第16話 辺境の開拓村の現状
コボルト達が謎肉と謎ホルモンの焼き肉を楽しんでいると、ゲイルとダリアとエリーが戻って来て、フェルダーと会話をし始めた。
「美味そうな匂いがすると思ったら、ツヴァイ達が焼き肉をしてたのね」
「私達も夕食にしましょうよ」
「あの、漆黒の何とかって言う糞冒険者達はどうした?」
「ああ、あの馬鹿共は当分の間冒険者は出来ない様に、根性を叩き直してやったわ」
「そのくらいで良いか。とっつぁんも一緒に夕食をたべに行こうぜ」
「おう、良いぜ。ただ今日はいつもより解体の依頼が多くてな、ちいとばっかし時間がかかるかもな」
「俺も手伝うよ。それと………」
フェルダーはコボルト達を見ると、コボルト達が謎肉と謎ホルモンを粗方食べ終わっているのを確認した。
「ドライ達、解体を手伝え!」
「ガウ」(了解だワン)
フェルダーはとっつぁんが手を付けていない魔物の解体を始めると、コボルト達も一斉に解体を始める。
「おいおい、コボルトが解体って大丈夫かよ」
「俺が仕込んだ。とっつぁんの孫弟子って訳だ。そこらの冒険者よりよっぽどましだぞ」
「本当だ。ここらの冒険者より解体が上手いじゃねえか」
「ガウー」(当然だワン)
ドーベルマンのコボルト・ドライが得意気に鼻息を荒くする。
しかし当然とっつぁんの域には達していないので、とっつぁんはアドバイスしながら解体を行い、コボルトの解体技術は更に向上するのであった。
解体も粗方終えて、フェルダーがレンに尋ねた。
「レン、もう今日は晩いから一緒に食事して街に泊まって、明日の朝辺境の開拓村に行ったらどうだ」
「そうですね。そうします」
「そうなると泊まるとこらだなぁ。とっつぁん、コイツらが泊まれる所知らねえか?」
「え? あ、ああ。従魔が泊まる所はテイマーズギルドに行けばいい。それより、辺境の開拓村に何をしに行くんだ?」
(テイマーズギルド! ほほう、それは良い事を聞いた)
「ミッキー侯爵にその村の統治を任されたのですよ」
「統治ねえ………。辺境の開拓村は無くなったぞ」
「えええええええ!!! な、何があったんですか?」
「3日前にゴブリンの群れに襲撃されて壊滅したらしい」
「マジっすか」
「ああ、その後冒険者と衛兵がゴブリンを倒しているが、まだ逃げたゴブリンが残ってるかも知れないから危ねえぞ。村を襲ったゴブリンが全てだとは分かってないしな。冒険者ギルドで調査中の案件だ」
「でも、俺の家はそこになるし、少なくとも現状は把握したいからね」
ダリアとエリーが心配そうにとっつぁんとレンの会話を聞いている。
「ああああ、分かった分かった。俺達が護衛で一緒に行ってやるよ」
「「やった〜」」
フェルダーの言葉を聞いて、ダリアはゴールデンレトリーバーのコボルト・ツヴァイにエリーはフラットコーテッドレトリバーのコボルト・フィアに抱き着く。
「ワン?」
「ワォ?」
「全く心配性で過保護なんだから」
「ツヴァイもフィアもまだゴブリンの群れと戦うには早すぎるわよ」
「そうよ、可愛い子には楽させろって言うでしょ」
「言わないよ!」
「あの〜、有難う御座います。護衛料は払います」
「あはは、貰う物は当然貰うぜ」
その後、冒険者ギルドの食堂で食事をしたが、コボルト達に群がる冒険者女子が煩くててんてこ舞いだった。
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