第18話 ヘレナ2
レンがテイマーズギルドに泊まった翌朝、レンがベッドから起きると、同じ部屋の床で寝ていたコボルト達も立ち上がった。
「おう、お早う」
「ワフワフ」(お早うワン)
すぐ近くに寝ていた秋田犬のコボルト・アインスが応える。
「さて、今日は午前中にカミラさんとアンナさんに挨拶して、それから辺境の開拓村に出発だ」
「ワフワフ」(了解だワン)
レンは普段着のまま寝ていたので、そのまま部屋を出ようとすると、シベリアンハスキーのコボルト・フンフがレンに生活魔法のクリーンを掛けた。
「バウバウ」(綺麗にしたワン)
「お、フンフ有難う」
コボルト達はお互いにクリーンを掛け合っている。
「あれ、みんなクリーンが使えたんだっけ?」
「ワフワフ」(アンナに貰ったワン)
「ワンワン」(ダリアに貰ったワン)
「ワォーン」(エリーに貰ったワン)
「ガウガウ」(フェルダーに貰ったワン)
アインスとゴールデンレトリーバーのコボルト・ツヴァイ、フラットコーテッドレトリバーのコボルト・フィア、ドーベルマンのコボルト・ドライが、それぞれの師匠から貰った事を教えてくれた。
「フェルダーもか、クールそうに見えて可愛いがってたんだな。みんなに感謝だな」
(と言うか、『朝焼けの光』のみんなはコボルト達の事を本当に好きなんだな)
レン達は二階の部屋を出て、一階の出入口に向うと。
「お早う! 早起きだね」
ヘレナが歩いて来た。
「お早う、泊めてくれて有難う、またそのうち来るかも知れないので、その時は宜しくね」
と言って擦れ違おうとしたが、ヘレナはレンの腕を掴んで引き止める。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ。そのうちってどういう事! 此処に住まないの?」
「ああ、俺の家は辺境の開拓村だから。一泊だけの予定だけど」
(あれー、昨日そのつもりで話したと思ってたけどなぁ)
「開拓村!? あのゴブリンに襲われた? まだ危険らしいよ。此処にいなさいよ」
「そうらしいね。状況を確認しないと駄目なんだ。知り合いの冒険者に護衛を頼んでいるから大丈夫だよ」
「待ちなさいよ! だったら私も行くわ。もう孤独な生活は懲り懲りなのよ」
「え?」
「なによ! 私じゃ不服?」
「いや、不服じゃないけど。本当に良いの? ギルドはどうするの?」
「1年も誰も訪れないのよ。ここのギルドは締めて開拓村に引っ越すわ」
「まあ、いいけど。開拓村にすぐには住めないかもよ」
「良いわよ」
「分かった。これから2件の知り合いの家に挨拶に寄ってから行くので、2時間後に冒険者ギルド前で待ち合わせにしよう」
「2時間? それしかないの?」
「うん、知り合いの冒険者と約束してるからね。間に合わないなら、後から来ればいいさ」
「あああああ、分かったわよ。すぐ準備しなきゃああああああ!」
ヘレナは慌てて自分の部屋に戻って行った。
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