第9話 カミラ
レン達は野営地にて車座になり、夕食を食べている。
秋田犬のコボルトのアインスも夕食を貰って食べたが、ガツガツと食べてあっという間に食べ終わり、今はアンナとレンの間で丸くなって寝ていた。
アインスの耳がピクリと動き、茂みを見詰めて唸り始めた。
「クンクン、ワフワフ」
(コボルトの臭いだワン)
「アインス、有難う。冒険者の皆さん、コボルトが近付いてくるそうですよ」
レンは冒険者達を見回す。
「え? どれどれ、『サーチ!』………本当だ。食事なんかしてる暇はないね。行くよ!」
魔法使いは手に持っていた皿を置いて、杖を手にした。
「匂いにつられてきたのかな。レン、教えてくれて有難う」
リーダーの剣士は素早く食事を掻き込むと大剣を手に立ち上がるり、槍術士の男もあとに続く。
「レンも行くよ! テイムして貰うんだからね。リーダーはコボルトを殺しちゃ駄目だよ!」
狩人の女は弓を手にし、レンを見て立ち上がった。
「仕方ないね」
レンも皿を置いて立ち上がる。
冒険者達が茂みに近寄ると、ガサガサと茂みが揺れて、
「ガルルルル、ワンワン!」
コボルトが飛び掛かって来た。
「水牢!」
すかさず魔法使いの女が呪文を唱える。
「ガボガボ……」
コボルトは水に覆われて四苦八苦している。
「早くテイムしちゃって! 溺れ死んじゃうよ」
「テイム!」
魔法使いの催促に応じて、水牢に閉じ込められたコボルトをレンはテイムした。
バシャン!
魔法使いが右手を横に払うとコボルトを覆っていた水が地面に落ちた。
「あはは、水で洗って一石二鳥ね」
魔法使いはクリーンの生活魔法でコボルトを更に綺麗にする。
レンと魔法使いがコボルトをテイムしている内にリーダーと槍術士、狩人は茂みに飛び込んでいた。
レンが茂みを掻き分けて中に進むと、戦いは終わっていた。
「グルルルルル」
足でコボルトの背中を踏んづけて押さえる
槍術士。ロープで雁字搦めにしているリーダー。ボーラで拘束した狩人。
捕まったコボルト達は歯を剥き出し睨みながら唸っている。
「早くテイムしちゃってよ」
狩人の女は捕まえたコボルトをクリーンの生活魔法で綺麗にして後ろから羽交い締めにしていた。
「はいはい。テイム」
レンはそれぞれ捕まえたコボルト達をテイムした。
すると後ろの茂みがガサガサと揺れて、
「どう? 私のワンちゃんも捕まえてくれたかしら?」
商人の使用人の女がワクワクした顔で現れた。
「大丈夫よ。全部で4匹いたわ。カミラの分もOKよ」
狩人が応える。
(使用人の女の人はカミラって言う名前なんだ)
レンはカミラと狩人を見てボンヤリそんな事を考えていた。
「やったー! 私はこの子が良いわ」
カミラはリーダーが拘束していたコボルトにクリーンの生活魔法を掛けた後に抱きついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます