第19話 イアン
レン達はカミラの元に向う。
クンクン
「バウバウ」(こっちだワン)
シベリアンハスキーのコボルト・フンフが先頭を歩いてカミラの家に案内する。
(カミラに何処に住んでるのか聞いたら、フンフに聞けって言ってたけど、本当に分かるんだな)
大きめの商会に着いた。
朝の開店準備に忙しそうな店員達を後目に挨拶しながら奥に進む。
「おや? レン様とフンフ達じゃないですか」
一緒に馬車に乗っていた商人と会った。
「お早う御座います。今日、開拓村に向うのでカミラさんに挨拶しに来ました。ついでにアンナさんの家に行くので、菓子折りでも買おうと思ってたんですけど、まだ開店してなさそうですね」
「ああ、菓子折りですね。良い饅頭があるのです。甘過ぎない餡子が上品だといま街では大流行しています。一箱持ってこさせますね。レン様にはサービスして、安くしておきますよ」
「有難う。1つ、いや2つもらおうかな」
「毎度あり」
「フンフー! 会いに来てくれたのねー!」
そこに遠くからカミラが走ってきて、フンフに抱き着く。
「おう、カミラ。レン様が流行りの饅頭を二箱御所望だ。持ってきてくれ」
「分かった! フンフ行くよ」
カミラはフンフを抱いたまま奥に戻って行った。
(おいおい、フンフは連れて行くなよ)
その後、カミラは菓子折りの箱を持ってフンフと一緒に戻って来た。
「はい。御所望の菓子折り二箱ですよ」
カミラはレンに菓子折りを二箱渡すと、またフンフに抱き着く。
「寂しかったでしょ。ずっとここにいても良いんだよ」
と言いながらモフモフしている。
「きゃあああ! 何々、この子可愛い!」
「カミラ、何その子」
「イアンさん、このワンちゃんどうしたの?」
「カミラ、モフモフさせてよ」
女性の店員が集まってきた。
「駄目よ。フンフは私が可愛いがってるワンちゃんなの!」
(商人の名前はイアンって言うらしいな。覚えきれねえー)
なんて思いながらレンは騒動をボーっと見ている。
コボルト達は女性達の手から逃れながら、「早く帰ろうワン」とレンを見ていた。
「じゃあ、ソロソロ帰ります。イアンさん、カミラさんまた会いましょう」
「あ、開拓村に行くんでしょ。私が行商に行くから、待っててよ。フンフに護衛を頼むわ」
(護衛って帰りは良いけど、行きはどうするんだろう?)
素朴な疑問を持つレンだが、そこは大人の判断で突っ込まず、
「待ってますよ。みんな行くよー」
と言って商会を後にする。
(「行きはどうするの?」なんて聞いたら、フンフを置いていけって言われるに決まってるしね)
女性店員のモフモフ攻撃から身を躱しながらコボルト達はレンの後を追うのであった。
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