三重失踪
鬼塚の消失
本仮屋すずの依頼から1ヶ月経った。
鬼塚はそれから本仮屋すずの伯母・本木千夏にストーカーされていた。自宅にいる時も何でも屋で働いている時も本木千夏は鬼塚の後を追うようについて行ってた。これが、鬼塚を悩まさせていた。
「鬼塚さん、警察に連絡したらどう?」
八巻は鬼塚の様子を見て言った。
「八巻さんの仰る通りですよ!ストーカーはエスカレートしたら殺されるパターンになりますから」
一華は電話機の子機を渡して言った。
「皆ありがとう。けど、僕も悪いんだ。人の結婚式をぶち壊したし…。それに考えてみて?結婚式って超お金かかるじゃん」
鬼塚は疲れ気味だった。
「鬼塚さん、最後がちょっと…。とにかく!警察に相談しましょう!この間ニュースでやってたじゃないですか!」
伊万里が言うニュースとは、数日前に都内で起こったアイドルのストーカー事件のニュースで、結局犯人は逮捕されたが、被害者のアイドルは、重傷の怪我を負いまだ入院中と報道されていた。
「僕はアイドルじゃないよ」
「アイドルじゃなくても警察に言うべきです!」
「なんか…悪いな…」
鬼塚は力なく笑った。
その夜、鬼塚は自宅アパートに帰ってベランダを見たが、やはり本木千夏はいた。鬼塚に気づかれた本木千夏はすぐ逃げた。
次の日も何でも屋に向かう途中、近づいて来る足音に気づき鬼塚は後ろを振り向くと本木千夏がニタニタ笑いながら鬼塚を見たが、またすぐ逃げた。
鬼塚はだんだん気が滅入っていくばかりだった。
それから1週間後、鬼塚から何でも屋一行にこんなLINEが来た。
『僕はしばらく旅に出る。探さないでください…』
それっきり鬼塚は何でも屋に来なくなった。
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