村にいる事を突き止めた。
しかも、錬金術ギルドに大量の薬草を売ろうとしたのも知っている。
レンとコボルトを殺して、大量の薬草と上手く行けば取りそこねたノズチの胃袋と食道も手に入るかも知れない。
そんな皮算用でレンを捉えようと考えていた。なに、辺境の村の廃墟に隠れ住むコボルトテイマーとコボルト数匹、『漆黒の翼』を倒したコボルト二匹は脅威だが、50人の冒険者の前ではひとたまりもないだろうと思っていた。
そして冒険者50人は馬車と馬に分散して乗り、辺境の村に向かっていった。
それを事前に聞いていたイアンとカミラ、村に移住を希望していた人達は数日前に辺境の村に移住を兼ねて報告をしていた。
「へぇ、冒険者ギルドのギルマスは、冒険者50人ポッチでこの村をどうこう出来ると思ってるのか。お目出度いねぇ」
ヘレナが笑っている。
「バウバウ」(全くだワン)
シベリアンハスキーのコボルト・フンフがヘレナに同意する。
「全くだわ。ドラゴンに竹槍持って戦いを挑むようなもんでしょ。だから言ったのよ。心配いらないってね」
カミラは移住者にそう言った。
「バウバウ」(そうだワン)
辺境の村の防壁を見て、コボルト達の数と練度を見た移住希望者達はヘレナとカミラの言葉を心底最もだと思った。
「全く冒険者ギルドのギルマスは馬鹿なんですか?」
「他人の領地に領主を殺しに来るなんて、クーデターですか?」
「しかも、レン様は王子でしょう。国に喧嘩売ってるよね」
「もし、仮に成功したら、国の威信を賭けて消される運命よね」
「まあ、成功しないけどね」
移住者達は思い思いに言いたい事を言って、スッキリして解散した。ちっとも怖くないし、心配もなくなった。
この村?を攻略するには数千人の兵が必要だと実感している。籠城したら数千人でも落とすのに数ヶ月はかかるだろう。
それが、たった50人。
心配したのがなんだったんだろうと思い、コボルト達と仲良く暮らし始めるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます