鬼塚がいない何でも屋

 鬼塚が姿を消して3日が経った。

 何でも屋では、本郷が鬼塚の代わりを務め、また、今まで本郷を指名してハウスクリーニングや買い物代行の依頼をしていた山田夫人の家には伊万里と八巻が日によってどちらか手が空いてる者が行く事になった。

 伊万里は毎回山田夫人から

「今日は本郷さんじゃないの?」

 と聞かれ、伊万里は

「申し訳ございません。本日本郷は別件で手が離せないため、私が代理で参りました」

「なんでよ!」

 このやりとりが毎回行われ、伊万里はたじたじだった。

 伊万里が山田夫人宅から帰ってくると

「皇ちゃん、お疲れ様。山田さんのお婆ちゃんどうだった?」

 一華は伊万里の疲れた姿を見て聞いた。

「また『本郷さんは?』って聞かれましたよ…。何で来れないかも説明したんですけど…」

 そこへ八巻がやって来て

「山田さんのお婆ちゃん、俺の時にも聞いてきたよ…。皇さんみたいに説明したし、鬼塚さんが不在だって事も含めてさ…」

 八巻は呆れて言った。

「鬼塚さん!戻って来てー!」

 伊万里は叫んだ。

「叫ぶな。近所迷惑」

 本郷がボソっと言った。

「すみません…」


 何でも屋一行が困り果てていると伊万里のスマホの着信音が鳴り出てみると伊万里の10歳下の弟の雪之丞からだった。

「イマ!スピーカーモードにして聞いて!」

 雪之丞は焦っている様子だった。

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